ウェビナーにおけるアンケートの5つの注意点と質問項目を紹介!
いまや主流なマーケティング手段のひとつとなったウェビナー。
今後の見込み顧客増加につながるよう、ウェビナー開催後にアンケートを実施する企業担当者の方も多いのではないでしょうか。しかし、アンケートは項目や実施方法に工夫を凝らさなければその後の追客やナーチャリングに繋げづらいケースもあり、効果的に活用する難易度が高いのが現状です。
そこで今回は、ウェビナーでアンケートを実施する理由や実施方法、分析に使用するツールを紹介していきます。
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ウェビナーとは
ウェビナーとは、インターネットを介してセミナーを配信する手法です。ウェブとセミナーをかけ合わせて生まれた言葉であり、オンラインセミナー、Webセミナーとも呼ばれます。
その特徴は何といっても、主催者側の「コストの低さ」と参加者側の「手軽さ」です。主催者側は、通常の会場を借りて行う対面式のセミナーでネックになっていた人件費や会場レンタル料を抑え、さらに場所と時間の拘束を無くすことができるメソッドとして、ウェビナーに注目する企業が増えています。また、参加者側も、移動の時間や金銭的なコストが大幅に削減され、通常のセミナーよりも参加しやすいというメリットがあります。
2020年には、感染が拡大した新型コロナウイルスの影響により、多くの企業がウェビナーへの取り組みを始めました。
マーケティングにおけるウェビナーは参加者を集めることが目的ではありません。ウェビナー実施後に、ウェビナー参加者を顧客化することが目的です。ウェビナー参加者を顧客化するためには、ウェビナー後のフォローが欠かせません。
ウェビナー主催者はウェビナー参加者の
- ウェビナーで紹介したサービスへの興味関心度合い
- 来場の背景や抱えている課題
を電話やメールでヒアリングすることで、「見込み客になり得るか」を判断します。
ただし、ウェビナーは対面型のセミナーと比較して、開催後のフォローが非常に難しいのが実情です。
対面型のセミナーであれば、セミナー会場で主催者と参加者が気軽に会話することも可能であり、すぐに個別でのフォローができます。
一方でウェビナーでは、開催後に電話やメールで参加者に対してコンタクトをとる必要があります。ただ、すべてのウェビナー参加者へ同一のメッセージを送っていてはフォローの効果を高めることはできません。各社の抱える課題はそれぞれ異なるからです。
対面型イベントでは出来ていた会場での直接フォローができない。ウェビナー開催後の電話やメールでも、以前のようには見込み顧客にはつながらない。こうした理由から、ウェビナー開催後のフォローは、手法を大きく変える必要があります。
ウェビナーでアンケートを実施する理由
そこで有効な選択肢となるのが、アンケートの実施です。
アンケート実施が有効である理由を2つの観点から解説します。
ナーチャリングの観点
「ナーチャリング」とはマーケティング用語で、「見込み客を既存顧客へと育てる」ことを意味します。アンケートから得られた情報を用いて、顧客のニーズを把握します。その後アンケートと連携させたMAツールを活用することで、適切なタイミングで顧客にアプローチできます。これによって既存顧客へと育てることが可能です。
ウェビナー内容のブラッシュアップの観点
アンケートでウェビナーの内容に関する項目を入れることで、以後のウェビナーの改善につなげることが可能です。
アンケート項目例
ここでは、アンケート実施を自社にとって意義のあるものにするための大切な項目を目的別でご紹介します。
目的別 アンケート項目例
見込み顧客の情報はこと細かく知りたいものです。ただ、多すぎる設問は回答者をうんざりさせてしまい、途中離脱を招きかねません。アンケートの回収率を高めるためには、設問数は最小限に抑えるべきです。
アンケートで最終的に明確にしたいのは、「誰が」「どんな潜在ニーズを抱えていて」「ウェビナー参加後に状況がどう変化したのか」です。ここではそれぞれの情報を知るためにどんな設問を用意すべきかを紹介します。
目的1「参加者の基本情報を知る」
- 設問 「名前」「連絡先」「会社名(または業種)」
