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i-Constructionとは?企業へのメリットや目的・施策をわかりやすく解説

i-Constructionとは?企業へのメリットや目的・施策をわかりやすく解説

2016年に国土交通省が、建築業の生産性向上を目的とした「i-Construction」と呼ばれる、新基準の導入を表明しました。それ以降、建築業界を中心に「i-Construction」という言葉を頻繁に耳にする機会が増えています。

しかし、実際に「i-Construction」の制度を詳しく知っているという方は少ないのではないでしょうか。本記事では、「i-Construction」の3つの柱や企業への導入事例について解説をしていきます。

i-Constructionとは?

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「i-Construction」とは、国土交通省が進める建設業界の生産性向上を目指す取り組みのことです。建築業界は、他の産業と比較しても、生産性が低いというデータがあり、政府は業界の改革の必要性を重く受けとめています。

多くの人は「i-Construction」といえば、ICT化ばかりがイメージされやすいのですが、「i-Construction」のコンセプトは、次の3つです。ICT化は施策の1つと言えるでしょう。

  1. ICTの全面的な活用(ICT土木)
  2. 規格の標準化
  3. 施行時期の標準化

これらの取り組みを総括して、政府は「i-Construction」と命名しています。ICT技術の活用を中心に規格の標準化・施行時期の標準化を実施し、建築業界の生産性向上を目指しています。

これらの取り組みには、将来的には建設業の「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージを「給料が高い・休暇が多い・希望がある(新3K)」へと変える狙いがあります。

i-Constructionが導入された背景

建設業は、インフラの整備やメンテナンスの担い手であるにもかかわらず、現場の技能労働者・若年従事者の減少に見舞われており、長期で持続可能な建設業の体制構築が喫緊の課題になっています。

総務省統計局によると、令和元年12月では建設業の就業者は488万人であり、ピークの平成9年685万人から約29%も減少しています。さらに、建設業就業者の55歳以上は3万人増加し、29歳以下は約1万人減少しています。

このような背景もあり、建設業の生産性向上は急務です。ICT技術の全面的な活用により、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの全ての建設プロセスを省力化が可能になり、これまでより少ない人数、少ない工数で同じ工事量を実施できるようになります。

少子化のため全産業で生産性が低下しつつあるところ、建設業は人手不足も加味されて生産性の低さに拍車がかかっています。国土交通省は、建築業の活性化を目指し、国土交通省の「生産性革命プロジェクト」の一つとして「インフラの整備・管理・機能や産業の高度化」を目指し2016年から国を挙げて取り組んでいます。「i-Construction」はその手段の一つです。

i-Constructionの3つの柱

「i-Construction」は、次の3つの施策を「i-Constructionの3つの柱」と銘打って推し進めています。

  • ICT技術の全面的な活用(ICT土工)
  • 規格の標準化
  • 施工時期の標準化

それぞれ、どのような施策なのか解説していきます。

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出典:福井コンピュータ株式会社|i-Construction SPECIAL SITE

施策1:ICT技術の全面的な活用

1つ目の施策は、ICTを全面活用することで、極力人手をかけず建設プロセスを進めることです。

例えば、測量についてはドローンが自動飛行することで、人力での測量が不要になります。また「3次元データ」を活用した施行量の算出、現場で使用する重機を自動化して省人化を進める動きなどがあります。

施策2:規格の標準化

原材料(材料メーカー)から部材(建材メーカー)・組み立て(専門工事会社)が、可能な限り早い時期から工事関係の情報を共有して工事計画の効率化を図ることが「規格の標準化」です。

これまで、建設現場で使用される材料は現場ごとの一品生産であり、部分最適が前提でした。しかし、これでは工期や建築物の構造を踏まえた全体最適な部品が生産されていませんでした。

そこで、コンクリート工に代表されるような工法を標準化し、それに合わせた材料や組み立て方法を考案しようという動きがあります。これにより、材料の大量生産や工法を検討する時間を削減し、コスト・工期の改善につなげます。

施策3:施行時期の標準化

早期発注や債務負担行為の活用等により、行政依頼の大型施行の時期を従来のように年度末に集中させるのではなく、施行時期を年間標準化させます。これにより人材の効率的な配置が可能となり、収入や労働時間・休暇の安定化を実現します。

i-Constructionを導入した政府の動き 

国土交通省をはじめとした政府自治体も、本格的に建設業における生産性向上の支援を始めています。というのも、「i-Construction」の導入により建設業の生産性は約2倍に向上し、賃金水準の上昇や働き方改革にもつながると見込まれているからです。

