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注目されるバーチャル株主総会とは?背景や注意点を解説

注目されるバーチャル株主総会とは?背景や注意点を解説

新型コロナウイルスの影響により、私たちの働き方は大きく変化しました。特に、インターネットを活用して遠隔でも仕事ができるリモートワークや、Web会議などのツールは、その利便性から需要が高まるばかりです。

働き方の変化が著しい中で、企業が年に一回開催する株主総会においても、遠隔で行えないかの議論が現在されています。

これまで株主総会はリアルの会議室で行われるのが一般的でしたが、会社法の法解釈が明確になっていなかったこともあり、現在話し合いや調整が行われている状況です。

2020年2月に、経済産業省が「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を策定したことで、遠隔でも株主総会を行うことができる可能性が出てきました。

そこで今回の記事では、Web会議システムを使ったバーチャル株主総会について、基本的な理解から背景、具体的な実装方法などについて解説します。

バーチャル株主総会とは

本章では、バーチャル株主総会に関する基本的な理解について解説します。

株主総会の3つの種類

2020年5月現在、株主総会には大きく分けて3つの種類が存在しています。

株主総会の3つの種類

出典:ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド について|経済産業省

一つ目は、上場会社が開催する一般的な形式の株主総会。物理的に存在する会場において、取締役や監査役等と株主が一堂に会するかたちで行われます。

二つ目は、ハイブリッド型バーチャル株主総会です。通常、リアルの場で開催される株主総会ですが、開催場所にいない株主についても、インターネット等の手段を用いて遠隔地から同時に会議に参加/出席することを許容する形式です。

また後ほど触れますが、ハイブリッド型バーチャル総会には、出席型/参加型とあり、法律上の解釈も異なります。こちらは後述する「入門!ハイブリッド型バーチャル株主総会」で詳しく説明しています。

そして三つ目は、リアルな株主総会を開催せず、取締役や監査役等と株主がすべてインターネット等の手段を用いて株主総会に出席するタイプです。

これを、「バーチャルオンリー型株主総会」といいます。

現行法では、バーチャルオンリー型株主総会の開催は不可

すでに十分なインターネット環境やテレビ会議システムが会社に入ってる企業にとっては、リアル株主総会の開催を必要としないバーチャルオンリー型株主総会は便利に思えます。しかし、現在の会社法では開催は難しいという見解が政府より示されています。

第197回国会 法務委員会 第二号(平成30年11月13日)において小野瀬厚政府参考人(法務省民事局長(当時)は、以下のように述べています。

実際に開催する株主総会の場所がなく、バーチャル空間のみで行う方式での株主総会、いわゆるバーチャルオンリー型の株主総会を許容するかどうかにつきましては、会社法上、株主総会の招集に際しては株主総会の場所を定めなければならないとされていることなどに照らしますと、解釈上難しい面があるものと考えております

つまり、法律上の規定では、株主総会を行うリアルでの場所を決めなければ、正式な株主総会として認められない可能性があるということです。これらの条件を守らなければ、もしもの際にそこで決めた決議が認められない可能性があるため、現在ではリスクがあります。

バーチャル株主総会が注目される背景

近年、バーチャル株主総会が注目されるようになったのには、以下のような理由が考えられます。

Web会議システムなどのインターネット通信環境の信頼度が向上した

バーチャル株主総会を開催するには、インターネット環境が必須ですが、近年通信環境が安定し、高品質なWeb会議システムやサービスなどが多く出てきたことが、バーチャル株主総会を開催したいというニーズを生み出しています。

忙しい役員メンバーが同じ時間・場所で一堂に会するというのは、直近のスケジュールが合わず延期になってしまうなど、時間的なコストが高くなってしまいがちです。

ですが、バーチャル株主総会の実施を実現することができれば、最短のスケジュールで会議を組むことが可能となります。

2020年4月、GMOインターネットがハイブリッド型バーチャル株主総会を実施した結果、同社の通常の株主総会の所要時間は1時間30分~2時間程のところ、37分にまで短縮したといいます。

