遠隔授業とは、場所を問わず授業を行える新しい教育方法
遠隔授業とは、離れた教室同士をWeb会議システムやテレビ会議システムでつなぎ、同時に授業を行うことを意味します。
Web会議システム・テレビ会議システムとは、どちらもパソコンやタブレットなどの電子端末やテレビ回線を使用して、相手の顔を見ながら遠隔地同士でもコミュニケーションを可能にするツールのことです。
遠隔授業は移動コストを軽減し、新しい学び方を創出できる、という特徴があります。
今までは地方在住の場合、著名な講師の授業を受けたい時は都心に赴かなければならなかったり、反対に講師を地方へ呼んだとしても講師側の移動に負荷がかかってしまったりすることがほとんどでした。都心と地方でそうした格差があり、どうしても柔軟に・そして手軽に授業を行うことが困難だったのです。
また、塾や予備校などをはじめとして、タブレットやスマートフォン・パソコンなどを使ったICTによる学習が浸透しているとはいっても、動画教材では生徒たちの反応や理解度が確認できないことが難点。「動画教材で受講する場所の制約はなくなっても、効率性に欠ける」というデメリットがありました。
遠隔授業はその課題を解決できるため、有用であるといえます。
文部科学省の初等中等教育分科会によると、以下のイラストのように遠隔授業の方式は「合同授業型」「教師支援型」「教科・科目充実」の3つに分類されるとしています。この3つを組織のニーズに使い分けて活用するのが一般的でしょう。
出典:文部科学省「遠隔教育の推進について」
遠隔授業はリアルタイムでICTツールを使って行います。ICTとは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、通信技術を活用したコミュニケーションのことを指します。
ICTツールに関しては、別記事「働き方改革を実現するために有用なITツールの種類と活用事例」でも詳しく紹介しています。自社の課題やニーズに合ったツールを選ぶことで、コスト削減や生産性向上につなげることができます。ITツールについて詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
なぜ遠隔授業が注目されるのか?教育業界の現状
それでは、具体的に遠隔授業に注目が集まる背景とは一体何なのでしょうか。
遠隔授業の推進は、文部科学省を筆頭に進んでいます。今後の日本では人口減少が加速し、地方においては「過疎化」が懸念されています。そこで、小中学校など地方の教育現場と都市部の教育現場とのギャップを解消するため、遠隔授業の導入が叫ばれているといえます。
実際に、以下に示した文部科学省による「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた学習・活動に関する現状」によると、今後、過疎地域は都市部と比べて特に著しい人口減少が見られるというデータが出ています。
出典:文部科学省「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた学習・活動に関する現状」
文部科学省が地方の学校に遠隔授業を取り入れる取り組みとしては、「学校教育における ICTを活用した実証事業」と「社会教育におけるICTを活用した実証事業」などが代表的です。どちらも地方にある小規模校において、学校を営む上での教育課題を解決するために行われた事業です。
しかし、そういった取り組みがある一方で、教育のICT環境はそれほど進んでいないのが現状です。
同省による「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」では、学習用のコンピューター整備の目標値は「3クラスに1クラス分程度」なのに対して、2019年3月時点の全国平均では「1台に対して5.4%」という結果です。また、遠隔授業を行うための普通教室のLAN整備も「100%」が目標ではありますが、実際は「40.7%」に留まっています。
