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働き方改革という言葉がメジャーになり、企業においても「ノー残業デー」の設置や、残業時間に上限を設けるなど、何かしらの施策を実施する動きもあるでしょう。一方でこういった施策を実施したものの時間とともに形骸化してしまい、まったく働き方改革が効かない、といった状況もなかにはあるのではないでしょうか。

そこで今回は、働き方改革で陥りがちな落とし穴を紹介したうえで、それを回避する方法について紹介していきます。

働き方改革でよくある落とし穴とは?

まず以下では、働き方改革において企業が陥りがちな落とし穴から紹介していきます。

 

残業の「見えない化」

「ノー残業デー」など強制的に従業員を帰らせる制度などは、一方で「隠れ残業」を引き起こす可能性もあります。隠れ残業とは、目に見える労働時間が削減されたかのように思いつつも、家に持ち帰って仕事をしたり、タイムカードを押した後に仕事したりすることです。

残業が常態化している企業においては、そもそもの事実として、残業しなかればならないほどの業務量が発生していたということです。そういった状況があるなかで業務量自体を減らさずに、ただ強制的に帰す仕組みを導入したとしても、あふれた仕事は終わらせざるをえませんから、前述したような隠れ残業を招いてしまいます。

事実、中原淳氏(以下、中原氏)の著書「残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?」によると、残業に関する施策を実施している企業ほど、従業員が休憩時間に仕事をしたり、休日にも仕事をしたりすることが多いというデータが紹介されています。

 

残業施策の有無とここ、1、2年の仕事の変化
(参照元:残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?


つまり強制感のある施策を実施するほどに、隠れ残業が増えた結果、本当の残業時間が「見えない」といった事態につながってしまいます。

隠れ残業であるがゆえに、残業代は払われないなかで、あふれた仕事を終わらせる必要が出てきます。その結果、従業員の疲弊や不満が、知らず知らずのうちに蓄積されていくという事態も考えられるわけです。

 

現場と経営陣の意識の乖離

施策を実施したにも関わらず、前述した隠れ残業など残業代はもらえないうえに、負担は施策の導入前後で変わらないといった状態が続くと、経営陣や上層部への不信感につながる恐れもあります。

結果、経営陣側から見たら、施策の導入によって目に見えて残業時間の削減に成功したかのように思っても、従業員にとってはサービス残業が増えただけで、両者の働き方改革に対する意識にズレが生じてしまいます。

事実、先の「残業学」によれば「残業の原則禁止/事前承認」などとりわけ強制力の強い施策を実施した企業では、従業員の約20%が「会社は職場の状況を理解していない」と不満を感じる割合が強い傾向にあるといいます。

 

残業施策による会社への不信感
(参照元:残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?

 

施策の形骸化・無効化

「残業学」によると、社内でしっかりと定着する残業施策はそう多くなく、施策の回数が多いほど従業員の抵抗感は強まるといったデータも紹介されています。

 

残業削減施策の実施回数と施策への抵抗感の関係
(参照元:残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?

 

上のグラフのように施策の回数が多ければ多いほど、「手間がかかる」や「何のために行うのか疑問に感じた」と抵抗感を示す従業員の割合は、わかりやすく増加しています。

また「残業学」によれば、施策の効果が消えていった職場では、施策導入の2〜3カ月から同僚が実施しなくなり、半年後には上司が実施・指示しなくなったというデータも紹介されています。

残業削減施策を指示・実施しなくなるプロセス
(参照元:残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?

働き方改革の落とし穴にはまる原因とは?

では、なぜ前述した落とし穴にはまるのでしょうか。「残業学」によると、その原因は以下で紹介する主に3つだといいます。

 

成功事例のコピペ

「働き方改革」では、大企業の事例などを中心に、とくに先進的な事例のみがメディア等で紹介されるケースが多いです。先進的な取り組みのほうが、読者にとっては引きがあります。また何よりも、わざわざ自社の取り組みを紹介するようなケースにおいては、企業自体のPRも兼ねていることでしょう。結果として、先進的な取り組みをはじめとした成功事例のみが、クローズアップされる機会も多いです。

メディア等で紹介される働き方改革が成功事例のみに寄れば、当然これから働き方改革を実施しようとする企業は、見よう見まねでそうした事例を自社にそのまま当てはめようとします。

結果として自社の規模や組織構造に、施策が本当に合っているかどうか検討されないままにただ成功事例をなぞる、いわゆるコピペをしてしまいがちです。

大企業と中小企業では、当然、残業を生み出している要因などは異なるでしょう。また自社のサービスを提供しているのか、それともクライアントから依頼ありきの受託がメインなのかなど、事業内容の違いによっても自社にフィットする施策は変わってくるはずです。

もちろん成功事例を拾い集めるのは良いですが、実際に実施する際には、自社に合っているかどうか現場の声を聞きながら慎重に検討する必要があります。

 

