社員総会は企業の業績にかかわる!?開催方法や当日までの流れまで解説

社員総会には、一般社団法人における意思決定機関という意味と、企業で社員全員が参加する大規模な集会という意味の2通りあります。この記事では後者について、開催方法や具体的なプログラム、当日の流れなどを説明します。

社員総会で行う内容は企業によってさまざまです。有名人による講演会、表彰式、目標達成を祝うためのパーティなど、そのときの企業の状況や目的に応じて開催内容が決められます。

ただ、2020年から新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、どの企業においても社員全員が同じ会場で顔を合わせることは難しくなりました。社員総会を取りやめたところや、オンラインに切り替えたところなど、従来の方法から大きな転換を余儀なくされたという点は多くの企業で共通することでしょう。

このような状況で、自社の社員総会の開催方法や開催内容をどのようにすべきか、悩んでいる担当者の方もいるのではないでしょうか。そこで、この記事では失敗しないように社員総会を開催するために、社員総会の概要や開催方法、当日の流れなどについて詳しく解説します。

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社員総会とは

社員総会とは

社員総会は厳密に説明すると一般社団法人で重要事項を決定するための意思決定機関のことです。一般社団法人における株主総会のようなもので、そこで役員の選出や定款変更などが行われます。しかし、ビジネスの場や一般企業では、定期的に行われる全社員が集まる社内イベントといった意味合いで使われることがほとんどでしょう。

内容は企業によっても異なり、事業の振り返りや、キックオフのための奨励会、表彰式などさまざまなものとなっています。

ただ、基本的に社員全員が参加するという前提は共通であり、社員総会はどの企業にとっても重要なイベントです。定期的に社員総会を行うことにより、企業は社員同士のコミュニケーションを活性化させたり、社員の業務に対する意識を高めたり、といった効果を得られます。

2020年に広まった新型コロナウイルス感染症の影響により、社員が実際に集まるような社員総会開催が難しくなっています。2022年6月現在、感染症の影響は大きくなったり小さくなったりを繰り返してはいるものの、いまだに感染症対策は必要な状況です。

企業によっては、すでに社員総会をオンラインに切り替えてはいるものの、いまだに手探り状態のところもあるでしょう。なかには、社員総会を開催することすら見合わせている企業もあるかもしれません。

しかし、社員総会を成功させられると、社員へ企業理念が浸透したり、社員が今までの努力を認められたと感じられたりといった結果を得られ、社員のモチベーションアップにつながります。そのため、開催方法や手順をよく知り社員総会を意味のあるものにすることは、企業にとって非常に重要なことといえます。

社員総会の目的

細かい目的は企業によってそれぞれ異なるでしょうが、一般的に以下のような目的で社員総会は行われます。

  • 社員のモチベーション向上
  • 従業員コミュニケーションの活性化
  • 社員へ感謝の気持ちを伝える
  • 企業理念の浸透

それぞれどのような目的か解説します。

社員のモチベーション向上

社員のモチベーションが高くなると、自分のもしくは企業の目標を達成しようという気持ちが起こるため、積極的に仕事に取り組めるようになります。結果として企業の生産性も向上し、業績アップなども期待できるでしょう。

社員のモチベーションは日々のコミュニケーションでも高めていけますが、社員総会といった大きなイベントも効果的です。社員総会にて、経営者が日々の感謝を伝える、功績がある社員に対して表彰する、といったことをして社員の仕事ぶりを認めていけば、社員はさらに企業に対して貢献しようという気持ちになれます。

従業員コミュニケーションの活性化

社員総会は一般的に社員全員で行われるため、他部署やほかの支社の人と交流をはかれる場になります。新型コロナウイルス感染症の対策によりテレワークが広まり、他部署どころか同じ部署内でもコミュニケーションが減っている企業は多いでしょう。

しかし、社内でのコミュニケーション不足は円滑な業務遂行の妨げとなります。HR総研による社内コミュニケーションに関するアンケート2022では、「自社の社内コミュニケーションに課題あり」と考える人は7割を超える結果になりました。