出典:文部科学省「平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」
どの数値も年々少しずつ増加してはいますが、まだ十分に遠隔授業を行うための環境整備が行き届いていないといえます。
しかし、今後インターネット技術はさらに発達していきます。小学校ではプログラミングが必修科目となり、ICT環境の整備は将来的に必須になるでしょう。技術の発達、そして人口減少・地方の過疎化といった事態を少しでも軽減するために、遠隔授業は今後さらに必要になっていくと考えられます。
遠隔授業で使われる主なICTツール4つ
遠隔授業の実態を把握しましたが、実際に遠隔授業を行う場合、パソコンやタブレットなどの基本的な端末のほかにはどのようなICTツールが必要になるでしょうか。
以下で紹介するのは、以下の4つです。順番に説明していきます。
- 遠隔教育システム
- マイク
- スピーカー
- カメラ
遠隔教育システム
「遠隔教育システム」は、離れた場所同士で映像と音声をやり取りするためのツールです。主に「Web会議システム」と「テレビ会議システム」の2つがあります。
Web会議システムは、パソコンやタブレットなどにソフトウェアをインストールし、オンラインでやり取りをするものです。一方でテレビ会議システムは文字通りテレビを使い、専用の端末や回線でコミュニケーションを行います。
どちらにも長所と短所がありますが、大規模な遠隔授業を行いたい場合は、接続の安定性が確保できるテレビ会議システムが有用だといえます。反対に、1対1のシチュエーションや少人数での授業には、パソコンなど小さい端末でも行えるWeb会議システムが効率的です。
遠隔教育システムについてもっと知りたい方へ
Web会議システムとテレビ会議システムについて詳しく知りたい方は、あわせてこちらの別記事「Web会議システムとは?今さら聞けない仕組みや注意点を徹底解説」と、無料でダウンロードが行える資料「Web会議サービス選定「5つの条件」をご覧ください。遠隔授業に適しているWeb会議サービスの紹介についても分かりやすく説明しています。
完璧な音質と画質を誇る「Zoom ミーティング」
出典:Zoom ミーティング
「Zoom ミーティング」は、世界中で最も使用されているWeb会議システムの1つです。ビジネス向けだけではなく、教育プランが用意されていることが特徴です。アメリカのトップ大学96%を含め、17000以上もの教育機関で利用されています。
ワンクリックでコンテンツを共有できたり、デジタルホワイトボードが搭載されていたりと豊富な機能が活用できます。さらに、授業のセッションを記録しておくことで、後から見返すことも可能。生徒たちも自分のペースで学習が行えます。
また、会議の開催にライセンスを取得する必要があるのは主催者(教師)のみで、受講者は会議アドレスへ招待されることで、専用アプリいらずでブラウザからオンライン授業に参加できます。
関連記事
すでにZoomを導入しているが、有料版に切り替えるか悩んでいるという方は、「Zoomの有料版を使うべきメリットとは?無料プランとの違いや決済方法を解説」をご参照ください。
マイク
最近ではマイクがあらかじめ端末に内蔵されているものも多いですが、個別に販売されている専用機器を使う方が、より質の高い遠隔授業が行えることを望めます。
少人数や1対1の場合なら内蔵のマイクでも良いかもしれませんが、やはり大人数になると、集音する規模が大きいぶん教室内の雑音が入ってしまう可能性があります。
また、どんな時でも音声がクリアである方がスムーズに遠隔授業を行うことができます。そのため、ノイズを除去する機能が搭載された高品質なマイクを使うのがおすすめです。
遠隔授業に活用が想定されるマイクは、広く一般的な「指向性マイク(ハンドマイク)」のほか、教室全体の音声を拾える「無指向性マイク」、マイクとスピーカーが一体になった「ヘッドセット」が代表的です。
シチュエーションに合わせて使い分けるのが良いでしょう。
おすすめのWeb会議用マイクスピーカー7選|製品選びのポイントとは?
