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電力インフラを支えるプロフェッショナルの働き方がドローンとスマートグラスで変わる 岳南建設の挑戦

電力インフラを支えるプロフェッショナルの働き方がドローンとスマートグラスで変わる 岳南建設の挑戦
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私たちが快適で現代的な生活を送るのに欠かせない「電力」を陰で支える人たちがいる。目もくらむような高所で送電線工事を行うプロフェッショナルたちだ。

都心部ではあまり目にする機会が少ないが、東京電力が管轄する中で最も高い送電塔の高さは149メートル、およそ40階建てのビルに相当する。

そんな危険な場所で作業を行う彼らは今、ドローンやスマートグラスといった最新デバイスを続々と現場に取り入れることで、作業の効率化や時間の短縮を進めている。その背景や効果を当事者に聞いた。

ドローン経験者ゼロ、手探りの中でスタート

1919年に創業した岳南建設(東京都中央区)は、発電所から街へ電力を届ける送電線の建設や保守点検など、送電設備に関する事業を全国で手掛けている。同社は2017年から現場の撮影や簡易的な測量などにドローンを活用しているが、特に鉄塔間に送電線を架ける「架線」と呼ばれる作業の効率化に大きく役立っているという。

鉄塔間に送電線を架ける場合、太くて重い電線を架ける前に、細いロープ、太いロープ、細いワイヤ、太いワイヤを順に架けて徐々に強度を上げていき、最後に電線を架けるという手順を踏む。そこで最初の工程にある細いロープ(PEライン)をドローンで持ち上げて、鉄塔の上で待機する作業員に手渡すようにした。

 

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ドローンの活用シーン(岳南建設のWebサイトより)

従来は外注による有人ヘリコプターやラジコンヘリコプターなどを使っていた。しかし、数少ない専門業者の確保や、天候に作業の実施可否が左右されるなど、確実なスケジュールを事前に組み立てるのが難しかった。

 

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岳南建設の星野年紀さん(業務部 部長)

岳南建設がドローンを業務で使うプロジェクトを始動させたのは16年4月のこと。送電設備業界全体でも電力会社主導でドローンの活用に注目が集まり始めた時期だった。同社の星野年紀さん(業務部 部長)は社長からの一言がきっかけだったと説明する。

 

「ITで工事を効率化させる『スマートコンストラクション』などを常にウォッチしていた社長の『ドローンは延線(架線)に活用できる。他社に遅れるな』という声掛けからドローンの検討が始まりました」(星野さん)

業界が注目していた分野とはいえ、ドローンはあまりにも畑違いで、製品選びや運用といった知見が同社にはなかった。そこで16年5月にドローンやロボットを使ったシステムを提供するセンシンロボティクス(旧ブイキューブロボティクス)をパートナーに迎え入れた。

架線作業で使うドローンには、鉄塔上で作業するための特殊な機材を取り付ける必要があった。センシンロボティクスと打ち合わせをしながら開発を進め、専用機が完成したのが16年末のことだった。

「自社で所有するドローンであれば、予定日に作業できなくても、すぐ次の日に行えるなど、自社主導でスケジュールを立てられます。有人ヘリコプターのように官公庁への手続きや周辺住民のアナウンスも必要ありません。飛ばすまでの費用や手間を考えると、『どうしてもできない』という作業以外はドローンに代替させたいと考えています」(星野さん)

ドローンを業務に取り入れたことで、専門性の高い作業によって過重労働になりがちだった従業員の働き方も変わった。外部要因に左右される工程が少なくなったことで作業スケジュールが組み立てやすくなり、従業員は計画的に休みを取れるようになった。結果的に会社の働き方改革につながったのだ。

保守点検に活躍 ハンズフリーで使えるスマートグラスの強み

岳南建設がドローンに加えて現場に投入したのが、ブイキューブが提供している遠隔コラボレーションツール「V-CUBE コラボレーション」とスマートグラスを活用した遠隔支援システムだ。

 

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送電鉄塔で行う作業は想像以上に過酷だ。両手両足で鉄柱に取り付けられたステップボルトを使って登り、作業中はステップボルトに足をかけながらテンションを張ったロープで体を保持しつつ、空いた両手で施工管理・保守点検を行う。

そのような状況下で、現場の状況を逐次報告するためにカメラで写真を撮影して指示を仰ぐのは至難の業だ。ヘルメットに小型カメラを装着する方法もあるが、装着している作業員は本当に映像を送れているかをその場で確認することが難しい。

 

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岳南建設の坂井善洋部長(東京支店 工事部)

同社の坂井善洋部長(東京支店 工事部)も「ハンズフリーは絶対的な第一条件だった」と話す。カメラを内蔵したスマートグラスを使うことで、現場監督の視界を遮ることなく、自分が今見ているものを記録し、遠隔地にいる人に共有、リアルタイムで指示を受けられるようになった。

「数十個、似たようなボルトがある中から、『このボルトに対して作業してください』ということを、これまで『何列目の何個目』と口頭で指示していました。今では現場から送られてくる画像にペンで書き込んで、作業員がその書き込みをスマートグラスで確認しながら作業できます。リアルタイムに双方向通信できることで、現場監督と同じ視点で情報を共有でき、正確なコミュニケーションが図れるようになりました」(坂井さん)

 

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スマートグラスの活用は、別のメリットも生んでいると坂井さんは言う。現場の検査には岳南建設の顧客となる電力会社の立ち会いが必要だ。しかし、送電線があるのは、山の中などのへき地が多い。これまではわずか1時間の検査のために、電力会社の担当者が往復4時間をかけて現地に来ることもあった。

スマートグラスの導入後は、電力会社がわざわざ現地に行かなくても遠隔で確認できるようになった。電力会社からも「時間を有効活用できる」と喜ばれているという。

「私たちも、電力会社の立ち会いを待つ必要があったため、次の作業が翌日に持ち越されることもありました。それが自分たちのやりたいタイミングで検査できるようになったのです。まだまだ試行錯誤中ですが、同じ視点、同じ情報を共有でき、リアルタイムで受け答えできるツールを使っているという強みを生かしていきたいと考えています」(坂井さん)

ドローンやスマートグラスといえば、「まだまだ過渡期の製品ではないか」「本当に仕事で役に立つのか」といった見方もある。しかし、岳南建設の事例は新しいデバイスを使った業務改善が従業員の働き方改革にそのままつながった好例といえるだろう。

伝統的な事業を手掛ける企業だからこそ、新しいものを柔軟に取り入れる体制を持ち続けることが、企業の継続的な発展を維持する鍵となりそうだ。

転載元:ITmedia NEWS

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