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満員電車で通勤せず自宅に近い場所で働く、あるいは豊かな自然に囲まれた環境でゆったりと暮らし、働く。そんな新しい働き方を可能にするのがサテライトオフィスです。働き方改革によってこれまでより自由度の高い働き方が求められているなか、サテライトオフィスにはさらなる注目が集まっています。この記事では今注目を集めるサテライトオフィスについて、詳しく解説します。

サテライトオフィス とは

サテライトオフィスとは、組織の本拠地から離れた場所に設置する小規模のオフィスのこと。サテライトとはもともと衛星という意味で、本拠地から衛星のように設置されることから名付けられたとされています。働き方改革がさまざまな企業で取り組まれているなか、サテライトオフィスはテレワークを支える新しいオフィスのあり方として注目を集めています。

サテライトオフィスとテレワーク

テレワークとはICTを活用し、時間や場所にとらわれない新しい働き方をいいます。テレワークの中でも、自宅で仕事を行う在宅勤務、移動中に仕事を行うモバイルワーク、サテライトオフィスで仕事を行うサテライトオフィス勤務があります。さまざまな場所にサテライトオフィスを設置することで、働く場所の多様化を進め、業務の効率化が期待されているのです。

サテライトオフィスと「支店・支社」の違い

サテライトオフィスと似たようなオフィスのあり方として、支店や支社があります。一般的に支店や支社は、業務全般を扱うことのできる設備を整えている場合が多いです。一方でサテライトオフィスは、必要最低限の設備のみにとどめ、より小規模なオフィスを指すことが多いです。そのため、組織専用のサテライトオフィスだけでなく、レンタルオフィスなどの施設をサテライトオフィスとして利用することもあります。

サテライトオフィスが注目を集める背景

このようなサテライトオフィスですが、これまで以上に注目を集める背景には働き方改革や地方創生、ICTの活用などさまざまな理由があります。サテライトオフィスを活用することで、これまでに比べて自由な働き方ができるようになり、コストの削減や業務の効率化、従業員のワークライフバランスの向上などにつながるなど、さまざまな効果が期待されているのです。ここではそれらについて詳しく解説します。

自由な働き方が求められている

サテライトオフィスが注目を集める背景のひとつには、働き方改革の推進が挙げられます。日本の人口は2008年をピークに減少しており、企業は労働力の確保が課題となっています。そのなかで主に労働の担い手となる30〜50歳代が、育児や介護を同時に担う、いわゆるダブルケアが必要になってきており、これまでの働き方では仕事し続けることが難しくなってきているのが現状です。

 

日本総人口推移

 

(参照元:総務省統計局

 

こうした事情を受けて自由な働き方を実現するのが働き方改革の目的のひとつです。これまでよりも、時間や場所にとらわれない新しい働き方を進めることで、育児や介護などを行いながら仕事を続けられるようにすることが期待されています。

地方創生・地域活性化

地方にサテライトオフィスを開設することで地方創生を図る動きもあります。人口や企業活動において東京への一極集中が続いているなか、地方にサテライトオフィスを開設することで、地方に人や情報の流れをつくることができます。これにより地方での新たなビジネスをつくるだけでなく、地方にいる優秀な人材の確保といった新たな雇用を生み出すことにつながると期待されているのです。

ICTの活用

近年ICT分野での開発、整備が急速に進められています。そうしたなかで、パソコンやスマートフォン、タブレットといったデジタルデバイスの開発、インフラとしてのインターネットの普及、ネットワークを利用したクラウド業務システムやツールの発達など、ICTを中心とした状況はみるみる変化しています。

 

こうしたICTの発達により、これまでのように、ひとつの場所に集まって仕事をする働き方ではなく、さまざまな場所で自由に働くあり方が可能になっています。こうした技術を導入することで、サテライトオフィスでもスムーズに仕事を進めることができるようになり、サテライトオフィス開設を支える動きにつながっています。

サテライトオフィスの種類

一口にサテライトオフィスといってもさまざまな形態があり、それぞれに特徴が異なっています。サテライトオフィスの種類はその設置場所と目的に応じて、大きく3つに分けられます。ここではサテライトオフィスの種類についてご紹介します。

都市型サテライトオフィス

都市型サテライトオフィスは、都市部に開設するサテライトオフィスです。主に地方に本社を持つ企業が持つことが多く、都市部における営業所としてオフィスを構えることが一般的です。都市部の営業にあたる従業員が、無駄な移動を減らすことができ、仕事をスムーズに行うことができます。

 

また都市部に本社を持ちながら、本社とは別の機能をもたせた拠点として、サテライトオフィスを構えることもあります。こうした場合にはオフィス機能をさまざまな場所に分散することで、コスト削減やBCP対策につながる効果が期待されているのです。

郊外型サテライトオフィス

郊外型サテライトオフィスは、都市部に本社がある企業が、郊外にオフィスを構えることが一般的です。従業員の住居がある郊外に、仕事場を新たに構えることで、都市部の拠点まで通勤していた時間や費用を減らすことができます。これにより、仕事にかかる時間を最小限に抑えることができるので、介護や育児など私生活との両立がとれ、従業員の離職防止にもつながることが期待されています。