新型コロナウイルスの感染対策になる

2020年3月あたりから日本でも猛威をふるっている新型コロナウイルスの感染症対策の観点からも、バーチャル株主総会は注目を集めています。

役員陣と株主が同じ会議室に集まるのは、未だ3密(密閉空間、密集場所、密接場面)のリスクのある行為です。

そのため、コロナ対策として、株主総会開催延期、来場抑制策、来場謝絶策などの対応を検討している企業が増えてきています

なお、経済産業省のWebで公開されている「株主総会運営に係る Q&A」では、株主に来場を控えるよう呼びかけること、会場に入場できる株主の人数制限、株主総会への出席についての事前登録制、発熱や咳などの症状を有する株主に対し入場を断ること、株主総会時間の短縮は可能としています。

人材不足やコスト削減対策にも有効

先ほど述べたように、日本ではバーチャルオンリー型株主総会は認められていません。

しかし、働き方改革による業務コストの見直し、また今後労働人口が減ってくることを鑑みると、オンライン株主総会の需要は高まると考えられます

実際に移動時のコストが日本よりも高く、また国土が広く物理的な移動が容易ではない諸外国においては、日本よりも高いニーズが存在している傾向にあります。

例えば、アメリカのいくつかの州では、すでにバーチャル株主総会が開催されており、過去10年間で急激な普及を見せています。

人材不足やコスト削減対策にも有効

出典:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を受けた米国バーチャル株主総会の動向

そのうちの一つ、デラウエア州の会社法211条では、次の3つの条件を満たす場合には、バーチャル総会を行なっても良いことになっています。

・株主の本人確認の方法を確保すること

・バーチャル総会への参加の方法を確保すること

・バーチャル総会での議決権行使やその他の記録を残すこと

この条項は2000年には法改正で設けられており、現在、同様の条件で他の州にも広がっています。

人材不足やコスト削減対策にも有効

出典:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を受けた米国バーチャル株主総会の動向

今後、日本でも完全なバーチャルオンリー型株主総会が認められるかもしれません。

ですが、現段階では実現可能なハイブリッド型バーチャル株主総会について理解しておくことがまず必要でしょう。

入門!ハイブリッド型バーチャル株主総会

バーチャルオンリー型株主総会の開催は、現行法では難しくなっています。

そのため、もしバーチャル株主総会を行いたい場合は、現時点では、「ハイブリッド型バーチャル株主総会」の方が実現性が高いと言えるでしょう。

ここでは今後知っておきたい、ハイブリッド型バーチャル株主総会の基本的な理解について解説します。

ハイブリッド型バーチャル株主総会には参加型/出席型がある

ハイブリット型バーチャル株主総会には、参加型と出席型の2種類があります。

それぞれの参加方法によって、法律上の取扱いが異なるので注意しましょう。

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会とは、遠隔地等、リアル株主総会の場に所在しない株主が、会社から通知された固有のIDやパスワードによる株主確認を経て、Webサイト等で配信される中継動画を視聴するような形態のことを指します。

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会

出典:経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド

参加型においては、基本的にインターネット等の手段を用いて参加する株主は「出席」していないため、会社法上の質問や動議はできませんが、議長の裁量において参加者から受け付けたコメント等を取り上げることは可能とされています。

また注意点として、インターネット等の手段を用いて参加する株主は、当日の決議に参加することはできないため、あらかじめ招集通知等で視聴する際には、事前に行使する連絡を入れる必要があります。

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会とは、遠隔地等、リアル株主総会の場所に所在しない株主が、インターネット等の手段を用いて、株主総会に会社法上「出席」できる形態のことです。

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会

出典:経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド

現行の会社法の解釈では、「開催場所と株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されている」ことを前提に、出席型による開催が許容されています。

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会を運営する上での注意点

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会を開催する場合、以下の点に注意する必要があります。

①議決権の行使はできない

先ほども述べたように、参加型の場合、当日、インターネット等の手段を用いて参加する株主は当日の決議に参加することはできません

そのため、議決権行使の意思のある株主は、書面や電磁的方法による事前の議決権行使や、委任状等で代理権を授与する代理人による議決権行使を行うことが必要であり、その旨を事前に招集通知等であらかじめ株主に周知することが望ましいとされています。

