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近年は、オンライン教育がいろいろな分野に普及しつつあります。オンラインでの授業といえば、これまでは録画した映像を配信する方式が主流でしたが、近年はLIVEで授業を配信し講師と生徒がインタラクティブにやりとりするスタイルも増えています。

 

今後は5G の時代になり、教育の在り方も大きく変わると言われています。スマホが100倍速くなり3時間の映画が3秒でダウンロードできる社会ではオンライン授業はより一般的になっていくでしょう。

 

そのような時代の変化の中、本記事では遠隔で行うオンライン授業の可能性について解説します。

オンライン授業とは?

オンライン授業とは、インターネット回線や衛星通信回線などを利用し授業を配信するシステムです。これまでの授業では教室に通うことが一般的で物理的な距離により通学先が限定されていました。一方で、欧米などの英語圏などでは国をまたいでオンライン授業を受けることが徐々に一般的になってきています。

 

遠隔授業の主流のひとつに通信教育があります。通信教育では教材は文字のみで行われることが主流でした。一方でオンライン授業は動画を通じて配信されます。テキストと比較し動画を通じすることにより、人間の脳は、6万倍以上速度でその情報を処理する(英語ページ)ことができるといわれており、その優位性は歴然とした差です。

 

このようにオンライン授業を動画で行うことは、人間の学習速度にも多大な影響を与えます。では、日本で一般に「オンライン授業」と言われているのには、どのような種類があるのでしょうか。

 

大きくわけると以下の2つです。 

 

オンライン授業の種類1:録画した映像をインターネットで一方向で配信

塾や予備校の授業、企業の社員教育用e-ラーニングシステムなどでよく活用されているシステムです。録画教材を使っての学習は自分のペースで好きな時間に学習することができるところが長所です。一方で、対面授業とはことなりこのスタイルの授業では、リアルタイムでの双方向間のやり取りを行うことができないという短所があります。

 

オンライン授業の種類2:ネット回線や衛星回線を使ってLIVE配信するオンライン授業

Skypeを活用したオンライン英会話、高性能Web会議システム・テレビ会議システムなどを活用した生放送のオンライン授業です。動画でお互いの顔を確認しながらチャットで質疑応答し、資料の画面共有機能なども使いながら効率よく学習することが可能です。高機能なWeb会議システムやテレビ会議システムを活用すると大人数に高品質なオンライン授業やウェビナーを届けることができます。

オンライン授業の普及が見込まれる分野

オンラインによる授業は、パソコン、スマートフォンなどのデバイスがあれば誰でも手軽に受けることができるため、これからさらに多くの分野に普及することが見込まれます。

 

これまでビデオ編集にはプロの編集者を欠かすことができず、撮影機材も非常に高価でした。ですが、昨今のスマートフォンや初級モデルの一眼レフカメラでもプロ並みの動画撮影が可能になり、安価な編集ソフトがあります。

 

加えて、Web会議システムやテレビ会議システム、オンライン配信ソフトウェア自体にも編集機能がついているなど、編集へのハードルは法人活動の場でも下がりました。そのため、これまで以上にオンライン授業などの教育的な動画配信が浸透していくことが考えられます。

塾、予備校

「いつやるの?今でしょう」というCMで有名な東進ハイスクールは一部を除いて通信衛星やインターネット回線を利用したオンライン授業を行ってきました。オンラインによる授業を実施した先駆者でもある同校は、東大をはじめとする難関大学への合格実績がずば抜けており、オンライン授業の効果を日本全国に広めたと言えます。

 

塾業界では、すでに多くの塾や予備校が録画型やLIVE型のオンライン授業を提供しています。通信環境が今後さらに改善することで、ますますオンライン授業が普及していくと予測できます。

学校

学校教育でもオンライン授業が普及する可能性は大きいと言えます。文部科学省はデジタル教育の普及を目指しており、2019年5月には「学校教育の情報化の推進に関する法律」が施行されました。これまでもICT環境の整備を推奨してきており、「平成29年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」によると、自治体によって差はあるものの、どの県の学校もICT環境が年々整いつつあることがわかります。

 

自治体ごとのネットワークスピードの比較表

出典:文部科学省

 

さらに、文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」を進めていることもあり、昨今は公立・私立を問わずオンライン英会話を授業に導入する学校が増えています。2020年度から大学入試に民間英語検定試験も導入されます。学校教育の分野では英語教育を皮切りにオンライン授業が普及していくと推測できます。

