株主総会でスムーズに司会進行をするには?全体の流れやシナリオ例をケース別に紹介

株主総会 シナリオ 司会進行 例

株主総会の司会進行をスムーズに行うためには、全体の流れの理解が必要不可欠です。どの部分がなぜ必要でどの程度重要かを理解できれば、メリハリのある司会進行ができ、必要なら時間の短縮も可能になります。

この記事では、株主総会の司会進行・議事進行における全体の流れと短縮ポイント、シナリオ・台本の例文をオフライン・オンライン開催のケース別に紹介します。株主総会の進め方やシナリオ・台本を考える上でお役立てください。

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株主総会の司会進行の全体の流れ

まずは、株主総会の緊急動議がどのようなものなのか、基本をご紹介します。

株主総会 シナリオ 流れ

1.議長就任

会社法上は、だれが議長になるべきかという定めはありません。一般的には、代表取締役が議長になると定款で定められているケースが多いようです。定刻になったら議長は挨拶をし、自らが議長を務める旨とできればその根拠(定款の定め等)を述べます。

2.開会宣言

議長が株主総会の開会を宣言します。

3.定足数充足の宣言

議長か事務局が、本総会に出席している株主数(委任状提出分を含む)と議決権個数を述べ、株主総会の成立に必要な定足数を満たしていることを報告します。

4.議事運営の説明

審議方式や議事進行の方法、株主における発言時期の制限等を説明します。株主総会での審議方式には次の2通りがあります。「上程」とは会議にかけることです。

  • 一括上程(審議)方式:すべての議案を上程後に、まとめて質疑応答と採決を行う
  • 個別上程(審議)方式:議案ごとに、上程・質疑応答・採決を行う

会社法にはどの審議方式を使うかの定めはありません。一括上程(審議)方式は全議案を一括して扱えるため時間を短縮でき、コロナ禍で採用する企業が増加しました。この記事では、一括上程(審議)方式で進行する前提で説明します。

5.監査報告

議長や担当取締役が、当期の事業報告書や計算書類の内容等の報告事項を報告します。

事業報告書・計算書類はどうやって作る?基本項目や作成のポイント

事業報告書については「【株主総会担当者向け】事業報告書はどうやって作る?基本項目や作成のポイント」、計算書類については「計算書類って何?株主総会担当向けに押さえておくべきポイントを紹介」で詳しく解説しています。

7.決議事項の説明

一括上程(審議)方式では、議長や担当取締役が議案順に、決議事項であるすべての議案内容を説明します。

8.質疑応答

まず、議長が質疑応答のルールを説明します。発言したい株主は挙手し、議長が指名したら、株主は出席票の番号を述べてから発言し、議長や担当者が回答します。従来は、指名された株主は氏名を名乗っていましたが、近年では個人情報保護の観点から出席票の番号のみを述べるケースが増えてきました。9.採決

第1号議案から順に、採決を行います。議長は株主に、原案に賛成なら拍手するよう促し、採決を進めていきます。採決結果については、株主総会の当日前に議決権の事前行使分を集計しておき、議案が確実に成立するだけの議決権数があることを確認できていれば、当日はスムーズな進行が可能です。

株主総会の議案は何にすればよい?決め方や記載例を紹介

事業報告書については「株主総会の議案は何にすればよい?決め方や記載例を紹介」で詳しく解説しています。

10.閉会宣言

審議が終了したら議長は、これをもって議長の任を解かせてもらうことを宣言し、新しく就任した取締役等がいれば紹介・挨拶します(いずれも省略可能)。そして、株主総会の閉会を宣言します。

株主総会の司会進行で時間短縮できるポイント

2020年に経済産業省・法務省が発表した「株主総会運営に係るQ&A」では、感染症対策のために株主総会の時間を短縮できるとされています。ここでは、株主総会のシナリオを短縮するためのポイントを解説します。

Q5.新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、株主総会の時間を短縮すること等は可能ですか。
(A)可能です。新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、やむを得ないと判断される場合には、株主総会の運営等に際し合理的な措置を講じることも、可能と考えます。具体的には、株主が会場に滞在する時間を短縮するため、例年に比べて議事の時間を短くすることや、株主総会後の交流会等を中止すること等が考えられます。