②参加方法

株主のバーチャル参加を認めるにあたっては、動画配信を行うWebサイト等にアクセスするためのID、PWを招集通知等と同時に通知する方法や、既存の株主専用サイト等を活用する方法などが考えられます。

いずれの手段を用いる場合でも、事前に参加方法を株主に通知する必要があります。 

③コメント等の受付と対応

参加型の場合、会社法314条や304条により、インターネット等の手段を用いて参加する株主は質問や動議を行うことができません

一方で、事前にコメントや質問を受け付け、株主総会中に取締役などから回答するなど、工夫の余地は未だ多くあると考えられています。

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会を行うために必要な環境

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会を行うためには、以下のような環境整備に気をつける必要があるでしょう。

オンライン会議システム

オンライン株主総会には、安定的なオンライン会議システムの環境準備が欠かせません。画面共有や会議内容の録画・録音などの機能が搭載されているものも多く、株主総会のほか研修やセミナーなど様々な活用方法があります。

オンライン会議システム

出典:V-CUBE セミナー

V-CUBE セミナーは、バーチャル株主総会でも活用できる、オンデマンドコンテンツの配信ができるクラウド型配信サービスです。

映像音声とホワイトボード同時にリアルタイムな配信が可能で、資料を説明しながらチャットやアンケートなどのツールを使用し、総会参加者とのスムーズはやり取りが可能です。

セキュリティ対策

株主がインターネット等の手段活用するために、外部からのサイバー攻撃や大規模障害等による通信手段の不具合などに備えておく必要があります。

通信環境の整備

開催場所と株主との間で、情報伝達の双方性や即時性が円滑な会議実行において大切となるため、通信環境を事前にしっかりとチェックしておきます。

 

上記、3点を満たすための具体的な対策は、次のようなものが考えられます。

 

・会社が経済合理的な範囲において導入可能なサイバーセキュリティ対策。

・招集通知やログイン画面における、バーチャル出席を選択した場合に通信障害が起こりうることの告知。

・株主が株主総会にアクセスするために必要となる環境(通信速度、OS やアプリケーション等)や、アクセスするための手順についての通知。

バーチャル株主総会の先行事例紹介:ブイキューブ × アステリア

現在、日本でバーチャル株主総会を行なった事例は決して多くありません。本章では、先行的なバーチャル株主総会の事例とそこから得た学びについて、今後企業担当者が知っておくべき重要事項をまとめていきます。

例として、Web会議の国内市場にて13年連続シェアNo.1を獲得しているブイキューブ社と、ファイル共有/配信サービス市場でシェアNo.1の社内情報配信サービス「Handbook」を提供しているアステリア社との取り組みの最新事例をご紹介します。

 

バーチャル株主総会の先行事例紹介:ブイキューブ × アステリアSCPとブロックチェーン議決権行使のイメージ

バーチャル株主総会の概要

2020年4月、ブイキューブ社とアステリア社は、新型コロナウイルス感染予防対策として経済産業省が推進しているバーチャル株主総会を実施し、「報告聴講」「質問」「議決権行使」を両社が協業してワンストップで実現する取り組みを発表しました。

どのように実行したか

▼準備したもの

オンラインセミナーシステム(V-CUBE セミナー)
・事前の会場確認(下見含む)
・キックオフミーティング
・招集通知の作成/議長シナリオ作成
・ライブ配信視聴者への利用規約作成/確認
・アンケートの設問設計

ハイブリッド株主総会の中継では、ブイキューブが中継用のスタッフを現場に配置し、フルサポートで行う「SCP」(Shareholders meeting Contingency Plan(株主総会コンティンジェンシープラン)というサービスを活用しました。

このサービスでは配信機材、スタッフの手配、派遣・配信システムの提供を行なっています。

株主総会ライブ配信サービス「SCP」のお問い合わせはこちらから

どのように実行したか「SCP」で提供されるシステム

議決の行使や質問に関しては、アステリア社がブロックチェーンを利用した仕組みを提供しています。

どのように実行したか

ブイキューブの株主総会の会場

株主総会で使われたV-CUBEセミナーのシステムでは、端末にソフトをインストールする必要はなく、ブラウザのみで参加することができます。

株主総会の招待状にURLやQRコードを印刷して送付し、株主はそれをクリックあるいは読み込むことで参加可能です。最大で同時に2万拠点まで対応するといいます。

肝である株主投票と株主質問問題はブロックチェーン技術で解決

通常、株主総会では、株主による議決案の投票と株主質問が行われます。

セキュリティ上の問題から、それらをオンライン上で行うことはリスクとされていましたが、今回ブロックチェーン技術を活用することにより、個々のプライバシーを守りつつ問題を解決しています。