 

大学・大学院(サテイライト校、オンラインコース)

オンライン教育のシステムを使いサテライト校を作る大学も増えています。現状では、実験が必要な科目は難しいものの文科系の学問であればオンラインによる授業は可能です。少子化が進む日本では多くの大学の統廃合が予想されていますが、オンラインによる良質な授業を配信することができれば、日本全国はおろか世界各国から生徒を集客することも可能でしょう。

 

近年は多くの大学がリカレント教育に力を入れていますが、通学コースだけでなくオンライン授業とスクーリングを組み合わせたコースを設ければ、学生の層を大きく広げることができます。

日本最大級のビジネスクールであるグロービス経営大大学院では、LIVE方式の映像授業で取得できる「オンラインMBA」の講座を提供しています。臨場感あふれる授業やほかの生徒とのリアル感あるやりとりが可能なシステムが活用されており、通学コースに劣らず人気のようです。

社員教育

インターネット環境が普及した時期から、多くの企業は社員教育にeラーニング(LMS)を導入しています。大人数が一堂に会する集合研修は社内調整が難しくそう何回も開けるものではありません。今後は空き時間を活用し学ぶeラーニングの科目とLIVE配信するオンライン授業を組み合わせるスタイルの研修が増えていくでしょう。

 

多忙なビジネスマンにとって、通学する必要がなくスマホやタブレットでも受講できるオンライン教育は非常に効率的です。ワークライフバランスが推奨されている昨今は、直行直帰の社員、在宅ワークの社員も増えることが予想されるため、社員教育の在り方もオンライン教育がマッチしていると言えます。

 

また、社内報を動画で配信する企業も増加しており、好きな時間に視聴、またはスタッフが全員集まり視聴するなどする企業が増えています。株式会社USENでは、社内の知識共有や、製品サービスの知識の属人化を防ぐために、動画をオンライン授業の形で配信し、その効果を体感しているといいます。 

オンライン授業のメリット

オンライン授業や動画配信が一般的となり、みなさんも目にする機会が増えてきたのではないかと思います。では、オンライン授業のメリットは具体的にどのようなものなのでしょうか。

トップクラスの能力を持つ講師の授業を受けることができる

オンライン教育の大きなメリットは、一流の指導者の授業を多くの人が受けることができることにあります。これは、録画型であれLIVE配信であれ共通しています。

 

例えば、オンライン授業が普及すれば、地方の学生も都心の学生と同じように優れた講師の指導を安価で受けることができ、大学受験、資格試験などでのハンデがなくなります。ビジネスや趣味の分野も同じです。地域による教育格差が小さくなります。

 

また、言語の壁さえなければ他国の外学や教育機関、企業の配信する教育的なオンライン授業を視聴することさえも可能です。

手軽でコストもあまりかからない

オンラインの授業は、教室が必要なくスマートフォンやタブレット、インターネット回線さえあればどこにいてもハイレベルな授業をうけることが可能です。授業を提供する側も大規模な教室を用意する必要はなく、双方ともコストがあまりかからないメリットがあります。

 

近年のノートPCには、ほとんど内蔵カメラやマイクが搭載されています。そのため、初期投資としてマイクやカメラを別途購入する必要などもあまりなく、オンライン授業のコースを配信している教育機関などはYouTubeなどを通じて無料の動画を配信している場合がほとんどです。

 

これらの条件を活用することにより、授業に通うことなく、無料でお試しの動画を視聴し、ノートPCさえあれば追加費用さえもほとんどかからないことになります。

アクティブラーニングが可能

オンライン授業は視覚や聴覚をフルに使うため、講義を聴くだけの授業より刺激があります。LIVE配信によるオンライン授業では、チャットなどを活用し講師やほかの生徒と意見交換することが可能です。オンライン上では実際に挙手するよりも気軽に意見が発信できるため、アクティブラーニングの実践にも効果的だと言えます。

離島や過疎地の学校教育に貢献

日本は人口減少が進んでおり、地方や離島の学校はこれから存続が難しくなることが危惧されています。文部科学省は、2017年に離島や山間部などの小規模公立小中学校にテレビ会議システムを導入し、近くの学校と一緒に授業ができるようにする計画を固めています。テレビ会議システム・Web会議システムなどを活用すれば、過疎地に済んでいる生徒にもオンラインで充実した授業が提供できます。