連絡先が分かると、それだけで参加者との接触機会が増やせます。例えば、次回のウェビナーの告知や、新サービス・新商品の紹介を行うことができ、その後の契約につながる大きなチャンスとなります。また、会社名を知ることで自社に興味を持つ企業を知り、より詳細を調べたうえで営業を行ったり、自社に興味を持つ業種の傾向を知り、その業種に特化したウェビナーやサービスを企画したりできます。
目的2 「参加者の潜在的なニーズ」を知る
- 設問 「ウェビナー受講目的」
ウェビナーに興味を持って実際に参加した人は、何らかの悩みを解決したり希望をかなえたりしたいというニーズを抱えています。なかには、自社が想定していないニーズを持ってウェビナーに参加している人もいるでしょう。
ウェビナーの際に「ウェビナーを受講した目的」を知れば、顧客が何を考え、何を求めているのかを正確に把握できます。顧客の潜在的なニーズに合わせて商品やサービスを開発したり提案したりすれば、ビジネスチャンスがさらに増える可能性があります。
目的3 「ウェビナー参加後に状況がどう変化したか」を知る
- 設問1「ウェビナー受講目的はクリアになったか」
受講目的を聞いた流れで、次は「受講目的にかなう情報が得られましたか(Yes・No)」という設問を用意します。また、「その理由を教えてください(記述式)」の項目も必要です。前者の設問でYesと回答した方には案件化を目的としたアプローチを、Noと回答した方には理由を分析したうえで「考え得る必要情報」を送るというように、次のアクションへ確実に進むことが大切です。
- 設問2「サービスに関するリクエスト」
設問1に対してYesと回答した方は、主に「情報収集のみ」を目的にウェビナー受講をした方もいるでしょう。そのような参加者は参加者側のアクションがない限り、こちらからのアクションは出しくいです。しかし、そういった受講者の中にも検討可能性のある方はいます。その可能性を逃さないためにも「自社サービスに関するリクエスト」について、必ず設問に盛り込むようにしましょう。
例えば、以下のような設問です。
設問例
「○○(サービス名)」についてあてはまるものを選択してください。
-
- 製品資料が欲しい
- 詳しい話が知りたい
- デモを行ってほしい
- 複数パターンの見積もりが欲しい
- 特にない
アンケートの回答率を上げるには
通常のセミナーと違い、ウェビナーの参加者はアンケート未回答のままでも容易に退室できます。そのため、アンケートの回答率を高くするためには、相応の工夫が必要です。ここでは、そのための工夫を3つ紹介します。
1.回答項目の絞り込み
回収率を上げるには、なるべく簡単に回答できるアンケートの作成も重要なポイントです。項目はできるだけ少なくまとめ、短時間で回答できるようにしましょう。
特にウェビナーの場合は、Web上でのアンケートとなるので、回答フォームにはラジオボタンやチェックボックスを活用すると効果的です。タイピングすべき箇所が多いと回答者の離脱につながりやすいので、なるべく少ない手間で回答できるようにすることが大切です。
2.回答によるインセンティブの提示
アンケートに回答するメリットを示すと、参加者が自主的にアンケートに回答する可能性が高まります。例えば、アンケートの回答者だけに資料やウェビナー動画を送付するという方法があります。また、アンケート回答の特典としてウェビナーの配信中に対応できなかった質問に対する答えをまとめたQ&Aも送付すれば、回収率はさらに高まるでしょう。資料や動画の送付をあらかじめ自動化しておけば、アンケートの回収率がアップしても担当者の業務が増えることはありません。
3.アンケート実施のタイミング設定と効果的なツール活用
アンケートの回収率を高める上で、アンケートに回答する時間をウェビナーのスケジュールに含めたり、アンケートに答えてから退出するように声をかけたりするなど、参加者の記憶にウェビナーの内容が残っているうちにアンケート回答を促すことも大切です。
ただし、一般的なセミナーとは違い、ウェビナーではそれが難しいケースもあるでしょう。そこでおすすめしたいのが「アンケート機能を備える配信ツール」を利用することです。
以下のツールでウェビナー配信を行えば、ウェビナーの最中や終了直後にアンケートを実施できます。
アンケートを実施する際の注意点
ウェビナーの際のアンケートも、ただ実施すれば良いというものではありません。結果を分析し、ブラッシュアップや顧客のニーズや状態を把握する必要があります。