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スピーカー
音声環境の準備がないままでは、ノイズやハウリングが発生したり、音声に途切れが発生してしまう可能性も。マイクとセットでスピーカーも教室に用意することで、ストレスなく遠隔授業を行えるようになります。
ディスプレイにあらかじめ内蔵されている「ディスプレイ内蔵スピーカー」もありますが、エコーやハウリングを抑制できる「個別スピーカー」もあります。どちらにしても、教室にいる人数や規模に合わせて選ぶのが良いでしょう。
カメラ
内蔵カメラは、パソコンの付属品に過ぎないという面があるため、その性能には限界があるといえます。
映像をクリアに映すことができ、「誰が発言したのか」が分かるようにするために、視野角の広いカメラを選択するのがおすすめです。高品質なカメラはたくさんあるため、その中から活用ニーズに合わせたものを選びましょう。
Web会議におすすめのカメラ6選!抑えておきたい3つのポイントと選び方を解説
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遠隔授業のメリット
遠隔授業のメリットとして一番大きいのは、都市部から離れた遠隔地でも質の高い教育を受けることができるという点です。
1.地方や海外にいてもレベルの高い授業を受けられる
通常、レベルの高い教育は知識や経験の豊富な教育者から受ける必要があります。しかし、都市部ならまだしも、地方や海外でこのような質の高い教育者を見つけることは困難です。
遠隔授業であれば、地方や海外に居ながらにして質の高い教育者から授業を受けることができます。同様に、国内にいても海外名門校の授業を受講することも可能となります。
例えば、文部科学省委託事業の「高等学校における次世代の学習ニーズを踏まえた指導の充実事業」では、実際に国内外の大学等との遠隔授業が行われました。
2018年度の生徒アンケートでは、学習意欲が高まったかどうかについて「そう思う」「大体そう思う」と答えたのが63人中47人という結果になり、遠隔授業が学力向上に寄与していることが分かります。
出典:遠隔教育システムを用いた国内外の大学等との連携による教育効果について
2.講師の移動コストを削減
遠隔授業により、遠隔地で授業を行う際に移動コストが削減できます。多拠点展開している学校ほどその効果は顕著であり、時間のロスも含めるとかなりの削減効果が期待できます。
教職員の数が限られている岐阜県郡上市の小中学校では、往復で2時間以上かかるような場所へ教職員が研修、会議に出向く機会が多くありました。しかし、遠隔授業を行うことによって移動に伴う費用や2時間のロスを減らすことが出来たのです。
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3.他地域との交流や幅広い学びが実現できる
遠隔授業は、他の学校とリアルタイムで繋いで他の生徒と交流をすることも可能です。教師が生徒に一方的に教えるスタイルではなく、何かテーマを決めて生徒同士がそれに対して発表をする機会を創出する際などに使えます。これは「遠隔合同授業」とも呼ばれています。
実際に遠隔合同授業が行われた学校では、生徒の社会性を養えたり多様な価値観に触れられたりといったメリットも。以下に示したのは、生徒たちのアンケート結果です。
出典:文部科学省「遠隔学習導入ガイドブック第3版」
「自分たちのクラスだけでは出てこないような意見を聞くことができた」や「自分たちのクラスだけでやる授業よりも、友達の意見や発表をしっかり聞いていた」など、ある程度の効果があることが見られました。
遠隔授業のデメリット
一方、遠隔授業はICTツールを使うため、身体面へのデメリットもいくつか存在します。
1.目や耳が疲れやすい
遠隔授業は目の前で講師が授業するわけでなく、スクリーン画面を通して授業を受けることになります。したがって、長時間の講義になると目や耳が疲れやすいというデメリットがあります。
実際に高知県教育委員会が平成30年にまとめたアンケート調査によると、生徒から「目が疲れるし、ディスプレイに書き込む文字が見にくい」という声が上がっているようです。
2.通信環境・IT機器の影響を受けやすい
遠隔授業の場合、複数の拠点同士リアルタイムで授業が行われます。そのため、通信回線が貧弱であったりIT機器が低スペックだったりすると、音声遅延や寸断が発生し、授業が中断してしまう可能性があります。