※引用:経済産業省・法務省

株主総会のシナリオ内で短縮できるポイント

前述した株主総会のシナリオの流れにおいて、具体的にはどの部分を短縮できるのでしょうか。

まず、「1.議長就任」「3.定足数充足の宣言」「4.議事運営の説明」は、会社法上は必須ではありません。運営上、冒頭での議長挨拶はあった方がよいため、挨拶とともに議長就任の旨を簡潔に述べるのがよいでしょう。同様に、定足数充足の宣言も、定足数を満たしている事実のみ簡潔に宣言することで、時間を短縮しつつ説明義務(会社法314条)も果たせます。また、議事運営の説明は、後述するシナリオのように、大事なポイントは説明し、その他の事項については招集通知に記載して説明を省略する対応も可能です。

「2.開会宣言」「10.閉会宣言」は、議事録に会議の開始・終了の記載が必要なため、簡潔な宣言で時間を短縮しましょう。

「5.監査報告」については、監査役は監査の結果、法令や定款への違反があれば株主総会での報告義務がありますが(会社法384条)、違反がなければ報告を省略できます。また、「招集通知の○ページから○ページに記載のとおり、適正という意見を頂戴していることをご報告申し上げます」などのアナウンスにより時間短縮が可能です。

「6.報告事項の報告」「7.全決議事項の説明」についても、招集通知の○ページに記載のとおりとの説明で足りると解釈されており、同様に短縮できます。報告事項の報告については、短縮した場合も省略にはあたらないため、議事録には報告した旨を記載すべきだと考えられています。

「8.質疑応答」「9.採決」は会社法上は必要なため省略できませんが、一括上程(審議)方式の採用や質問数の制限等の工夫により時間短縮は可能です。

株主と時間の目安について了承を得る

株主総会全体の時間短縮には、「4.議事運営の説明」であらかじめ、株主総会の終了時刻や、質疑応答での質問数の制限、質問時間の目安について説明しておくとスムーズです。たとえば、「本総会は、感染症拡大防止の観点から、○時をめどに終了したいと存じます」といったアナウンスが考えられます。

株主から質問されそうな事項をあらかじめ説明する

報告事項の報告は、前述したように短縮可能です。しかし、株主の関心が高く質問が予想されるポイントについては、想定される質問事項をあらかじめ説明することで、質疑応答の時間を短縮できます。

想定問答集を作成しておく

株主総会当日に株主から想定していなかった質問を受けても、取締役等には株主総会での説明義務があるため(会社法314条)、質問に答えない等の対応はできません。事前に想定問答集を準備しておけば、時間の短縮や混乱防止に効果的です。

使える想定問答集の作り方!注意すべきポイントも紹介

事業報告書については「【株主総会 担当者向け】使える想定問答集の作り方!注意すべきポイントも紹介」で詳しく解説しています。

リハーサルする

総務・法務担当者が株主総会の運営に不慣れな場合は、司会進行・議事進行のシナリオ作成だけではなく、事前にリハーサルの実施をお勧めします。株主の暴言など混乱が生じ得る事態をいくつか予想して、どのように対処するかを練習しておきましょう。。

株主総会のシナリオ・台本〜オフライン開催の場合〜

ここでは、一般的な株主総会における司会進行・議事進行のシナリオ・台本の例文を紹介します。株主総会の司会進行や進め方を考える上で、このシナリオ・台本の例文を参考にしてみてください。

1.議長就任(挨拶)

議長:おはようございます。代表取締役社長の○○でございます。株主の皆様にはご多忙の中ご臨席を賜り、誠にありがとうございます。定款第○条の定めにより、私が本総会の議長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

2.開会宣言

議長:それでは、株式会社□□□□第△期定時株主総会を開会いたします。本総会の目的事項につきましては、招集通知に記載のとおりでございます。

3.定足数充足の宣言

議長:本日ご出席の株主数ならびにその議決権数をご報告いたします。本総会において議決権を有する株主数は○名、その議決権数は○個でございます。本日ご出席の株主様は、事前に議決権行使書のご提出、ならびにインターネット等により議決権を行使された株主様を含めて○名、その議決権数は○個でございます(※この段落は省略可能)。

議長:本総会におきまして、決議に必要な定足数を満たしていることをご報告申し上げます。

議長就任(挨拶)

議長:おはようございます。代表取締役社長の○○でございます。株主の皆様にはご多忙の中ご臨席を賜り、誠にありがとうございます。定款第○条の定めにより、私が本総会の議長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