企業トップの独りよがりな号令

働き方改革を実施するためには、企業のトップがまずは働き方改革の意義を唱えることから始まるでしょう。一方で施策を具現化し、組織全体に根付かせる役割は、現場の従業員と距離が近い人事部や経営企画、また現場のマネージャークラスの人材などが実施するケースも多いはずです。

そのためトップが言うからと、あとは現場に近い人間に任せっきりになると、先ほどの隠れ残業のように見せかけだけの働き方改革につながってしまう恐れがあります。

そこで企業のトップは働き方改革の意義を伝えるだけに終わらず、人事部や現場のマネージャーなどが施策を実施する過程においても、根気強く見守り続ける姿勢が求められます。

 

従業員全体への周知の甘さ

当たり前ですが、働き方改革に関する施策を実施する意義を、従業員全体が理解していないと、前述した隠れ残業のような事態を招いてしまいます。従業員が理解できていなければ、当然ですが従業員の集合から成る組織全体、ひいては企業は何も変わりません。

こういった従業員全体への周知の甘さは、「残業学」によると、告知の仕方がそもそも間違っているケースが多いといいます。事実、同著では施策の約2割が、社内ポータルや一斉メールによる一方的な告知のみでとどまっているというデータが紹介されています。

高度経済成長期のように終身雇用が前提で、企業のために働くといった意識が一般的だった頃は、企業側から一方的に伝えるだけでも従業員は命令に従ったかもしれません。

一方で現在は、終身雇用の崩壊が叫ばれて等しく、転職や起業なども広く一般的になりつつあります。そういった働く先の選択肢が多いなかで、企業側からの一方的な通達に対して、従業員が心を引きつけられるということは難しくなってきています。

施策を実施するにもただ文面による告知だけにとどめるのではなく、Web会議システムなどを使って、施策を推進する責任者が従業員に周知するといったことも必要となるでしょう。実際に生の声で施策の意義を周知させることで、テキストだけでは伝わらない熱量を伝えるといったことも可能です。

そもそも働き方改革の方法は主に2つ

ではどうしたら働き方改革は成功するのでしょうか? まず働き方改革の方法は、大きく分けて以下の2つに区分されます。

 

施策を強制的に実施するための仕組みの導入

ノー残業デーや残業の事前承認制などは、残業を強制的に削減するための仕組みといえます。「残業学」のなかでは、こういった強制的な仕組みを導入することを「外科手術」と表現しています。

外科手術のように体にメスを入れることで、腫瘍を強制的に取り除く様にたとえ、多少の痛みや傷は残るものの、即効性のある方法といえます。

確かに効果が実感しやすいものの、前述したように隠れ残業などの働き方改革の落とし穴にはまる可能性もある点には、注意が必要です。

 

中長期的に行う組織構造そのものの変革

働き方改革の本来の目的は、生産性の向上にあります。そのため外科手術的な方法によって残業時間を削減するだけで終わらずに、生産性の高い企業へと変革するために、組織構造そのものにもテコ入れを行っていく必要があるでしょう。

これを「残業学」では「漢方治療」と表現しており、著者の中原氏は外科治療によって目に見える残業を取り除くだけでなく、組織の内側も中長期的な視点で治療していくことが必要と述べています。

働き方改革の施策を成功させるためには?

働き方改革のなかでも、とくに前述した「外科治療」的な施策を成功させる方法について、「残業学」では以下の方法が紹介されています。

 

残業時間の「見える化」

「残業の見えない化」という落とし穴を紹介しましたが、そのうえでまずは「残業の見える化」に取り組む必要があるでしょう。前述した通り、ノー残業デーなどの施策の導入の裏では、隠れ残業が発生している可能性があるためです。

こういった隠れ残業を放置したままでは、従業員のモチベーション低下や、知らず知らずのうちに企業への忠誠心が薄れ、離職率の増加といった事態を招く恐れもあります。まずは匿名で従業員にアンケートなどのヒアリングを実施し、隠れ残業の把握から始めたいところです。

 

施策を流行らせるための粘り強いコミット

残業時間の見える化を行ったら、次は改めて隠れ残業なども含めて、削減するための施策を導入していきましょう。その過程では、全従業員に施策を周知・理解させることはもちろんですが、施策を「流行らせる」ための粘り強いコミットも大切だと、「残業学」のなかで紹介されています。

施策は作り、伝え、そして流行らせるまでがゴールです。流行らせるためのコミットの高低によって、以下のように同じ施策でも効果が3倍以上違うことがわかります。

 

コミットメントの高低と残業施策効果の関係
(参照元:残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?


コミットを高める方法として「残業学」では、「告知のオムニチャンネル化」と「管理職層を味方につける」といった方法が紹介されています。

告知のオムニチャンネル化とは、従業員に複数のチャンネル(伝達経路)から施策に関する告知を行うというもの。手段としてはメールや社内ポータルはもちろん、Web会議システムなどがあります。

例えば、弊社のV-CUBE ミーティングなどのWeb会議システムを利用すれば、テキストだけでは伝わりきらない、施策に対する熱量なども伝えることが可能となります。

 

株式会社ブイキューブ

チャンネルの回数が増えるほど、施策に対するコミット(施策をどれだけ自分ごととして考えられているか)が高い人の割合が増加したといいます。


告知のチャネル数とコミットメント量の関係
(参照元:残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?