地方型サテライトオフィス

地方型サテライトオフィスは、都市部に本社がある企業が、地方の遠隔地にオフィスを構えるのが一般的です。地方創生につながるサテライトオフィスのあり方として紹介したように、地方での新たなビジネスや雇用の創出につながることが期待されています。

 

それに加えて、都市部で働いていた従業員が地方移住することで、自然に囲まれた環境で暮らし、働くことを通してワークライフバランスが保たれ、労働生産性の向上につながることも期待されています。国や地方自治体ではこうした地方型サテライトオフィスを開設することを後押ししており、さまざまな支援事業が行われています。

サテライトオフィスのメリット

このようにさまざまな形態のあるサテライトオフィス。その導入によって、さまざまな効果が期待されています。ここではサテライトオフィス導入によるメリットについて詳しくご紹介します。

通勤・移動にかかるコストの削減

サテライトオフィスの大きなメリットのひとつに移動にかかるコストを減らすことがあります。営業先の拠点や従業員の住居と近い場所にオフィスを設置することで、営業先とオフィス、オフィスと住居の移動を最小限にすることができ、通勤時間や通勤費を減らすことができます。移動が減ることで従業員のストレスを減らし、生産性の向上につながることも期待されます。

介護・育児などによる離職の防止

通勤によるコストを減らせることは、従業員が仕事にかかる時間を最小限に抑え、自由な時間を確保できることにつながります。このように自由な働き方が実現できることで、介護や育児による離職を防ぐことが期待されます。また従業員のワークライフバランスの確保にもつながり、生産性の向上にもつながります。

地方にいる優秀な人材の獲得

地方にサテライトオフィスを設置することで、それまで都市部では働けなかった、地方にいる優秀な人材を新たに確保することができます。

BCP(事業継続計画)対策として

BCPとは、自然災害や火災、テロといったさまざまな緊急事態に直面したときにも事業を進めたり、早期復旧させたりするための計画のことをいいます。本社や支社以外にサテライトオフィスを設置することで、仕事の一極集中を分散させ、リスク回避につながることが期待されています。

サテライトオフィス のデメリット

一方で、サテライトオフィスの開設はメリットばかりとは言えません。ここではサテライトオフィスによるデメリットについてご紹介します。デメリットもしっかり理解することで、サテライトオフィスを効果的に活用することができます。

コミュニケーションの不足

遠隔地とのコミュニケーションは、ICTの発達で取りやすくなりました。しかし対面のコミュニケーションに比べるとまだまだ劣る点も多いです。そのため従業員間のコミュニケーションが不足し、誤解やすれ違いが起こる可能性があります。こうしたリスクを避けるためにもツールの特性を理解し、より綿密なコミュニケーションを図ることが大切です。

セキュリティ面

複数の小さな拠点を持つということはそれだけセキュリティ面の脅威にさらされるリスクが高まります。こうしたリスクを避けるさまざまなツールも登場しています。サテライトオフィスで使用するパソコンなどの端末はシンクライアント化、つまりデータを読み込んで閲覧するだけの道具として使用し、データはサーバー上に保管する方式を取ることでリスクを最小限に抑えることができます。

オフィス設置に労力がかかる

小規模なオフィスとはいえ、サテライトオフィスの設置は、新たな拠点を開設することです。設置場所から目的の確認、インフラや設備の整備などさまざまな労力がかかります。サテライトオフィスの開設には、目的を明確にすることで、より効果が期待できます。また国や地方自治体から補助金や支援が受けられる場合もあるので、事前の確認を行いましょう。

サテライトオフィス 導入企業の事例

事例1.都市型サテライトオフィスで、他組織との連携強化

京都大学

 

(画像引用元:京都大学

 

京都市に本拠地を構える「京都大学」は、東京都千代田区にサテライトオフィスを開設しています。ここでは、産官学共同研究や他機関等の研究者との打合せをはじめ、首都圏の志望者向けの入試説明会、首都圏企業への就職支援相談会、大学主催の講演会・セミナーの開催など、さまざまな用途で利用されています。

 

事例2.郊外型サテライトオフィスで、コストを効率的に削減

富士通株式会社

 

(画像引用元:富士通株式会社

 

富士通株式会社」では、各地にある主要な事業所に、社内サテライトオフィスを設置しています。従来から事業所の数が多く各地に点在しており、従業員が事業所間での出張も多くありました。クライアント訪問する際にも、その近くに事業所があれば立ち寄ることもあったそうです。そこでそれぞれの事業所にサテライトオフィスを設置することで、お客様への訪問や事業所間の移動などの時間を効率よく使うことにつなげています。

事例3.地方型サテライトオフィスで業務の効率化

株式会社あしたのチーム

 

(画像引用元:株式会社あしたのチーム

 

東京都中央区に本社を持つ「株式会社あしたのチーム」では、徳島県三好市、福井県鯖江市にサテライトオフィスを設置。本社・支社とサテライトオフィス間でのリモートワークを実施しています。豊かな緑のある街で業務を行うことで効率が良くなったと評価され、これに関連して、徳島県ではサテライトオフィスの開設を積極的に誘致しており、専用サイトも開設しています。

まとめ

ここまで今注目を集めるサテライトオフィスについて解説してきました。働き方改革の対応だけでなく、労働力の確保や業務の効率化、生産性の向上などさまざまな効果が期待されています。目的に応じたサテライトオフィスを導入することで、効果的な業務改善を行ってみてはいかがでしょうか。