しかし、建設業の場合、大手ゼネコンの下請けとして働く中小企業が圧倒的に多いです。そんな中小企業にとって、「i-Construction」に取り組もうにも資金が足りない可能性が高く、人手不足も中小企業の方が深刻です。

安倍総理

出典:政府インターネットテレビ

そこで、中小企業の資金源獲得に向けて「未来投資会議」が立ち上がりました。2018年9月12日、安倍総理が総理大臣官邸で、第1回「未来投資会議」を開催し、2025年までに建設現場の生産性を20%向上させることを宣言したのです。

そのための施策として、以下の内容も盛り込みました。

  • 今から3年以内に建設現場の「i-Construction」化を普及する
  • 重機の操作や測量・作図の技術等の人手に頼っていた技術を数ヶ月で習得できるようにする
  • 旧3K(キツイ・汚い・危険)のイメージを払拭して新3K(給料が高い・休暇が多い・希望がある)に一新する
  • 人手不足を解消し有能な人材を確保する
  • 全国津々浦々で中小の建設現場を劇的に変える

この政府の宣言による具体的施策の一つとして、「i-Construction(ICT施工)の導入に関する補助金(pdf)」という資金援助があります。国から資金援助を行い中小企業に至るまで「i-Construction」を浸透させ、建設業の生産性を一層高めることによって労働条件を改善しとしているのです。

ただし、令和元年8月末時点では補助金の申請は既に締め切られ、「人材開発支援助成金(pdf)」のみが年度末(令和2年3月31日)までお申し込みできます。

政府はさまざまな支援策によって「新3K」を実現し、多様な人材を呼び込んで人手不足の解消を目指しています。そして、建設現場の生産性を2025年までに20%向上を実現しようとしているのです。

政府のイメージする生産性向上は2つの面から構成されます。1つは、トップランナー施策でも挙げた「施行時期の標準化」による工事日数の削減(休日拡大)。2つ目はICTの導入等により、中長期的に予測される技能労働者の減少分を補完することです。この2つを実現することによって、生産性向上を測ろうとしています。

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出典:i-Constructionの推進|国土交通省

測量・施工・検査における、i-Constructionのメリット

i-Constructionは測量・施工・検査の3つで行われますが、それぞれどのようなメリットが企業にもたらされるのでしょうか。1つずつ順番に解説していきます。

測量でのメリット

今までは施行前の測量も施行後の検査・確認も、技術者を現場にやって人の手で現場の状況を把握していました。ICT化を実現すると、その工程をドローンで代用することができるのです。

ドローンは、緻密な飛行区域を設定することで三次元測量だけでなく、空撮も可能です。この空撮によって検査・確認も人の手よりも遙かに短時間で正確に行うことができます。

ドローンがとらえたデータをソフトに取り込み、不要な定点を削除していくことで即座に図面化(三次元測量図作成)することもできるので、人手不足解消に直結します。さらに、人が行けないような危険な場所にもドローンを飛ばすことができます。

また、従来では問題が発生したときは二次元のデータだけでは不明確だったため、技術者が現場に行って確認しなければ正確な判断ができませんでした。しかし、ドローンの空撮による三次元測量と映像によって、会社にいながら現場の状況が正確に把握できるので、出張費をかけずに即座に判断が可能となります。

施工でのメリット

ICT機器による施工とは、例えば、パソコンと直結した自動操縦ができるユンボが現場を掘削する等、今まで操縦のための免許保持者でなければ操作できなかった重機も、人件費をかけずに操ることができます。

ICT機器の操作は、モニター付でオペレーション化しているため、操作さえ覚えれば女性でも簡単にできます。もはや熟練の勘に頼るような経験値は必要なく、重機を誰でも免許なしで操れる時代が来るかもしれません。

人が入るにはまだ危険な震災地の復興工事にもICT機器は活躍します。人が入れない場所でもICT機器による工事が可能になれば、震災地での復興工事着手も早まります。

検査でのメリット

例えば、人の手で200Mごとに測量検査を行っていた場合、日数も人件費もかかっていました。ところが、点を定めてドローンを数時間飛ばすだけで三次元測量が可能となり、その定点データをPCに取り込んで、必要なデータだけを拾って図面化できるのです。

