講師が感じるオンライン授業のデメリットは?対策とともに解説します

オンライン授業をスムーズに行うためには、デメリットを理解した上での対策が重要です。
コロナ禍を背景に、学校だけでなく塾や習い事でもオンライン授業が急速に普及しました。
しかし、必要にかられてオンライン授業を始めたものの、さまざまなデメリットに直面した方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、講師側からみたオンライン授業のメリットとデメリットを明確にした上で、デメリットへの対策を徹底解説します。
オンライン授業への不安が解消され、スムーズなオンライン授業の実現に役立ちますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次[ 非表示 ][ 表示 ]
オンライン授業の特徴と種類
オンライン授業とは、インターネットを通じて行う教育・学習形態です。インターネット通信の環境さえ整っていれば、場所にとらわれずどこでも授業を行えます。
教材・講義ビデオの配信や提出物の回収、チャット機能と音声通話を活用したリアルタイムでの意見交換などが可能です。講師側と生徒側の双方にとって利便性が高いといえるでしょう。
オンライン授業は3種類あります。具体的には、リアルタイムで授業を中継する「Live配信」、あらかじめ録画した授業を視聴してもらう「オンデマンド配信」、Liveとオンデマンドに対面(オフライン)も組み合わせた「ハイブリット」です。
オンライン授業の種類と特徴をさらに詳しく紹介
オンライン授業の種類とさらに詳しい特徴についてはオンライン授業の種類は?LIVE配信・オンデマンド配信など特徴を紹介の記事でも紹介しています。
オンライン授業のメリット
オンライン授業には、従来のオフライン授業にはない下記メリットがあります。
- 災害時などの緊急時でも授業を行える
- 移動時間や会場費用などの各コストを節約できる
- 場所に関係なく有名講師による高い水準の授業を受けられる
- 過疎化地域への教育を行える
オンライン授業のメリットを詳しく紹介
オンライン授業を導入するメリットについてはオンライン授業のメリットを種類別に解説!活用法、注意点もご紹介の記事でも紹介しています。
オンライン授業のデメリット
オンライン授業は利便性が高くメリットも多いのは事実ですが、オンライン特有のデメリットも存在します。
ここでは主に講師側が感じるオンライン授業のデメリットについて、4点あげます。
通信環境や端末への配慮
とくにLive配信の場合は、通信環境や端末の不具合が生じると授業を行えなくなる恐れがあります。
講師側の通信環境や端末が安定していても、生徒側が不安定だとスムーズな授業は行えません。
例えば、講師側が早い通信回線を使用していても、生徒側が遅い回線を使用していれば、遅い方に依存してしまうのです。
そのため生徒側の環境への配慮は欠かせません。状況によっては生徒側の環境を1から整える必要まで生じます。
オフライン授業以上に集中を促す必要がある
オンライン授業は、オフライン授業に比べて生徒の集中が散漫になりがちです。
実際に学習者(生徒)124名を対象とした調査では、42%もの生徒が「授業に集中しにくい」と回答しており、「授業に集中しやすい」と答えた22%を大きく上回っています。
また同調査において、学習者(生徒)が挙げたオンライン授業のメリットに「授業と関係ないこともできる」との回答がありました。
講師側による規制は困難なため、授業内容を工夫することで生徒をより引き込んでいく必要があるといえるでしょう。
体験・実技・課外学習ができない
終始オンライン上でのやり取りのため、オフラインを前提とするような授業は行えません。具体的には体験・実技・課外学習などがあげられます。
とりわけ実験は動画サイトなどから視聴はできますが、生徒が実際に体験することは不可能です。自らの手で実験器具や物質をあつかい、自らの目で現象を確認する学びを得られないのはデメリットといえるでしょう。