具体的には以下のような仕組みです。

アステリア社の提供する議決権行使のシステムは、株主に送付された招集通知に記載された、ログインIDとパスワードによってPCやスマホなどでログインすることができます。

ブロックチェーンに投票結果を書き込むことで、主催者であっても改ざんできないようにしています。

肝である株主投票と株主質問問題はブロックチェーン技術で解決

ブロックチェーンによる株主投票

肝である株主投票と株主質問問題はブロックチェーン技術で解決

投票画面イメージ

株主質問も、議決権行使と同様に、招集通知に記載された、ログインIDとパスワードによってログインを行います。

結果は議案ごとにGoogleのスプレットシートに書き込まれ、主催者側だけがアクセスできるように設定できます。質問の件数や時間もコントロール可能です。

肝である株主投票と株主質問問題はブロックチェーン技術で解決

株主質問の概要

肝である株主投票と株主質問問題はブロックチェーン技術で解決

質問画面メージ

両社では、バーチャル株主総会は、今回の新型コロナウイルス感染予防だけでなく、今後の社会で求められニーズはさらに広がるものと考えています。

そのため、両社は今後とも協業を強化しサービスのインテグレーション強化などによって、約3,700社全ての上場企業の株主総会の支援を拡大していくといいます。

 

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ブイキューブとアステリアが『バーチャル株主総会』を推進

バーチャル総会から得た学び

同社は実際に取り組みを行なった際の気づきとして、バーチャル株主総会のメリットは、開かれた株主総会をアピールできる、株主の新型コロナウイルス感染リスクの低減、先進的な企業イメージの醸成、遠地株主の株主総会参加・傍聴機会拡大などがあるといいます。

一方、デメリットとしては、追加コストの発生、株主総会模様を二次利用される可能性などです。

主催者側が準備すべきことは、主に事前の会場確認、サービス提供者との契約締結契約締結、資料準備、インフラ構築・環境確認、会場設置です。

また、各項目において、以下のような注意点も指摘されました。

 

◾️会場のインフラについて

基本的に専用の回線を利用することが前提となりますが、予備の回線を準備することが望ましいといいます。

 

◾️招集通知

通信費が株主負担になるという注意事項、新型コロナウイルス感染によるリアル会場の利用不可の可能性などをの記載することがポイントとなります。

また本番時には、ID・パスワードがわからないなどの問い合わせに対応する専用窓口の設置しましょう。参加型の場合は質問はできないので、メッセージ投稿の機能を「質問」ではなく、「メッセージ」と表現するなど小さな工夫が大切です。

 

◾️トラブル対応について

通信障害などのトラブルに備え、関係部門との連絡方法や議長への伝達方法、オンデマンド配信なども含めて準備しておくことも大切とのことです。

まとめ|ソリューションを活用してバーチャル株主総会の検討をしよう

今回の記事では、バーチャル株主総会についてまとめました。企業の特徴によっては、従来型のリアルでの株主総会のほうが適している、といった場合もあるでしょう。

大切なのは、自社に合った株主総会の方法を選べる状態にする、ということです。

バーチャル株主総会はまだ、「参加型」も「出席型」も理想なかたちが確立されていない段階です。

運営方法の工夫、リモート会議システムの選定や補助、株主のネットリテラシーへの配慮など、あらゆる面で自社で考えなければならない点があります。

そうした中で、事例でご紹介したようなブイキューブ社の事例などを参考にし、最適なソリューションを見つけてみましょう。

ブイキューブ
著者情報ブイキューブ

ブイキューブは映像コミュニケーションの総合ソリューションプロバイダとして、世界中どこにいても働ける働き方・環境の実現を目指しています。創業時よりテレワークを活用し、2016年には総務省「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」に選出されました。

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