先ほど例に出した高知県教育委員会が平成30年にまとめたアンケート調査でも、遠隔授業の機器について、「画面がよく止まる」「機械のトラブルが多い」「音声のラグを解消してほしい」との意見が出たと記されています。
スムーズな授業進行のためには、ある程度スペックの高いIT機器やWeb会議システムが必要となることがうかがえます。
遠隔授業を行なっている学校・企業の成功事例10選
では、実際にICTを活用した遠隔授業を行っている学校や企業の事例をいくつかご紹介します。
事例1:一人当たり3〜4万円の移動コストを削減(日本経済大学)
東京渋谷、神戸三宮、福岡と国内3か所にキャンパスを擁する「日本経済大学」。経済学、経営学に特化した単科大学として唯一無二の個性を持つ大学です。
同校では、離れた場所にある3キャンパスをつなぎ、ICTを活用した遠隔授業を行っています。これにより、東京で行うハイクオリティな授業を、神戸や福岡でも同時に受講することができるようになりました。
同時に、教授会や入試判定会議もWeb会議システムを活用することで教授の移動コスト削減にも成功。年間で1人あたり3~4万円の移動コスト削減効果があったとのことです。
今後は入学前教育やアクティブラーニングにもICTを活用していく方針です。
事例2:教職員の移動時間とコストの削減を図る(近畿大学)
「実学教育」と「人格の陶冶」を建学の精神とし、実践的な人材の輩出に定評がある「近畿大学」。
同校は関西地区に4か所のキャンパスを擁する他、広島と福岡にもキャンパスを持ち、東京にも拠点を構えています。そのため教職員の移動コストが課題となっていました。
そこで、Web会議システムによる教職員の移動時間とコストの削減に着手。全拠点共通のWeb会議システム導入によりインターフェイスの共通化も図り、効率的な会議運営に取り組んでいます。
また、外部業者との打ち合わせにもWeb会議システムを利用するなど、活用の場は広がっています。
事例3:Web会議システムを使い遠隔授業を実施(郡上市教育委員会)
「郡上市」は岐阜県のほぼ中央部にある人口4万人強の地方都市です。奥美濃の小京都としても知られており、風光明媚でのどかな景色が広がる自然豊かな街です。
郡上市には22校の小学校がありますが、うち3校が極小規模校(全校児童数が10名未満)であり、児童同士のコミュニケーションが不足しがちになるという問題がありました。
そこで、極小規模校同士をWeb会議システムでつなぎコミュニケーション不足を補うとともに、道徳の授業や総合学習の時間における意見交換を積極的に行うことで、実際に一つの空間にいなくても、お互いの顔を見ながら多様な見方や考え方に触れる機会を創り出すことに成功しました。多様な見方や考え方に触れる機会を創り出すことに成功しました。
同時に、市域が広いため時間もコストも膨大であった教職員の会議にもWeb会議システムを導入しコストを削減。今後はプログラミング学習や他自治体の同級生との交流にWeb会議システムを活用していく予定です。
また、郡上市にはHUB GUJOというシェアオフィス&コワーキングスペースがあり、市全体として地方創生に積極的に取り組んでいます。
事事例4:海外在住の講師とつないでグローバルな授業を実施(宮崎県五ヶ瀬中等教育学校)
平成6年に全国初の公立の中高一貫校として開校した「宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校」。文部科学省からはスーパーグローバルハイスクールに指定されている全寮制の学校です。
同校は「中山間地域からグローバル・リーダーを育成する課題研究及び発展的実践」をテーマに海外との連携を積極的に進めており、その手段としてWeb会議システムを導入しました。
具体的には、バングラディッシュ在住の講師による授業を実施したり、フィールドワークの訪問先と継続的に交流したりという用途に活用しています。
事例5:受講者の利便性を考えた遠隔授業システムを採用(株式会社イーオン)
「株式会社イーオン」は全国各地に約250校の英会話スクールを展開している企業です。日常英会話からビジネス英語、資格取得など受講生のニーズに合わせた幅広いコースラインナップが特徴です。
同社は早くからインターネットを用いた遠隔授業に力を入れてきましたが、受講生側のITリテラシーが課題となっていました。先端のシステムを導入しても受講生側が操作できずにかえって手間がかかっていたのです。