またもう1つの方法として紹介されている管理職層を味方につけるというのは、残業施策の導入に抵抗感を示すのが、以下のグラフでも紹介されている通り、管理職層が多いため。

上司層と一般従業員の残業削減施策に対する抵抗感の割合
(参照元:残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?


管理職層のなかには、人よりも長時間仕事をすることで出世してきたという人も一定数いるでしょう。そういった人に「残業するな」といっても、一般の従業員以上に抵抗感を示す人が多いのは容易に想像できます。

そこで施策を導入するにあたっては、まず現場の管理職層などに丁寧な説明を行い、彼らが施策を納得して遂行することが「流行らせる」ための鍵だといいます。

 

効果が薄れる期間に先回りして手を打つ

「残業学」では、以下のように施策の実施期間と効果の関係が紹介されています。

 

残業削減施策の実施期間と効果実感の関係
(参照元:残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?


このグラフを見てもらうとわかる通り、施策導入後1カ月程度がもっとも効果を実感する割合が低く、逆にそれ以降はだんだんと上昇しています。つまり施策の導入によって、鍵となるのは1カ月後。

この期間さえ乗り切れば、あとは効果を実感する割合が高まる傾向にあることから、施策実施直後から1カ月間は、従業員に向けて粘り強く施策を実施する意義を訴えかける必要があるでしょう。

 

効果の「見える化」と残業代の還元

実際に施策を導入して効果が出たのであれば、それを「見える化」し、従業員にも共有しましょう。効果が目に見えることで、従業員のモチベーションも高まり、施策を根付かせるきっかけとなるはずです。

またあわせて、施策の導入による実質的な見返りも有効といえます。その1つが、労働時間の削減によって浮いた残業代の還元です。

「残業学」のなかでは、調査を行った従業員のうち全体の60.8パーセントが「基本給だけでは生活に足りない」と答えているといったデータも紹介されており、金銭の見返りがあることは、施策を自分ごととして捉えるうえでも有効といえるでしょう。

残業削減で浮いた残業代を還元した企業事例3選

施策を成功させるための方法として、最後に、浮いた残業代の還元を挙げました。そこで以下では残業削減によって、実際に浮いた残業代を還元した企業事例を紹介していきます。

 

三菱地所プロパティマネジメント:削減した残業代全額を従業員に還元

三菱地所プロパティマネジメント

 

三菱地所プロパティマネジメント」は、2015年度比で削減に成功した1億8600万円の残業代を、翌年度(2016年度)に賞与として従業員に全額還元。

ムダな仕事を削減して残業を減らすことで、「余った時間をプライベートで有効活用する」という意識に切り替えられる人ばかりではないという考えのもと、残業代の還元策を実施したといいます。

そして翌年の2017年度には、部門全体の残業の平均が月間20時間以下、年次有給休暇取得率も80%以上を達成。部門の全従業員1人につき、最高6万円の報奨金を支給する取り組みも行ったといいます。

 

小野薬品工業:ノー残業デーなどにより削減した残業代を還元

小野薬品工業

 

小野薬品工業」は働き方改革により削減できた残業代などを、従業員に還元する制度を2018年8月から導入。保育支援などの福利厚生の充実や、資格取得の補助として還元しています。

小野薬品は2015年から「ノー残業デー」を設けるなどの働き方改革を進め、年5~8%程度(前年比)の残業代の削減効果があったといいます。

 

アルプス電気:削減した残業代の3分の1を還元する仕組みを導入

アルプス電気

 

電子部品大手の「アルプス電気」は、働き方改革によって浮いた残業代の一部を、賞与に上乗せして従業員に還元する仕組みを、2018年から正式に導入しました。

賞与に上乗せするのは、残業時間の短縮で減った残業代の3分の1に当たる額とし、削減できた残業時間に応じて最大で月給の40%分を、賞与に上乗せする仕組みを導入しています。

また残業時間の短縮において役立った施策として、同社では在宅勤務などのテレワークを挙げているのも、注目すべきところ。テレワークなど従業員にとって働きやすい環境を整備した結果が、残業削減につながり、さらに残業代の還元につながったようです。

働き方改革おいては働きやすい仕組みの導入も必要

働き方改革では、とくに残業時間の削減などがクローズアップされる機会が多いですが、ノー残業デーの設置など半ば強制的な仕組みの導入に加え、テレワークなどの従業員が働きやすい仕組みを導入することで、結果として残業が削減されるケースもあります。

こういった半ば強制的な仕組みと、生産性の向上に寄与するような働きやすい仕組みの導入は、セットで検討したいところです。

 

働き方関連法案について

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