また、紙媒体のアンケートと同様に個人情報を扱う責任は発生しますし、相手が見えないからと言って礼儀を欠くこともあってはなりません。ここでは、ウェビナー時のアンケート実施における注意点を3つ紹介します。
抽象的な質問は避ける
「セミナーはいかがでしたか」「講師はどうでしたか」といった抽象的な質問には回答しにくく、回答の方向性にもばらつきが出てしまいます。期待しなかった方向性の回答は後の集計や分析の妨げとなるでしょう。
そのような事態を避けるためにも、「セミナーの内容はあなたの知りたいことでしたか」「講師の説明のわかりやすさは10点満点中何点でしたか」というような具体的な訊き方を意識して、迷わず回答できるように配慮しましょう。そうすることで、作成者の意図に沿った回答が得られ、集計や分析もしやすくなります。
プライバシーポリシーを提示する
はじめに個人情報の利用目的・範囲を明記することは、モラルの一つでもあると同時に、回答者の心理的不安を和らげることにも有効です。
氏名や連絡先、職業などの個人情報をアンケートで取得する場合は、必ずプライバシーポリシーを提示し、個人情報の利用目的・範囲を回答者に伝えてください。プライバシーポリシーの下に「同意する」というチェック欄を設けておけば、同意の可否を明確にできます。
なお、プライバシーポリシーの内容と実際の利用方法が異なると、トラブルにつながる可能性があります。ネット上のひな型をそのまま転用することは避け、自社の個人情報の取り扱い方法に沿ったものを作成することをお勧めします。
答えを誘導しない
以下の質問のように、答えを誘導するような質問の仕方になってしまうと、正確なアンケート結果が得られないだけでなく、回答者にも不快な印象を与えてしまう可能性がありますので、注意しましょう。
(悪例) 「当社のセミナーは毎度満足度が95%を超えております。本日ご参加されていかがだったでしょうか。」
アンケート実施後のアプローチ方法
アンケートで得た顧客情報をマーケティングに役立てる手段として、MAツールを活用することをお勧めします。MAとはマーケティングオートメーションの頭文字をとった言葉で、情報の集計や整理、抽出、管理を得意とするデジタルツールです。
ご自身のお勤め先で導入されているMAツールとウェビナーツールを連携することで、アンケートで得られた情報を漏れなく顧客の育成に活用できます。
MAツールとアンケートで得た顧客情報を連携させることで、まず顧客をスコアリングし、成約可能性の高い顧客を分類することができます。さらに、マーケティングにおけるシナリオ作成やセグメントによる顧客別営業メールによって、それぞれの顧客に合わせた適切なタイミング、適切な内容の営業をかけることが可能になるのです。
MAツール機能活用の具体例
スコアリング機能
スコアリングは、管理しているリードの情報をベースに、リードのスコアを加点していく機能です。スコアの高いリードほど「商談・成約に至る確度が高い」ということになります。ウェビナーのアンケートで得た顧客の情報もスコアの要素に加えることで、より精度の高い顧客管理につながります。
スコアの高い顧客に対して、営業が電話やメールなどで連絡を入れることで、効果的な営業をかけることが可能になります。
セグメントメール送信機能+トラッキング機能
セグメント(Segment)は英語で断片・部分・区分などの意味で、セグメントメール送信機能は顧客を性質や特徴で区分し、各々の区分に対してより効果的な内容のメールを送信する機能です。
トラッキング機能によって、セグメントメールが顧客に開封されたかをチェックすることができ、その結果によって顧客のスコアリングが行われます。
シナリオ作成機能
自社の戦略に沿ったシナリオ(ナーチャリングの筋書き)をMAツール上で作成できる機能です。
アンケート結果とMAツールを連携させることで、アンケートで得たリード情報をもとにして、顧客の購入見込みが高まる段階を見極められ、適切なタイミングでのアプローチを可能にします。
ターゲティング広告
閲覧したことがあるサイトの内容に関連する広告が、その後別のサイトの閲覧時に出現したなんていう経験を、誰しも一度はしたことがあるでしょう。その広告はターゲティング広告と言います。MAツールでは訪問者の地域・アクセス元・サイト上での動きを分析し、結果をもとに連携している他のサイトで広告を表示できます。
ウェビナーアンケートツール6選
アンケート機能搭載のウェビナー
ウェビナーの実施においては、ウェビナーツール自体にアンケート機能が搭載されているものを使うと簡単です。