少しでも実体験に近い状況をつくり出すためには、教室で実験を行う様子を配信するなどの工夫が必要となります。
デバイスやアプリへの慣れが必要
オンライン授業をスムーズに行うためには、講師側がオンライン授業の配信方法やホワイトボードなどの機能に慣れておく必要があります。
例えばホワイトボード機能についても、ペンを用いて手書きで書き示すのとは異なるため慣れるまでは使いにくいでしょう。
また課題の提出や採点についても、オンライン上で完結させる必要があるため、慣れと工夫を要します。
デメリットごとの対策
オンライン授業の各デメリットに対して、どのように対策すべきかを解説します。
通信環境や端末への配慮|対策編
通信環境や端末の不具合は、オンライン授業にとっては致命的です。
デメリット解消のために、以下の3つの対策を施しましょう。
事前の接続テストをしておく
あらかじめオンライン授業当日(本番)と同じ環境での接続テストを行います。
本番の少なくとも1週間以上(規模によっては1ヶ月)前に実施しておくのがおすすめです。課題が見つかった場合は対処・準備する時間を要するためです。
接続人数によって通信への負担が変化するため、出席者全員での接続テストが好ましいといえます。むずかしい場合は可能な限りの人数に協力を依頼しましょう。「授業の事前案内(オリエンテーション)」とあわせて行うことで、接続テストへの参加率も高まります。
接続テストでは映像や音声の確認はもちろんのこと、本番のオンライン授業で使用するツールや機能を一通り確認する必要があります。
また、主な通信方法である「有線LAN」「無線LAN」「ポケットWi-Fi」のなかでは、有線LANが最も安定します。もし通信が不安定な生徒がいた場合は、通信方法を確認の上で有線LANへの切替えを提案するとよいでしょう。
余裕をもった授業スケジュールにしておく
事前準備はしっかり行った上で、授業スケジュールにも余裕をもたせましょう。
具体的には、本番当日はオンライン授業開始の10~20分前には接続状態としておきます。終了時刻もプラス10~20分としておくことで、オンライン授業中でのトラブルによる遅延に対処できます。
また、オンライン授業の「カリキュラム自体」にも余裕をもたせておくのがオススメです。万が一大きな通信トラブルにより授業がままならない場合や、出席者が一定数に満たない場合などに仕切り直しを行えるためです。
なお事前準備や接続テストをしっかり行っても、オンライン授業では10回に1回は予期せぬ音声や映像トラブルが起こると想定しておきましょう。そこで、スケジュール自体に余裕をもたせることが予期せぬトラブルへの最適解となるのです。
補習用に録画をしておく
参加者に許可を得た上で、補習用に録画をしておくのがおすすめです。
多人数へのオンライン授業を行う場合、一部の生徒のみが通信トラブルで参加できない事態が起こります。
参加できない生徒のためだけにオンライン授業の中断はできないため、録画をしておくことで補習が可能となります。補習の際は、視聴前にあらかじめ重要ポイントを伝えておく、視聴後に質問を受け付けるなどのフォローを行うとよいでしょう。
またオンデマンド配信として過去の授業を公開すれば、復習にも活用できます。
オフライン授業以上に集中を促す必要がある|対策編
オンライン授業はオフライン授業に比べて講師の目が生徒に行き届かず、生徒の集中力が途絶えがちになります。
対策は以下の3点です。
レベルの高い講師の授業を活用する
オンライン授業を公開している有名講師の授業を活用しましょう。活用方法は2つです。
1つ目は、講師が事前に有名講師のオンライン授業を視聴して、内容や伝え方を自らのオンライン授業に活かす方法です。どのような表現で生徒をひきつけているかなどを参考にしましょう。
2つ目は、無料公開されているオンライン授業動画を自らが行うオンライン授業に引用する方法です。有名講師のオンライン授業動画のなかで分かりやすいと感じた部分を、自らのオンライン授業にて共有しましょう。
2つ目に関しては注意点があります。公表された著作物は授業等に供することを目的とする場合は、著作権法(第35条)の権利制限で著作権者の許可なく利用できます。ただし、著作権侵害の違法動画を引用しないようご注意ください。
