
Web会議とは?
Web会議とは、パソコンやスマートフォンなどのデバイスとインターネット環境を用いて行う、遠隔会議のことです。
映像と音声をリアルタイムに通信することで、場所や時間を問わず、相手の顔を見ながらコミュニケーションが取れるため、急速に浸透している会議の方式です。
テレビ会議との違い
Web会議と混同しやすいものに「テレビ会議」があります。
テレビ会議とは主に「専用の接続回線や機器を用いた特定の拠点同士の会議」のことを指しています。
つまり、遠隔で会議を行う点では同じですが、どこでも会議を開けるわけではなく、あらかじめ専用の機器を設置した場所と、もう1つの場所、あるいはさらに複数の場所をつないで行うものです。
専用の機器を固定して設置するために高画質・高音質に遠隔会議を行えること、個人ではなく会議室ごとにIDを割り振って通信するため、特定の人だけではなくその会議室に行けば誰でも利用できることがメリットとして挙げられますが、設置した以外の場所で行うことはできません。
一方Web会議は、インターネットのブラウザや専用アプリをパソコンやスマートフォンにインストールして行うため、場所を問いません。また、基本的に個人に割り振られたIDを個人のデバイスで利用します。
ウェビナーとの違い
「ウェビナー」とはWebで行うセミナーのことを指す造語です。Web会議ツールを利用して開かれることもあるため、これもWeb会議と混同されやすいものの1つですが、両者には明確な違いがあります。
ウェビナーは基本的に「一方向」のコミュニケーションです。1人がその他大勢に対して話しかける形式で用いられます(1対n方式)。
そのため、講演会やセミナーのような壇上の講師の話を聴衆が聞くスタイルに適しています。聴衆とディスカッションすることはあまり想定されていません。
対照的にWeb会議は、双方向でコミュニケーションすることを主な目的として利用されます(n対n方式)。複数人によるディスカッションや打ち合わせなどに適しています。
Web会議のメリットとデメリット
メリット
Web会議にはさまざまなメリットがありますが、特に以下の4点が挙げられます。
- コストの削減
- 時間的効率化
- コミュニケーションの活性化
- 働き方を選択できる
コストの削減
従来であれば、会議のために参加者は交通費をかけて移動する必要がありました。どこからでも参加できるWeb会議では会議のための移動が不要となるため、移動にかけていた経費や時間コストを大幅に削減することができます。
また、会議室やミーティングルームなど会議のためのスペースが不要なので、オフィスの縮小や削減につなげることもできます。
時間的効率化
先述の通り、会議のための移動が不要となるため、時間的な効率化も図ることができます。
遠方の人との会議では、移動に大きく時間が取られます。そのため本来別の業務ができた時間を無駄にしてしまいます。また頻繁に対面でのコミュニケーションが取れないため、日々の情報共有はテキストが主流になりますが、直接のコミュニケーションよりも手間がかかります。
このように、情報共有にかけていた時間を短縮し効率化するという点もWeb会議が可能にすることの1つです。
コミュニケーションの活性化
電話やメール、ビジネスチャットツールを使ってもコミュニケーションを取ることは可能です。
やはり顔を合わせてやりとりすることで生まれる密なコミュニケーションもあります。音声だけ、文字だけでは伝わらない要素も伝えられ、それによってコミュニケーションを活発化させられる点はWeb会議のメリットだといえます。
また、対面の会議では参加できなかったような遠方の人とも気軽に会議を行える点は、Web会議の大きなメリットです。遠方であるためにコミュニケーションが不足してしまいがちな相手とも、頻繁に顔を合わせて情報共有を行うことができます。
働き方を選択できる
働き方が多様化し、感染症対策の徹底も促される中で、在宅勤務をする人も増えています。
在宅勤務にWeb会議を併用することで、上記のような密なコミュニケーションを維持しつつ仕事を円滑に進めることができます。Web会議はいまや在宅勤務に必要不可欠だと言えるでしょう。
Web会議はインターネット環境さえあれば国外を含めどこからでも参加できます。地方や外国などの遠方にいながらチームで一緒に仕事を進めるといった働き方も、Web会議の導入によって可能になります。
デメリット
一方で、Web会議にはデメリットもあります。
通信環境に依存
インターネット回線を通じて映像や音声を送受信するため、ネット環境がない場所では会議に参加することができません。
Wi-Fi環境がない場所ではスマートフォンの電話回線を使って参加することも可能ではありますが、回線速度によっては映像・音声の遅延が起きることがあります。
表情や雰囲気が読み取りにくい
相手の顔を見ながら会議できる点はWeb会議のメリットではありますが、やはり対面での会議と比べるとコミュニケーションの質は低下すると言わざるを得ません。