こういった状況のなか、社員総会は社員同士が一堂に会する貴重な機会といえるでしょう。社員総会の内容を工夫すれば、社員同士の会話も促進できるため、従業員コミュニケーションの活性化として社員総会を開催することも1つの手です。

社員へ感謝の気持ちを伝える

社内広報のような媒体を通して、経営陣が社員に感謝を伝えることはよくあるでしょうが、やはり社員に一番伝わりやすい伝え方は直接伝えることです。

社員総会のような社員が集う場であれば、社員に感謝の気持ちを伝えるよい機会となります。先程も解説しましたが、経営陣からの感謝の意は社員のモチベーションアップにもつながり、結果として企業の成長にもつながるでしょう。

企業理念の浸透

企業理念がしっかりとしている企業は、顧客や取引先からの信頼を得やすいうえ、この理念に共感するような人材を集めやすくなります。大阪市立大学大学院の研究(リンク先PDF)によると、企業理念が深く浸透しているグループは、顧客満足度が高いという結果も出ています。

企業理念を浸透させる方法はさまざまなものがありますが、そのなかの1つが社員総会です。それぞれの部署単位で企業理念を浸透させようとすると、それぞれ方向性が微妙に異なるかもしれません。しかし、社員総会という大きな場所で経営陣がしっかりと理念を伝えれば、参加した多くの社員に正しく企業理念が伝わります。

社員総会の開催方法

社員総会の開催方法はおもに、オンライン開催、会場実施、ハイブリットタイプの3種類があります。どの開催方法が企業にとって一番なのかは、自社の目的や規模、それぞれのメリット・デメリットによって異なります。例えば、年に1回行う特別な社員総会は実際の会場で、四半期に1度行う全体会はオンラインにするなど工夫しましょう。

この章では、企業がどのような開催方法にすべきか決められるように、それぞれの開催方法の特徴やメリット・デメリットについて解説します。

オンラインで実施する

ZoomミーティングなどのWeb会議システムや、ウェビナー専用サービスを活用すれば、社員総会をオンラインで開催可能です。オンライン社員総会には以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

・感染症対策として有効

・会場の手配や設営の必要がない

・運営側の開催日当日の手間が少ない

・会場までの移動が必要ない

・全体的にコストダウン可能

・幅広い企画を開催できる

デメリット

・臨場感が感じられない

・社員の集中力が途切れやすい

・社員同士が対面できず、コミュニケーションが取りにくい

オンラインによる社員総会は、社員全員が集まれるような大規模会場を手配する必要はありません。当日も社員誘導スタッフなどの会場係の用意もしなくて済み、運営側の手間を大幅に減らせます。社員も会場まで移動する必要はないため、遠方に住む社員や家庭の事情で家をあけにくい人の負担も軽減できます。

また、オンライン社員総会では、社員の家族も社員総会に参加しやすいという点も特徴的です。社員総会で表彰される社員をその場で家族がお祝いできるなど、オンラインならではの幅広い企画を開催可能です。

会場や移動にかかるコストを削減できるため、大幅なコストカットになります。その分記念品の贈答などにまわせば、社員の満足度もより高まるでしょう。

このように、オンライン社員総会は人との接触を少なくする感染症対策のほかさまざまなメリットを享受できます。そのため、新型コロナウイルス感染症が完全に収束したとしても、オンライン形式による社員総会は継続する企業もあると予測されています。実際に、コロナ収束後もオンラインでの社内イベントを続けたいと考える人は半数以上もいる状況です。

しかしその一方、オンライン形式には臨場感が感じられない、社員が集中して参加できない、といった懸念点もあります。社員総会の目的としてあげられる、「社員のモチベーション向上」「企業理念の浸透」を達成するためにも、画面越しでも社員が積極的に参加できるような工夫が必要です。