なお、オンライン授業内で動画を流す場合は必ず事前テストを行いましょう。いざ動画を共有しようとした際、映像は流れるが音声が流れないなどトラブルが発生しやすいためです。
双方向のオンライン授業を目指す
双方向のコミュニケーションによりオンライン授業への集中力を持続させましょう。
オンライン授業は、意識しないと講師側から生徒へ一方向の伝達になりがちです。生徒は受け身になると集中力がつづきません。
そこで、ポイントとなる部分では個別指名で意見や回答を求める、発表を設けるなどを行いましょう。集中力が持続するだけでなく、授業内容への理解も深まります。
また、音声・映像だけではなくチャットやテキスト共有を活用するなど、進行方法に変化をもたせることで注意を引けます。
適度に休憩やアイスブレイクを入れる
細かく内容を区切り、メリハリをもたせながら適度に休憩を入れることで、生徒の集中力は持続します。
スタート時やきりのよいところで、クイズやストレッチなどのアイスブレイクを取り入れるのもおすすめです。
体験・実技・課外学習ができない|対策編
オンライン授業ではどうしても行えないのが体験・実技・課外学習など、実物や現地での実体験を要する授業です。
対策として以下2点を紹介します。
ハイブリットで行う
オフライン授業をLive配信するハイブリットで行う方法があります。
具体的には、講師とオフラインでの参加が可能な生徒のみ現地に集まり、体験や実技の様子をリアルタイムで配信します。
重要ポイントは、オンライン参加者の理解度を重視することです。オンライン参加者は映像と音声のみのため理解の難易度が高まり、内容についていけないリスクがあります。
声掛けで確認するなど、オンライン参加者が内容を理解できているかを常に意識して進行しましょう。
オフライン授業の効果を高めるためにオンライン授業を用いる
体験・実技・課外学習などのオフライン授業を一回以上は行える場合に有効な手段です。
具体的には、貴重なオフライン授業の機会を最大限に活かすために事前のオンライン授業で動画などの予習を行います。当日の学習目的や段取りまでを事前に共有しておきましょう。
予習を行うことで、オフライン授業当日の限られた時間のなかでも高い学習効果を期待できるのです。
デバイスやアプリへの慣れが必要|対策編
オンライン授業では、補足や追加の説明を行いたい際に手書きで示すことができない点はデメリットに感じる方が多いでしょう。
ZoomやTeamsなどのオンライン会議用アプリには、ホワイトボード機能もありますが、マウス操作による記述は慣れが必要です。
そこで、講師を写すカメラとは別に「実物の黒板やホワイトボードを写すカメラ」を用意します。オフライン授業と同じように手書きで説明できるため、授業の効率アップを見込めます。
それぞれの映像を配信することで今注目してほしい画面を切り替えながら説明が可能です。
手元を写すカメラについて詳しく紹介
手書きしている手元を簡単に写せるカメラについては書画カメラって何?Web会議で簡単に手元を映せる便利カメラの記事でも紹介しています。
上記の状況をつくれない場合は、タブレットのような手書きで説明しやすいデバイスを活用するのもよいでしょう。
また、Google Documentのように双方向での編集が可能なページを活用すれば、生徒からの質問受付けと講師からの回答をスムーズに行えます。
まとめ
今回は、講師側からみたオンライン授業のメリットとデメリットを明確にした上で、デメリットへの対策を解説しました。
デメリットを理解してしっかりと対策をすれば、オンラインならではの機能や活用方法によってオフライン授業以上に内容を充実できます。
また、学習効果をより高めるためは、オンライン授業とオフライン授業を組み合わせたハイブリットも重要です。オフラインでの参加が叶わない生徒にとっては貴重な学習機会となります。
オンライン授業のデメリットを解消してメリットを活かすことで、スムーズかつ充実した授業を実現しましょう。