オンライン授業のメリットを種類別に解説!活用法、注意点もご紹介
新型コロナウイルス感染症により、オンライン授業の普及が進み、今後もオンライン授業を継続すべきかどうか迷っている人もいるのではないでしょうか?
オンライン授業には感染症対策以外にもメリットがあります。オンライン授業のメリット、配信形態別のメリットや活用法、注意点なども併せてご紹介します。今後もオンライン授業を行うのか、検討している方はぜひご覧ください。
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オンライン授業
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止にともない、小・中・高校や大学などでオンライン授業が導入されました。通学せずに自宅でオンライン授業を受講できるため便利な一方で、なかなか人とのつながりを感じづらいとのネガティブな声も増えています。
そんな中でもオンライン授業は浸透しています。感染症防止以外の観点でもオンライン授業のメリットがあるのでしょうか?
オンライン授業のメリット
オンライン授業の主なメリットとして、「通学などの移動コストや時間がかからない」「何度でも繰り返し受講できる」「場所と時間に縛られずに配信・受講できる」といった点が挙げられます。飛沫感染を防ぐといったコロナ対策以外にも、オンライン授業にはメリットがあるのです。
ユーザー側と配信側に分けると以下のメリットがあります。
ユーザー側
- 遠隔からでもトップクラスの講師の授業を受けられる
- 通学やキャンパス移動などにかかる時間やコストを節約できる
- 自分のペースで授業を進めることができ、わからないところは繰り返し視聴できる
配信側
- 教室までの移動時間やコストを削減できる
- 離島や過疎地の学校教育に貢献できる
- 会社の研修にも活用できる
- 予期せぬ災害時にも、授業を継続して行えるようになる
オンライン授業とは?メリットと導入の注意点、おすすめツールを紹介
オンライン授業のメリットついては、「オンライン授業とは?メリットと導入の注意点、おすすめツールを紹介」のページでも詳しく紹介しています。ぜひあわせてお読みください。
オンライン授業を行っている割合
オンライン授業を行っている割合を見てみましょう。
内閣府が実施した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」の調査によると、以下のような結果になりました。(第1回調査:2020年5月実施、第2回調査:2020年12月実施)
出典:内閣府(2020)「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」
まず高校でのオンライン授業の実施割合を見ましょう。第1回調査では、「通常通りの授業をオンライン授業で受講した」と回答したのは13.3%、「一部の授業をオンラインで受講した」と回答したのは36.7%でした。第2回調査では、それぞれ6.2%、23.0%と下がっています。
次に大学生・大学院生のうち、第1回では「通常通りの授業をオンライン授業で受講した」と回答したのが74.7%、「一部の授業をオンラインで受講した」と回答したのが20.7%でした。その後の第2回調査では、それぞれ54.0%、33.7%でした。
高校生と大学生・大学院生を比較すると、大学生・大学院生の方がオンライン授業の割合が高い傾向にあります。
また、小・中学生のうち、第1回調査では、オンライン教育を受けているのが45.1%でしたが、第2回調査では23.8%まで低下しています。
ただし、東京都23区においては、第1回調査では69.2%、第2回調査では45.3%と、いずれも全国平均を大幅に上回っています。地方圏は、第1回調査では33.9%、第2回調査では18.4%にとどまっていることを鑑みると、東京都23区と地方圏では大きな違いがあるといえます。
出典:内閣府(2020)「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」
オンライン授業の満足度
実際にオンライン授業を受けたユーザーの満足度を見てみましょう。
文部科学省「新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査」によると、オンライン授業の満足度は56.9%と、不満に感じる割合より満足に感じる割合のほうが多い結果となりました。
出典:文部科学省「新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査」
オンライン授業の良かった点としては、「自分の選んだ場所で授業を受けられる」「自分のペースで学修できる」ことが挙げられています。