 

地域創生の核となる人材を育成している島根大学「ふるさと魅力化フロンティア養成コース」では、インターネットによる遠隔オンライン授業をおこない、オンデマンド授業コースを開設しています。このことにより、北は新潟県、南は沖縄県からさまざまな受講生が集まり、全国各地の社会人を対象としたオンライン授業での学びの場を提供することを実現できています。

オンライン授業のデメリット 

コストが高くない、優れた授業を場所に関係なく受けることができるなどのさまざまなメリットがあるオンライン授業。一方で、オンライン授業はまだ歴史が浅いため課題もあります。ここでは、オンライン授業の開設や受講を行う前に考えておきたいオンライン授業のデメリットをご紹介します。

通信環境、ICT機器の影響を受けやすい

オンライン授業を受けるにはある程度の通信環境や装備が必要です。インターネットが全国的に普及したとはいえ、接続スピードが遅い地域もあります。接続が途切れたり、タブレットに資料のダウンロードがうまくできないなどの事態が起きるとせっかくの学習意欲が減退します。

 

前述の「平成29年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」でも、生徒一人あたりのPC台数の不足、普通教室の無線LAN整備率や電子黒板整備率の低さなど課題が指摘されています。オンライン教育がすべての学校に普及するには、まだまだインフラ面の課題があると言えるでしょう。

学位付与には向かないという意見も

米国では大学がオンライン授業を提供し、学位を付与することも一般的になりつつありますが「ディプロマ・ミル」という不正が課題となっています。顔の見えないオンライン授業では出席や、テストのカンニングなどが監視しにくいからです。

 

近年、普及してきた顔認識システムを活用すれば出欠確認は可能でも、映像に映らないところに協力者がいれば実力以上の力を発揮することが可能であるため、試験だけはオンラインではなく大学で実施する場合もあるそうです。オンラインで学位を付与することの難しさを指摘する声があります。

目や耳に頼った授業が前提であること

PCやスマホの画面を長時間見つめることで目の疲れを感じる人は多いと思います。昔から電磁波による身体への悪影響についてはWHOが指摘しています。長時間のオンライン授業は、目のつかれ、肩こり、難聴などにつながる可能性があります。デジタル教育だけに限りませんが、電子機器の適切な使用時間を意識することが必要です。

 

また、まだまだほとんどのオンライン授業が健常者視点で作成されており、耳の不自由な方、目の不自由な方にはオンライン授業を受けるには制限があるというのが現実です。そのように、対面では視覚や聴覚だけに頼ることなく授業を受けることも可能であり、かつ個別に対応することが比較的容易です。オンライン授業では、「当たり前」をすべてのひとに提供することが難しい、などがあります。

 

一方で米スタンフォード大学などの教育機関では、「ウェブアクセシビリティ」を表明しており、障害を持つ人を含めたすべてのひとが オンライン授業を受けることが可能な方針を打ち出しおり、そのデメリットは徐々に解消されていくことを期待できることでしょう。

オンライン授業を実現するためのシステム一覧

ここまで動画を用いたオンライン授業のメリットとデメリットをご紹介しました。パソコンに内蔵カメラやマイクが搭載されることが一般的になってきましたが、専門のツールやシステムを利用することによって、より快適にオンライン授業を受けることが可能になります。

 

ここでは撮影用機材を除いたオンライン授業を受講する際に必要なシステムやツールをご紹介します。

 

ソフトウェア

インターネットを介してオンライン授業を行うにはLMS(Learning Management System)、eラーニングシステムなどと呼ばれるベースとなるソフトウェアが必要です。LMSがあれば手軽にオンライン授業を実現できます。受講者はシステムにログインして学習し、教員や講師は受講履歴や成績の管理を行うことができます。

 

ブイキューブの動画プラットフォームQUMU

商品名:QUMU

提供元:株式会社ブイキューブ

特長:

  • ・スマートフォン、タブレットも対応
  • ・講師と受講者間メッセージ機能
  • ・企業内のAD情報などと連携し、視聴作成制限などのセキュリティ設定可能
  • ・双方向のリアルタイム講義配信可能

カメラ

オンライン授業はパソコン、タブレット、スマートフォンで受講可能な場合がほとんどです。デバイスに内蔵カメラがついている場合とついていない場合があります。一人で受講する場合は、パソコン内蔵のカメラで問題ありませんが、内臓カメラがない場合や大勢で授業を受ける場合は、参加者全員の様子を写せる外付けのカメラがあるとより臨場感ある授業が可能になります。