4.議事運営の説明

議長:本総会の議事運営に関しましては、円滑な議事進行のため、議長であります私の指示に従っていただきますよう、ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。

本総会の運営方法として、ご出席の株主様からのご発言は、報告事項のご報告ならびに全決議事項のご説明が終了したのちに、一括してお受けいたします。その後で、決議事項につき採決を取らせていただきたく存じます。

その他の注意事項につきましては、招集通知の○ページから○ページに記載のとおりでございます。

5.監査報告

議長:それでは、○○監査役から監査報告をお願いいたします。

監査役:常勤監査役の○○でございます。監査役の総意により、私から第○期の監査結果をご報告申し上げます。

(省略。一般的には、取締役の職務執行、事業報告や計算書類、連結計算書類とそれに対する会計監査人・監査役会の監査結果、内部統制システム、本総会に提出された議案や書類等が、法令や定款に違反していないことを述べる)

監査役:以上、ご報告申し上げます。

6.報告事項の報告

議長:それでは、第○期の事業報告ならびに計算書類につきましてご報告申し上げます。

事業報告につきましては招集通知の○ページから○ページ、連結計算書類につきましては○ページから○ページ、計算書類につきましては○ページから○ページに記載、または当社ウェブサイトに掲載のとおりでございますが、その概要につき、スクリーンとナレーションによりご報告申し上げます。

まず、第○期の事業報告につきまして、その概略をご報告申し上げます。

(省略。一般的には、経営戦略に基づいた取り組みがどうだったか、取り組みの内容と結果、対処すべき課題を説明)

次に、当事業年度の連結計算書類につきまして、その概略をご説明申し上げます。

(省略。一般的には、連結計算書類や計算書類の数値と増減した理由、年間配当等の株主還元について説明)

7.議案の説明

議長:それでは、第1号議案から第○号議案を上程させていただくとともに、その内容をご説明申し上げます。各議案につきましては、招集通知の○ページから○ページに記載のとおりでございます。

最初に、第1号議案「剰余金の配当の件」を上程いたします。招集通知○ページに記載のとおり、○○を財源として、普通株式1株につき○円の配当を実施したく存じます。

次に、第2号議案……(以下略)。以上のとおり、各議案につきましてご提案申し上げます。

8.質疑応答

議長:それでは、ご質問・ご発言をお受けいたします。ご発言の際には挙手をしていただき、議長の私が指名いたしますので、その場でご起立いただき、出席票の番号をお伝えください。要点をまとめてご発言をお願いいたします。

質問審議の終了後はご発言をお受けできませんので、この機会にすべてお申し出いただきますようお願いいたします。それでは、ご発言のある方は挙手をお願いいたします。

株主:(挙手)

議長:(右の手のひらを、上に向けて指名)そちらの黒いシャツの株主様、出席票番号をお願いいたします。

株主:○番です。○○の件について質問いたします。(略)

議長:ただいまのご質問につき、私よりご返答申し上げます。○○の件につきましては(略)。以上でございます。

議長:それでは、次のご発言を承ります。(次の株主を指名)

株主:○番です。○○の件について質問いたします。(略)

議長:ただいまのご質問につきましては、担当取締役の○○よりご返答申し上げます。

取締役:取締役の○○でございます。ご質問ありがとうございます。○○の件につきましては(略)。以上でございます。

(一定数の質問に回答後)

議長:多数のご発言を誠にありがとうございます。だいぶ審議も尽くされたと思いますので、大変恐縮ですが、ご発言はあとお二方までとさせていただきたく存じます。

(略)

それでは、これをもってご質問、動議の提出を含めましたすべての審議を終了し、決議事項の採決に移りたく存じますが、ご賛成をいただける株主様は拍手をお願いいたします。

(株主:拍手)

ありがとうございます。賛成過半数と認め、議案の採決に移らせていただきます。

9.採決

議長:それでは、第1号議案「剰余金の配当の件」の採決をいたします。原案にご賛成をいただける株主様は、拍手をお願いいたします。

ありがとうございます。議決権行使書ならびにインターネット等による賛成を合わせた過半数のご賛同により、第1号議案は原案どおり承認可決されました。

(役員一同:着席したまま礼)

(以下、全議案分を繰り返し)