オンラインイベントの基礎知識、メリット・デメリットなどを紹介。

オンラインイベントの基礎知識や開催の流れについて詳しく知りたい方は「オンラインイベントの基礎知識。メリット・デメリットや開催の流れを解説」をご覧下さい。

会場で実施する

参加する社員全員が収容できるような会場を手配し、当日に全員が会場に集まって開催する方法です。社員総会の会場開催のメリット・デメリットは以下の表のとおりです。

メリット

・臨場感があり熱量が伝わりやすい

・実施に対面してコミュニケーションがとれる

・会場でしかできない企画ができる

デメリット

・コストがかかる

・社員に移動を強いる

・消毒やソーシャルディスタンスなどの感染症対策が必要

会場開催では、経営陣の感謝の気持ちや、企業理念等、すべて直接伝えられます。一人ひとりの顔を見ながらスピーチを行えば、画面越しよりも社員に伝わりやすいでしょう。社員同士も直接対面するかたちで集えるため、気軽に挨拶や近況報告でき、社内コミュニケーションもより活性化します。

社員総会で、開発した新商品をお披露目する企業もあります。会場で社員総会を行えば、実物を手にとって見られるため、社員がより達成感を感じやすい企画も開催可能です。

ただ、やはり大規模会場の用意や社員の移動が必要となり、オンラインによる社員総会よりもコストはかかります。社員の休日出社を強いることにもなるため、なかには社員総会をきっかけに企業に対して気持ちが離れる人もいるでしょう。消毒やソーシャルディスタンスを保つような感染症対策は必須ですし、それでも開催をきっかけに感染症が広まるリスクは避けられません。

オンラインとオフラインのハイブリットタイプで開催する

参加方法をオフライン、オンライン選べるようにする、ハイブリットタイプの社員総会もあります。また、スタジオを用意し役員などの経営陣は会場でスピーチを行い、参加者はオンラインで傾聴するといった方法もハイブリットタイプの社員総会として取り入れられています。

ハイブリットタイプのメリット・デメリットは以下の表を参照してください。

メリット

・感染症対策として有効

・会場の規模を小さくできる

・参加者がオンラインとオフラインを選べる

デメリット

・画質と音質が優れた中継機器が必要

・見る側に立った工夫をしないといけない

ハイブリットタイプの社員総会は、オンライン、オフラインのメリットを両方とも取り入れたかたちです。全員が会場にそろうわけではないため、人と人の接触を減らせるため感染症対策にもなりますし、現場の臨場感を伝えることも可能です。

ただ、会場やスタジオの状況をオンラインで発信するために、カメラやマイク、照明など、専用の機器が必要です。現場にいる人だけでなく、オンライン参加の人も楽しめるような工夫をしないと、不公平感が出てしまい社員総会が逆効果になる可能性もあります。

ハイブリットタイプの社員総会では、オフライン、オンラインとはまた違った企画を考えなければなりません。

社員総会の主なプログラム

社員総会に必要なプログラムは以下のとおりです。

  • 開会の挨拶
  • 社長や経営陣からのメッセージ
  • 業績報告
  • 経営方針の共有
  • 人事発表
  • 閉会の挨拶
  • 懇親会

メインとなる企画はそれぞれの企業によって異なるでしょうが、一般的に上記のプログラムは行います。社員総会は、経営陣からの感謝の意や企業理念を直接伝える貴重な場です。さらに業績発表も行うことで、社員のモチベーション向上につながります。

そのうえで、表彰式や社員同士のコミュニケーションが活性化するゲームやイベント、講演会などを取り入れるとよいでしょう。閉会後は懇親会を開催すると、社員総会の感想を言い合える場となります。懇親会はオフライン、オンラインどちらでも可能であるため、社内コミュニケーションに課題を感じている企業はぜひ開催してみてください。