一方で、オンライン授業に不満を感じている人もいます。友人と授業を受けられないことや、質問や双方向コミュニケーションができなく授業理解が不十分であること、レポートなどの課題が多いことがデメリットとして挙げられています。
課題が増えてしまうのは、リモート環境下での評価体制が整っていないことや、理解度の確認がオンライン上だと難しいことなどが原因とされています。
出典:文部科学省「新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査」
オンライン授業のメリットを感じている学生も多いことから、国への要望として、オンライン授業でも質が担保できる授業はコロナが落ち着いた後も継続して行い、新たな大学のあり方を模索してほしいとの声があります。
完全対面授業へと戻すのではなく、ハイブリッド型でバランスを見ながら取り入れてほしいという要望もあるのです。
オンライン授業のメリットを種類別に解説
オンライン授業の種類は、大きく分けて3つあります。
- LIVE配信型
- オンデマンド配信型
- ハイブリッド型
LIVE配信型では、リアルタイムに教授と学生がコミュニケーションを取ることができます。オンデマンド配信型では、あらかじめ録画された授業を学生が見る形式のため、時間や場所に縛られずに受講できます。これらの形式と対面授業組み合わせたのがハイブリッド型です。
それぞれの配信型でメリットが異なるため、以下にポイントを整理します。
LIVE配信型
LIVE配信型は、ネット回線や衛星回線を使って、リアルタイムに配信するオンライン授業です。
- メリット
- 動画でお互いの顔を確認でき、同じ空間の共有が可能
- チャットを通じての質疑応答や資料の画面共有機能で、効率よい学習が可能
- 大人数での同時授業が可能
- ブレイクアウトを使えば、グループワークの授業も簡単
ZoomやGoogle MeetなどWeb会議ツールを使って、比較的普段の授業に近いスタイルでオンライン授業を行えるため手軽です。操作も簡単でユーザー側も配信側も問題なく利用できます。
- 主な活用シーン
- オンライン英会話、コミュニケーションを取りながら行う授業、生放送
- 小・中学校など進捗状況を確認しながら進める必要のある授業
- グループワークなど密なコミュニケーションを必要とする授業
リアルタイムに配信しているLIVE配信型は、双方向コミュニケーションが行えるため、生徒の進捗状況をみながら授業を進めたいときにおすすめです。
オンデマンド配信型
オンデマンド配信型は、録画した映像をインターネットで配信するオンライン授業です。
- メリット
- 自分のペースで好きな時間に学習できる
- 動画の巻き戻しを使ってわからない部分を繰り返し視聴できる
Web会議ツール上での録画や、ビデオでの授業風景の撮影をアップロードすることによって生徒に共有できます。LIVE配信授業を録画して、欠席者に共有することもあります。
あまり多くのコミュニケーションを必要としない授業や、大学生・社会人に向けた授業におすすめの形式です。
- 主な活用シーン
- 塾や予備校の授業、企業の社員教育用のe-ラーニングシステム
- 出席をとる必要のない大学の授業や、大人数の授業
ハイブリット型
ハイブリッド型は、一部の生徒が教室で対面授業を受講し、一部がオンラインで授業を受講する形態のオンライン授業です。
- メリット
- 大人数が集まることなく授業を行える
- 生徒の希望や状況に応じた柔軟な授業が行える
対面とオンラインの双方に配慮しながら授業を行う必要があるので、準備や手間が増えてしまいますが、社会人や大学生など人に応じた対応を迫られる場合に便利です。
- 主な活用事例
- 塾や予備校の授業、企業の社員教育用
- 大学の授業
週によって対面授業とオンライン授業を切り替えるところもあります。事前連絡が欠かせません。
オンライン授業の活用方法
オンライン授業の活用方法、事例をご紹介します。
小学校(中・高)での活用事例
岐阜県郡上市
市内22校の小学校のうち3校が、全校児童数が10名に満たない極小規模校である岐阜県郡上市では、従来も年に数回、近隣の姉妹校を訪問しての共同授業を行っていましたが、十数人の中に1〜2名が加わると転校生やお客様のような状況になりがちでした。そこで遠隔会議システムを導入し、同じ状況にある極小規模校同士の交流を実現しました。
以前は対話型の授業を行いたくても、同級生がいなかったり少数であったりするため、他の児童の意見をもとにした議論ができず、多様な見方・考え方に触れることができないことが課題でしたが、子どもたちが対等な関係で打ち解けることができています。
参考:https://jp.vcube.com/case/14801.html
茂郡白川町教育委員会