そのデータの使い方次第でグラフ化したり、図面化したり、未来予測に使用することもでき、検査結果の入力の手間も省けます。

また、スマートグラスを活用すれば現場に監督が移動しなくても、PC上で現場の状況を確認し、指示を出すことも可能です。その場合、監督の移動時間や交通費を削減することができます。

i-Constructionを導入する際に気をつけたい、3つのポイント

中小零細企業の費用負担が大きい

「i-Construction」の導入には、やはり一定の費用が掛かります。ゼネコンや大手建設業の場合は、豊富な資金源があり導入が進みやすい傾向にあります。

一方、ゼネコンやゼネコンの元請けの大手建設業の下請け・孫請け等の中小零細企業の場合は、導入費用が高額でICT化がそもそも難しい可能性もあります。

先述したように、2019年8月末には、「i-Construction」導入の補助金は締め切られており、二次募集においても2019年9月末に補助金申請の受け付けは終了しています。しかし、「人材開発支援助成金(研修費賃金補填)」は2020年3月31日まで申請を受け付けています。

中小企業ほど、「旧3K」から「新3K」への転換が難しいともいえます。

技術取得のハードルが高い

i-Constructionの肝であるICTも、現場で働く従業員がその技術を取得できなければ、活用が進みません。

例えば、ドローンを利用した三次元測量・データ作成・設計図作成の場合、そのデータから一気に画像や作図まで可能ですが、ドローンの安全な飛行計画と飛行技術の確認、定点を正確に撮影する技術が必要です。

また、測量データをPCに落とすときも、一般的なソフトの操作研修に比べて難易度が高く、経験と慣れが必要な部分もあります。一朝一夕で技術を習得するというわけにはいかないでしょう。

大規模工事の測量は、一般的にゼネコン等の大手企業が行います。測量士の人数が2~3人と少人数で済むのは大きなメリットですが、「ドローンの操縦ができない」、「ソフトを上手く操れない」といった理由で、これまで活躍していた有能な50代測量士の生産性が低下してしまう懸念もあります。

この懸念はPC操作に長けた若年層よりも、PC操作に不慣れな50代といった団塊の世代の人の手の正確な技術が建設業を支えているという現状からくる課題ともいえます。

残り数年で定年を迎える50代以上の技術者に、今から研修させるのを躊躇する企業もあるでしょう。その場合、熟練技術者ほどi-Construction化から遠ざかります。

安倍総理は「何年もかけて習得していた技術を数ヶ月で習得できる」と宣言はしています。しかし、そうは言ってもi-Constructionは「熟練者の技術を基礎にICT化に対応する」のがベストかもしれません。

費用対効果があるかの判断が難しい

「i-Construction」のICT化の導入には費用がかかります。国から補助金や融資を受けて導入したとしても、その費用を回収するだけの利益が見込めるのかが重要な課題です。

導入した年度の決算時において導入コストの負担が大きいのは確かですので、それをどのように回収していくのかは、今後のマネジメントにかかっているともいえます。

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出典:ICT活用工事の実施状況(H30年度)|国土交通省

 

上記2018年の国土交通省の「ICT活用工事の実施状況(H30年度)|国土交通省」調査結果のデータを見ると、公告件数におけるICT活用工事の割合が35.9%、42.1%、47.7%と年々増えていました。しかし、不景気のせいか肝心の工事の公告件数が減少傾向にあります。

建設現場は20年以上前からマニュアル重視・量をこなすという考え方があり、人手と図面を大量に投入する習慣から抜け切れていません。

費用対効果を増大させるためには、生産性の飛躍的な向上がカギとなります。i-Construction導入によって建設現場の飛躍的な合理化を図り、人工・資財・ 施工の面を抜本的に見直す必要があります。

i-Constructionに取り組む5つの企業事例

豊蔵組|MCバックホウの使用により大幅な施工性・品質の向上

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出典:株式会社豊蔵組

株式会社豊蔵組」は、北陸地方整備局 金沢河川国道事務所が発注した「H29・30能越道 長沢道路その7工事」を施工したことで、工事業務部門における令和元年度の最高賞の国土交通大臣賞を受賞しました。

工事概要は、能越自動車道・輪島道路11.5キロのうち、輪島市三井町長沢地先で延長約420メートルの道路工事を施工。工期は2017年08月01日~2018年07月31日で、請負金額は2億1416万4000円です。