ネット回線の速度によっては、微妙なタイムラグが発生することもあり、そのような場合には対面で話すよりも「間」がとりづらくなることもあります。こうしたことから、その場の雰囲気が読み取りにくいと感じることもあるかもしれません。
Web会議ツールで重視するポイント
Web会議を行うには、Web会議ツールを導入する必要があります。無料で利用できるものも多くリリースされていますが、有料のツールもあります。
さまざまなツールの中からどのような点を重視して選べばいいのでしょうか。以下の7点がポイントとして挙げられます。
- 映像音声の質
- 同時接続数
- 操作性
- セキュリティ
- サポート体制
- 有料か無料か
- テレビ会議との連携
映像音声の質
インターネット環境だけでなく、使用するシステム・ツールによってもWeb会議の音質や画質は左右されます。
たとえばフルHD画質での送受信に対応しているものもあれば、それ以下の画質にしか対応していないものもあります。
Web会議システムは、音声や映像データを圧縮して相手に送信し、相手側でデータを復元することで映像の送受信が可能になっています。この圧縮・復元に利用されているソフトウェア「コーデック(CODEC)」にはさまざまな規格があり、画質の良し悪しはWeb会議ツールに搭載されているこのコーデックの規格が左右しています。
音声についてもノイズを低減させるために「音域の自動制御機能」を搭載したシステム・ツールもあります。
どの程度の音質・画質が必要なのかは、どのようなシーンでの利用を想定しているのかによります。利用環境に応じて最適なツールを選ぶことが大切です。
同時接続数
一般的なWeb会議ツールは同時に接続できる人数に上限があります。
同じWeb会議ツールでも無料版と有料版、さらに加入する有料プランの種類によっても同時接続数は異なってきます。
参加者が多い会議を想定している場合には、システム・ツール選定時に同時接続可能数もしっかりチェックしておきましょう。
操作性
高画質で高音質なWeb会議ツールを導入しても、操作性に難があると使い勝手が悪く感じます。
使用にあたって専用アプリのインストールやアカウントの作成、ログインが必要になるものもあれば、インストールやログインが不要でブラウザからすぐに参加できるツールもあります。
いずれにせよ、誰にとってもわかりやすいUI/UXを備えた製品を選びたいものです。導入した際には社内で操作マニュアルを作成し、共有するのもおすすめです。
セキュリティ
Web会議の中で社外秘・部外秘の情報に触れる場合にはセキュリティ対策も必要です。ツールによっては、入室にパスワードを設定することができるものや、入室の前に「待機室」があり、ホスト(会議の主催者)が入室させるかどうかを決定させられるツールや入室後にロックをかけられるものもあります。
また映像と音声を盗み聞きされることがないよう、通信の暗号化に対応しているかどうかも確認しておきましょう。
サポート体制
ツール選びのポイントとして、サポート体制の充実も重要な項目です。
トラブル時にどのようなサポート体制が整っているのか、メールでの問い合わせのみか、あるいは電話にも対応しているか、といった点も確認しましょう。製品にトラブルが発生した場合、対応スピードの遅れが業務の遅延につながってしまうからです。
海外製のシステムやツールの場合には日本国内における販売代理店の有無も重要なポイントです。代理店がないと問い合わせは基本的に英語となり、多くの場合回答には長い時間がかかります。
有料か無料か
当然ですが、導入するシステム・ツールが有料か、あるいは無料でも利用できるのかという点も大きな選定ポイントです。
ただし有料のシステムが必ずしも優れているというわけではなく、想定しているWeb会議の規模によっては、無料のサービスで必要十分な機能を備えていることも少なくありません。
特に、Web会議に参加するのがもっぱら数人のみで、さらに1回あたりの会議時間が30分以内という場合には、無料で提供されるサービスでも十分だと言えます。
どのような規模でどういった使い方を想定しているのかを確認した上で、コストと比較することが大切です。
【比較表あり】Web会議システムの選定ポイント、無料・有料の比較
Web会議システムの比較は、別記事「【比較表あり】Web会議システムの選定ポイント、無料・有料の比較」で紹介していますので参考にしてみてください。
テレビ会議との連携
先述のように、Web会議はテレビ会議とは異なるシステムですが、両者をつないで会議を行うこともツールによっては可能です。
たとえば、出社した人は会議室に設置されたテレビ会議システムで、在宅勤務の人は各自の自宅からWeb会議ツールで、それぞれ接続するという使い方ができます。Web会議とテレビ会議の良いところを生かした使い方と言えるでしょう。