1.V-CUBE セミナー
Web会議システムなどのビジネスコミュニケーションツールを開発している株式会社ブイキューブが提供している、ウェビナー用ツールが「V-CUBE セミナー」です。
最大10,000人に対し、他言語(英語、中国語)に対応した高画質なウェビナーを生中継で配信できます。
チャットやアンケートなどの機能のほか、専門スタッフの配信手伝いや、配信・撮影用のスタジオ利用を促進するためのサポートも充実しています。
アンケート作成画面
アンケート表示時の受講者画面
参加人数 |
10,000名 |
配信システム |
ライブ配信・録画配信 |
料金 |
公式HPからお問い合わせください。 |
参考:V-CUBE セミナー
2.Zoom ビデオウェビナー
オンラインミーティングツールの「Zoomミーティング」のオプション機能が「Zoomビデオウェビナー」です。最大100名が主催者(会議参加者)として出演し、視聴者に向けてライブ配信できます。Facebook LiveやYouTubeなどのソーシャルチャンネルにも配信可能です。
チャットや質疑応答など機能が充実しており、簡便性の高いサービスです。
「Zoomミーティング」を利用しているユーザーにとっては、最も導入しやすいツールの一つといえるでしょう。
参加人数 |
10000名 |
配信システム |
ライブ配信・録画配信 |
料金 |
月額2,200 円〜/1ID + オプション料金(税別) |
参考:Zoomスタイル
3.LOGOSWARE GigaCast
「LOGOSWARE GigaCast」は、ライブ配信機能の提供にとどまらず、セミナー告知ページや申し込みページの自動生成、セミナー中の質疑応答機能やアンケート実施・集計など、企業がセミナーを実施するための一連の作業をすべてWEB上で実現できます。また、フレキシブルな価格設定は大きな特徴で、固定費ゼロの「プリペイド制」プランなら月ごとの使用頻度に合わせて価格も変化するので、「たまにしか使わない」「来月だけ10回以上使う」といった顧客のニーズに見合った価格で使用できます。
参加人数 |
6000名 |
配信システム |
ライブ配信・録画配信 |
料金 |
月額3,200円~ /1セミナー(税別) |
4.コクリポ
「コクリポ」はアンケートやチャットなどの基本的な機能を網羅しつつ、初月無料(最大同時接続3人)という手軽さを実現しました。「無料オンライン説明会」にてウェビナー開催希望企業の不安を取り除く場を用意するなど、サポート体制も整っており、アンケートを伴うウェビナーに不安を持つ使用者にとっても安心して使用できるツールです。
参加人数 |
300名 |
配信システム |
ライブ配信・録画配信 |
料金 |
月額30,000円~(税別) |
出典:コクリポ
外部のアンケートツール
ウェビナーツール内のアンケート機能以外にも、外部のアンケートツールを利用する方法があります。無料ツールも多いため、費用をかけずにアンケートを作成・収集・分析が可能ですが、ウェビナーツールとの連携が難しいため、参加者の照らし合わせなど、集計に手間がかかる場合があります。
1.Googleフォーム
GoogleフォームはGoogleが提供しているフォームサービスです。Googleのアカウントさえ持っていれば、無料でアンケートを作成、収集、回答整理を行うことができます。記入式はもちろん、選択式やプルダウン式、評価スケールなど、様々な形式での質問を作成することが可能です。
2.Microsoft Forms
Microsoft FormsはMicrosoftが提供しているアンケートサービスです。Microsoftのアカウントを制作することで、無料で利用が可能です。アンケートの制作から、回答データをグラフ化してアンケート結果の可視化や分析ができます。
まとめ|ウェビナーのアンケートで適切なフォローを実現
ウェビナーの成功には「ウェビナー開催後の見込み顧客への適切なフォロー」が大切です。
対面のセミナーと比べて双方向のコミュニケーションが取りにくい点など、ウェビナーには「フォローの難しさ」もありますが、適切なアンケートの実施によってフォローの手順を明確にすることで、適切なフォローを実現することができます。
アンケートの質問内容・実施方法に、本記事で述べた適切な工夫を施すことができれば、ウェビナーの有用性を高めることができるでしょう。