豊蔵組は、岩が露出する法面整形で、全国初のツインヘッダを装着したMCバックホウを使用しました。これにより掘削位置の把握(制御)が可能となり、大幅な施工性・品質の向上に成功しました。

ICT建機のアタッチメントをバケットからツインヘッダに付け替えるだけで済むため、今後は既存のアタッチメントとの組合わせで、新たな施工方法も開発される可能性があると評価されました。

道端組:ドローンを活用して時間短縮・生産性アップ

7(1)道端組導入事例

出典:株式会社道端組

「株式会社道端組」は、UAV事業というドローンを利用した3次元測量、3次元データの図面化、検査までを専門に行い、自社の施行に利用するだけでなく、他社の外注としても引き受けています。

ドローンを利用した空撮・測量は、大規模工事の測量においても便利で時間短縮が可能です。その反面、正確な飛行・測量・データ起こしが必要なのです。それらの卓越した技術を徹底的に社員にマスターさせ、生産性アップに繋げているのです。

また、施行面についても、重機のICT化によって、若い人材や女性にも現場で活躍できる新3Kの職場づくりの実現を着実に行えています。

山陽建設:i-Constructionに注力し業界全体のイメージアップに貢献

7(2)山陽建設事例

出典:山陽建設株式会社

「山陽建設株式会社」は、生産性を高める「i-Construction」に力を入れています。また、建設業の「旧3K(キツイ・汚い・危険)」のイメージを払拭し「新3K(給料が高い・休暇が取れる・希望が持てる)」というイメージを植え付ける、イメージ改革にも力を入れています。

山陽建設は、これから建設業界に夢を持って入ってくるかもしれない地元の小学生を対象に「現場説明会」実施によって、「新3K」で建設業のイメージを将来の仕事の夢を抱き始める早い時期から植え付けつつ、そして身近に感じてもらうための取り組みをしています。

地元の身近な「山陽建設」のイメージづくりのために、地元の花火大会や祭りに協賛し、建設業を身近な職業として感じてもらう努力も重ねています。その結果、山陽建設は、地元(広島県)に貢献度の高い優良企業として、国土交通省や広島県知事から多く表彰されています。

カナツ技建工業株式会社:i-Construction大賞で最高賞の国土交通大臣賞を受賞

カナツ技建工業

出典:カナツ技建工業株式会社

カナツ技建工業株式会社」は、国土交通省の「施工現場の労働生産性を飛躍的に向上するための革新的技術導入・活用に関するプロジェクト」に応募して、「対象技術Ⅰ:データを活用して土木工事における施工の労働生産性の向上を図る技術」の部門における提案について、選定されました。

測量・施工・検査の全てにわたり、「携わる皆が協力して進めるi-Construction」をスローガンに、生産性向上を目指しています。

また、国土交通省により創設された「i-Construction大賞」について、初めての受賞者となる12団体が発表され、最高賞である「国土交通大臣賞」を受賞しました。

北野建設株式会社:詳細な施工図を高画質で共有。業務効率化とコスト削減を実現

北野建設株式会社

出典:北野建設株式会社

長野に本拠を構える「北野建設株式会社」は建設工事の企画・設計・施工管理・コンサルティングや地域・都市開発、再生可能エネルギー事業、ホテル・劇場経営など多岐にわたります。

Web会議システムを利用して長野本社、東京本社と支店、営業所の間で通常の拠点間会議だけでなく、建築部や土木部でのBIGPADの大画面表示を生かし、詳細な施工図などを高画質で共有して実施する技術会議などでも活用。

今後モバイル端末のカメラを活用し、工事現場と拠点間での報告、打ち合わせを実施して移動コスト削減を検討しています。

まとめ|i-Constructionで生産性は向上する

政府が掲げる建設業の「i-Construction」に取り組むことで、飛躍的な生産性の向上が図れることは明確です。しかし、「i-Construction」の導入には一定の費用がかかるので、導入に着手しているのは大手企業に限られています。

他の業界同様、建設業も職人の腕に頼ってきた作業がICTの力で効率化していくのは間違い無いでしょう。新3Kを思わせる未来型建設業に向けてICTツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

川本 凜
著者情報川本 凜

ブイキューブのマーケティング本部で広告運用を担当しています。

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