 

LoogicoolのHD Webcam C270

 

商品名:HD Webcam C270
メーカー:Logicool製
特長:60°/120万画素/UVC対応
対応OS:Windows, Mac OS

 

マイク

マイクについても、一人で授業に参加する場合は自分の音声を拾えれば問題ないため一般的なヘッドセットで十分です。大勢で授業を受ける場合は、参加者の数や教室のスペースに応じたマイクが必要です。パソコンにUSB接続すれば使用可能な簡単なマイクがほとんどです。

 

JABRA のオフィス用ヘッドセット

商品名:Evolve 30 II UC Stereo

メーカー名:Jabra

特長:USB、3.5mmジャック接続対応/ノイズキャンセリング/ミュート/ボリュームコントロール

 

タブレット保管庫

タブレットは、パソコンに比べ軽く持ち運びが簡単であり、スマートフォンよりは画面が大きく資料が見やすいため、オンライン授業に適したデバイスだと言えます。たいていのタブレットにはマイク、スピーカー、カメラが内臓されているため、いつでもオンライン授業を受けることが可能です。

 

また複数人が集まりタブレットを利用してオンライン授業を受ける際には、事前設定した複数のタブレットが必要になります。そのような際には、大量のタブレットを保管及び充電する保管庫などが活躍します。


Averのタブレット保管庫

 

商品名:C20i

メーカー名:アバー・インフォメーション株式会社

特長:収納台数20台、収納中充電可能、インテリジェント充電システム

オンライン授業を行う海外事例 

オンライン授業は日本より海外各国が進んでおり、世界屈指の名門大学がオンラインコースを設けています。

Stanford Online(提供元:スタンフォード大学)

インテル、Googleなど数々の企業の創始者を輩出した米国のスタンフォード大学では、ビジネス・コンピューターサイセンス、統計、意思決定、ライティング、最近のコースではブロックチェーンの分野のオンラインコースが作られさまざまな教育を受けることが可能です。

 

Harvard Online Courses(提供元:ハーバード大学)

多くのアメリカ合衆国大統領やノーベル賞受賞者を輩出してきたハーバード大学では芸術、歴史、数学、経済、データーサイエンス、政治、法律など幅広い分野のオンラインコースを提供し、スタンフォード同様にフィンテックの授業を開設するなど、最新の教育を無料と有償でオンラインで提供しています。

 

MIT OPEN COUSEWARE(提供元:マサチューセッツ工科大学)

ノーベル賞受賞者をハーバード大学よりも輩出しているマサチューセッツ工科大学では、

建築・工学・経営・理学・健康科学など理工学系学問のオンラインコースが豊富にあり、こちらも無料と有償のコースを提供しています。

米国のオンライン授業の実際の受け方

 

米国の大学のオンライン授業は、パソコンの画面に黒板に相当するボードや講師やクラスメイトの顔が映し出され、クラスメイトの表情を見ながら受講することが可能です。一般的には、チャット機能、質問したいときの「挙手ボタン」だれかの発言に同意するときの「サムズアップ(親指を立てる)ボタン」同意できないときの「サムズダウン・ボタン」「拍手ボタン」などを駆使し、アクティブなコミュニケーションが行われています。

世界中の大学の授業が受けられるCoursera(コーセラ)

 

Courseraとは米国、カナダ、ヨーロッパ、インドなど各国の名門大学やGooge、P&Gなどの一流企業が、無料でオンライン授業を提供しているプラットフォームです。日本からは東京大学が参加しています。世界28カ国から190のパートナーから3000以上のコースが提供されており、1800の企業が従業員のスキルアップのためにCourseraを利用しています。 

まとめ 

オンライン授業が普及すれば、学生だけでなく、身体が不自由な人、子育てや介護で家庭から離れられない人、忙しいビジネスマンなども空いた時間に一流の授業を受けることが可能になります。日本にいながら世界の優れた教育を受けることも、逆に海外の人たちに日本の教育をオンライン授業で提供することもスムーズになります。

 

「学び」が学生のものだけではなくなります。オンライン教育は地域や時間、貧富の差という垣根を限りなく小さくし、教育という市場を大きく広げていくでしょう。