町内の小学校5校、中学校3校は、ほとんどの学年が20名以下の小規模校が中心の岐阜県加茂郡白川町教育委員会では、「保育園から中学校まで、ずっと同じ仲間と過ごす」ということも珍しくなく、他校との交流機会が限られていました。また、山林が大部分を占める地形のため、隣接する学校まで、車で片道15分~45分といった距離になり、集合しての合同授業を日常的に行うことは現実的ではありませんでした。
そこでオンライン授業を取り入れ、1ヵ月に1回の割合で、町内の小学生が一堂に集まる合同授業を実施しています。多様な意見に触れ、社会性を養う機会になっています。
参考:https://jp.vcube.com/case/8601.html
大学での活用事例
近畿大学
近畿大学では、6つのキャンパスのほか、東京センター、附属校などの多拠点が点在しており、各拠点をWeb会議システム「V-CUBE ミーティング」で繋いで教授同士で会議を行っています。
留学中の学生と担当教員がWeb会議で面談したり、入学式の様子をライブ中継したりもしています。通信教育部での遠隔授業を試験的に行っており、今後オンライン授業を取り入れていく準備を進めています。
参考:https://jp.vcube.com/case/10201.html
日本経済大学
日本経済大学では、福岡、東京、神戸の3キャンパスのほか、運営母体となる都築学園グループに属する大学、専門学校、高校などの姉妹校が多数あります。教育の充実のための遠隔授業を開催しています。
具体的には、東京キャンパスで教授が講義を行い、福岡・神戸キャンパスの学生は遠隔で受講します。これにより、効率的に同内容の講義ができるようになり、どのキャンパスでも高いレベルの講義を均一に受講できるようになっています。
参考:https://jp.vcube.com/case/11401.html
企業での活用事例
株式会社フロンティア
全国各地に保険調剤薬局を140店舗以上展開し、2,400人以上の社員を抱えている株式会社フロンティアでは、2020年から社内研修や新商品の情報共有に動画配信プラットフォーム「Qumu」を採用しています。
対面での説明会だと感染リスクが高まる上に、紙では伝わりにくかったソフトウェアやシステムの動作・扱い方を分かりやすく映像で説明できるようになっています。
参考:https://jp.vcube.com/case/23301.html
トヨタ自動車東日本
5拠点を有するトヨタ自動車東日本は、拠点間のテレビ会議時の動画資料共有や、トップメッセージの共有、社員教育のための動画の共有などに課題がありました。
動画配信プラットフォーム「Qumu」を導入した結果、タイムリーかつ簡単に動画共有を行えるようになっています。動画にすることで視聴率が上がり、研修や社内の活性化につながっています。
参考:https://jp.vcube.com/case/21801.html
習い事(英語)での活用事例
DMM英会話
英会話レッスンを提供するDMM英会話では、オンライン授業でのサービス提供を行っています。レッスン教室まで足を運ぶ必要もなく、世界129ヵ国10,000人以上の講師と話せる機会があります。
オンライン授業を行う際の注意点
オンライン授業を実施する場合、以下のようなデメリットがあるため注意が必要です。
- 通信環境、ICT機器の影響を受けやすい
- ITリテラシーがないと授業についていけない
- オンライン授業を受ける環境を整備する必要がある
- 学位付与には向かないという意見もある
- 授業を受けているか、理解しているか不安
- 電子機器の長時間利用により健康を害する恐れがある
- 目や耳に頼った授業が前提である
このようにオンライン授業のみで授業を成立させることは難しいと思われますが、工夫次第では大きなメリットに繋がります。
通信環境やITツールは、学校などの施設にスペースを設けたり使用機器を貸し出したりすることでカバーできます。また、ITツールの使い方などは、いつでも見られる動画やマニュアルを作成・共有しておくことで対応可能です。
今後は、オンライン授業に合わせた評価方法や出席・課題確認ができるようにする必要があります。他にも、オンラインとオフラインの融合で、オンライン授業のデメリットをカバーしていくことも重要と考えられています。
まとめ|オンライン授業のメリットを最大限活かそう
今回はオンライン授業のメリットを、ユーザー側・配信側、そして配信形態ごとに解説しました。加えて活用方法としての事例、実施する際の注意点についてもご紹介しました。
コロナウイルスが落ち着きを見せる中で、オンライン授業のメリットが見えづらくなってきたかもしれません。しかし、オンライン授業には感染防止だけでないメリットがあります。
オンライン授業の配信側は、それぞれのメリットを押さえたうえで、活用法や注意点を参考に、準備を進めてみてください。