社員総会の開催までの流れ

社員総会の開催までの流れ

社員総会開催までの一般的な手順を説明します。

  1. 社員総会の目的を明確化する
  2. .開催方法を決める
  3. (オンラインの場合)ツールや配信設備の決定
  4. (オフラインの場合)会場選定
  5. プログラム・懇親会の内容を決定する
  6. プログラム・懇親会の準備をすすめる
  7. スタッフの役割分担
  8. リハーサル
  9. 社員総会開催
  10. 当日の反省

それぞれの手順に分けて、詳しく何をすればよいのか解説します。

目的の明確化

まずは、社員総会を通じてどのような効果を得たいのか、その目的を明確化しましょう。社内コミュニケーションの活性化であれば、社員同士が会話をするようなプログラムが必要ですし、社員のモチベーション向上を狙うのであれば表彰式などがおすすめです。それに応じて選定するツールや会場も変わってくるため、最初に目的を決めたほうが効率的です。

開催方法を決める

目的や新型コロナウイルス感染症の状況を鑑みて、オンラインか、オフラインか、ハイブリットか、開催方法を決めます。それぞれメリット・デメリットが異なるため、先程説明した「社員総会の開催方法」を参照し、自社に合った方法を選んでください。

プログラムの決定

プログラムも目的や開催方法に適したものを選択します。格式高い総会にしたいのであれば、企業の歴史を振り返るムービー放映、表彰式などがよいでしょう。社内コミュニケーションを促進し、くだけた雰囲気の総会にするのなら、社内運動会、チーム制のゲームなどもおすすめです。プログラムの内容を決めると同時に、懇親会を開催するかどうかも決めましょう。

スタッフの役割分担

社員総会の大筋がかたまってきたところで、係を決めてそれぞれ担当の仕事を進めていきます。懇親会を開催する場合は、オフラインであれば飲食店やパーティ会場の確保、オンラインであればそれぞれの自宅に届ける食材や飲み物の準備をしましょう。

リハーサル~本番当日

開催前には必ず本番同様のリハーサルを行います。とくにオンライン開催の場合は、機材トラブルが起きないように、設定や機材の使い方まで入念にチェックしてください。社員総会当日はリハーサルのときと同じように、慌てず粛々と進めていきましょう。当日は突然起こるアクシデントもあるかもしれないため、あらかじめトラブルを予測し解決方法まで決めておくと安心です。

反省

たとえ社員総会が成功で終わったとしても、必ず反省まで行いましょう。全体としては成功でも、細かな連携ミスや進行の遅れ等があるかもしれません。社員総会は定期的に行うことが一般的であるため、次回に活かせるように反省点をまとめ、次の担当者が読んだだけで分かるようなレジュメを作成しておきましょう。

まとめ

新型コロナウイルス感染症の広まりにより、社員総会を開催するかどうか、開催するとしても開催方法はどうするか、などの悩みを持つ担当者は多いでしょう。しかし、社員総会は社員が集まれる貴重な場であり、社内コミュニケーションの活性化や社員のモチベーション向上にもつながります。

社員総会を開催するときには目的を明確化し、それに沿った開催方法やプログラムの企画を決めていきましょう。スタッフの役割分担をあいまいではなくきちんと決め、当日までにリハーサルを行えば、きっと成功できるはずです。

ただ、初めてオンライン、もしくはハイブリットタイプの社員総会を開催するときには、適切な機材の選出やスタジオの確保、カメラなどを使いこなすことはかなり難しいでしょう。そういった要素でオンライン社員総会に不安がある企業は、専門家に依頼することもおすすめです。

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社員総会の開催方法に悩んでいる場合は、ぜひご相談ください。

山本脩太郎
著者情報山本脩太郎

ブイキューブのはたらく研究部 編集長?部長? 2018年株式会社ベーシックに新卒入社。 インサイドセールスを経て、マーケティングメディアferretの編集部でインタビュー記事を中心とした企画・執筆などを担当。 同時期に数社のコンテンツマーケティング支援・インタビュー取材を経験。 2020年3月に株式会社ブイキューブに入社。

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