10.閉会宣言

議長:以上、本日の会議の目的事項はすべて終了いたしました。これをもって、議長の任を解かせていただきます。円滑な議事進行にご協力いただき、ありがとうございました。

以上をもちまして、株式会社□□□□第△期定時株主総会を閉会いたします。本日はご多忙の中ご臨席を賜りまして、誠にありがとうございました。

株主総会のシナリオ・台本〜オンライン開催の場合〜

近年、株主がオンラインで参加・出席するバーチャル株主総会の開催が増加しています。ここでは、オンライン開催の株主総会でのシナリオにおいて、前述した従来の株主総会とは異なるポイントを取り上げます。

株主総会のオンライン開催とは

株主総会のオンライン開催とは、出席者が会場まで足を運ばなくてもインターネット上で参加・出席できる、いわゆる「バーチャル株主総会」と呼ばれる方式です。下図のように、従来における会場開催の株主総会と併用する方式や、オンライン開催のみの方式があります。

バーチャル株主総会 とは 違い 種類

出典:経済産業省「ハイブリット型バーチャル株主総会の実施ガイド」

 

株主総会をオンラインで開催するメリットは多数ありますが、大きなものとしては、株主総会への出席機会の拡大、時間や費用の削減、感染症対策に有効な点です。一方、デメリットとしては、通信システム・環境に安定性が求められる点が挙げられます。

注目されるバーチャル株主総会とは?背景や注意点を解説

バーチャル株主総会については「注目されるバーチャル株主総会とは?背景や注意点を解説」で詳しく解説しています。

オンライン/オフライン開催の株主総会シナリオの違い

株主総会をオンライン開催する場合でも、全体の流れは基本的に従来の株主総会と同じです。

しかし、従来型とオンライン開催型では、議事運営・質疑応答・採決のやり方が異なるため、採用したシステムでの操作方法やルールを説明する必要があります。また、質疑応答では質問した株主の名前が配信されないよう、出席票の番号のみを述べるようアナウンスするなど、プライバシー保護への配慮も必要です。

採用する方式やシステムによってシナリオの例文は異なるため、ここでは一例として、ハイブリッド出席型バーチャル株主総会の「4.議事運営の説明」シナリオを紹介します。

4.議事運営の説明


議長:本総会の議事運営に関しましては、円滑な議事進行のため、議長であります私の指示に従っていただきますよう、ご理解とご協力のほどお願いいたします。

本総会は、会場出席の株主様とインターネット出席の株主様がいらっしゃいます。会場出席の株主様からのご発言は、報告事項のご報告、全決議事項のご説明、事前にインターネットからお寄せいただいたご質問へのご回答が終了したのちに、一括してお受けいたします。

インターネット出席の株主様からのご質問は、只今から質疑応答の開始○分後まで、指定のWebサイトにてご送信いただけます。

(利用するシステムにおける質問の送信方法について説明)

また、ご質問が多数の場合には、すべてのご質問にご回答できない場合がございます。あらかじめご了承をお願いいたします。

なお、インターネット出席の株主様におかれましては、円滑な議事進行の観点から、動議の提出はお受けできませんので、合わせてご了承いただきますようお願いいたします。

インターネット出席の株主様からの議決権行使は、(利用するシステムにおける議決権行使方法について説明)。只今から議決権行使は可能ですが、一旦行使されますと修正できませんのでご注意ください。

映像の乱れや遅延が生じた場合は、ご視聴されている通信環境のご確認や再ログインをお願いいたします。推奨環境は当社Webサイトにてご案内しております。

その他の注意事項につきましては、招集通知の○ページから○ページに記載のとおりでございます。

まとめ

株主総会でスムーズに司会進行をするために、押さえておきたい全体の流れやシナリオ・台本の例文を紹介してきました。ポイントは、「どの部分なら短縮可能か」を押さえることです。

株主総会では、シナリオや台本の作成のほかにも、事前に準備が必要な事柄が多数あります。いつまでに何をすればよいかが気になる方は、ぜひ下記の記事を参照に、株主総会全体の準備について理解を深めてください。

定時株主総会の開催時期はいつ?日程の決め方やその理由を解説

開催時期の決め方については「定時株主総会の開催時期はいつ?日程の決め方やその理由を解説」で詳しく解説しています。

池下菜都美
著者情報池下菜都美

株式会社ブイキューブに新卒入社。 ビジュアルコミュニケーションに関する複数製品のインサイドセールスを経験。現在は、マーケティングコミュニケーショングループにてイベントDX領域における広告運用およびオウンドメディアの編集、ナーチャリングを担当。趣味は映画とダンス。

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