そこで、受講生側はインストールなど特別な操作が不要のWeb会議システムを導入し遠隔授業に活用することでその課題を克服しました。
事例6:小規模自治体でも優秀な外国語指導員が確保できる(町の学舎あこ)
高知県土佐町にあり、地域の未来を担う人材育成事業を手掛ける「町の学舎あこ」。子どもから高齢者までが集まるコワーキングスペース兼コスタディスペースとして地域NPOにより運営されています。
同施設は老若男女問わず新しい学びを体験する場として活用されており、遠隔教育向けテレビ会議システムを用いたさまざまな遠隔授業や地域間交流が行われています。
例えば英語学習においては外国語指導員の確保が困難な地域であるため、遠隔教育向けテレビ会議システムを利用して指導員を確保し授業を補う活動を行っています。また大人を対象としたオンライン英会話サービスにもこのシステムが活用されています。
事例7:本校と分校で変わらないクオリティの授業を実施(大分県立三重総合高等学校)
「大分県立三重総合高等学校」は大分県豊後大野市にある全日制の高校です。2006年に県内の4校を統合して設立された新設校であり、本校キャンパス以外に竹田市久住町に久住キャンパスがあります。
久住キャンパスは山間部にあるため、本校キャンパスと同レベルの授業を実施するのが困難な状況でした。そこで、専門的で質の高い授業を実施し、遠隔地にいる生徒同士が協働で学ぶ習慣を身につけるためWeb会議システムを導入。農業大学校の専門講師による授業を本校と分校同時に受講できるようにしました。
事例8:全国へと広がる複式双方向型指導モデル(徳之島町教育委員会)
「徳之島町」は奄美群島のほぼ中央部に位置する人口1万人強の町です。町内には小学校が8校ありますが、どの学校も小規模校であるため複式学級制度(3・4年生学級や5・6年生学級)を採用しています。
同町は複式双方向型指導モデルの確立に取り組んでおり、遠隔合同授業やプログラミング教育にICTを活用した実証事業を行いました。
この方法は徳之島型モデルとして全国的に広がりつつあります。
事例9:全国どこでも同一レベルの研修を実施(一般社団法人KJK)
介護福祉士実務者研修を実施している「一般社団法人KJK」(旧:一般社団法人介護福祉士実務者研修センター)。人口高齢化に伴う介護ニーズ需要の高まりを受け、介護福祉士実務者研修の受講者も増加中です。
実務者研修の受講は介護福祉士国家試験の受験資格として義務付けられており、すべての受験者がこの実務者研修を受講しなければなりません。とはいえ、受講生は全国に散らばっており、すべての地区で均一なクオリティの集合研修を行うのは困難でした。そこで同法人はオンライン授業システムを活用した映像配信システムを導入しています。
これにより、クオリティの高い教材を受講生に対しタイムリーに提供できるようになり、どこにいても変わらないレベルの知識を身につけることが出来るようになりました。
事例10:他大学や高校も巻き込んだ遠隔授業を実施(国立大学法人北海道教育大学)
次世代の教育者を養成するという理念を掲げている「北海道教育大学」。本部を札幌に置き、旭川、函館、釧路、岩見沢に分校を設けています。
キャンパス間は最大580km離れているため、複数キャンパスで同時に受講できる遠隔授業はもちろんのこと、教職員の打ち合わせに利用できるICTの導入は不可欠でした。
そこで同校は遠隔授業を行うためのビデオ会議システムやモバイル端末用のビデオ会議ソフトウェアなど多様なコミュニケーション環境を導入。学内だけでなく附属学校との間で行われるアクティブラーニングにも活用することで効率的なコミュニケーションを実現しました。
現在ではさらにその取り組みを前進させ、道内の国立大学同士の教養教育科目受講も視野に入れています。
まとめ|ICT環境の充実で、場所に制約されない新しい授業スタイルを
少子化や東京一極集中が課題となっている現在、遠隔授業の実施は今後の教育業界にとって率先して取り組むべきテーマといえます。
そのためには、さまざまな拠点と同時に繋いだり、遠隔地の生徒も授業に参加できるようにしたりすることが必要不可欠。そのような高レベルの遠隔授業を実現するためには、ICTの活用が重要です。
通信回線や端末と同様に、目的に見合う使い勝手の良いWeb会議・テレビ会議システムの選定にも配慮が必要であるといえるでしょう。