たとえば、Web会議ツール「Zoom」は、会議室に常設するタイプの「Zoom Rooms」からZoomミーティングに接続することができます。
Zoom Roomsとは?ミーティングとの違いや利用シーンを紹介
Zoom Roomsについては、別記事「Zoom Roomsとは?ミーティングとの違いや利用シーンを紹介」で紹介していますので参考にしてみてください。
Web会議ツールの比較
Web会議ツールには無料で使えるものだけでも、「Zoom」「Google Meet」「Skype」「Teams」「webex」「Whereby」などがあります。
それぞれどのような機能があるのか、【無料版】と【有料版】で比較します。
Web会議システムの比較表(無料版)
最大利用可能人数 |
100名 |
50名 |
100名 |
100名 |
100名 |
50名 |
利用時間 (3名以上) |
40分 |
60分 |
4時間 |
60分 |
50分 |
45分 |
画面共有機能 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
ホワイト ボード |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
チャット機能 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
リアクション機能 |
〇 |
× |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
1画面の 表示人数 |
25人 (最大49) |
16人 (最大49) |
49人 |
49人 |
25人 |
12人 |
背景変更 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
録画機能 |
〇 |
× |
〇 |
× |
〇 |
× |
ブラウザ起動 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
△ (制限有) |
ブレイクアウトセッション |
〇 |
× |
× |
× |
〇 |
〇 |
セキュリティ |
・ミーティングIDと ・待機室 |
・暗号化 ・不正防止機能 ・安全強化対策 |
・暗号化 |
・暗号化 |
・暗号化 ・パスワード ・ミーティングロック |
・ルーム ロック機能 |
Web会議システムの比較表(有料版)
最大利用可能人数 |
|
50名 |
|
300名 |
|
15名 |
利用時間 (3名以上) |
24時間 |
24時間 |
30時間 |
24時間 |
無制限 |
|
画面共有機能 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
ホワイト ボード |
〇 |
× |
× |
〇 |
〇 |
× |
チャット機能 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
Slackの |
リアクション機能 |
〇 |
× |
× |
〇 |
〇 |
Slackのリアクション機能を利用 |
1画面の 表示人数 |
25人 (最大49) |
16人 |
49人 |
49人 |
25人 |
記載なし |
背景変更 |
〇 |
× |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
録画機能 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
ブラウザ起動 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
ブレイクアウトセッション |
〇 |
× |
〇 |
〇 (Microsoft 365 Business Basic、Microsoft 365 Business Standardのみ) |
〇 |
× |
セキュリティ |
・ミーティングIDと ・待機室機能がある |
ASP/SaaS情報開示制度に認定 |
・不正使用対策機能 ・転送時と ・2段階認証 |
保管中と転送中のデータの暗号化 等 |
・クラウド ・パーソナル会議室を ・参加時に |
・転送中の ・メディア |
サポート |
Zoom |
24時間365日体制で |
24 時間 365 日対応の |
24時間年中無休の電話/Webサポート |
チャットと |
プライオリティサポート |
まとめ | 選定ポイントを抑えてWeb会議ツールを導入しよう
Web会議ツールにはデメリットもあるものの、多くの場合デメリットを上回るさまざまなメリットがあります。
ただ、各社のツールには違いや特徴があるため、導入するツールを選ぶ際には上記のポイントをしっかり抑えた上で比較検討する必要があります。
どのような環境で、どういった使い方を想定しているのか、導入の目的を明確にした上で比較検討することをおすすめします。