オンライン研修でグループワークはできる?成功のポイントや事例を紹介

2020年に感染が拡大した新型コロナウイルスにより、集合型の研修をオンラインで実施する企業が多く見られました。
集合型研修の場では、グループワークを実施する機会が多くあります。オンラインでもITツールを活用することで、集合型の研修と同様にグループワークを実施できます。
本記事では、オンライン上でグループワークを実施する方法を紹介します。
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オンライン研修とは
オンライン研修とは
オンライン研修とは、Web会議ツールなどPCやタブレット端末などを用いて1つの拠点に集まることなく受講できる研修です。
オンライン研修の種類
オンライン研修には、2つの種類があり、「多拠点参加型」と「個別参加型」があります。
多拠点参加型:各拠点ごとの会議室に集まりオンライン研修を受ける方法
個別参加型:自宅や自身のデスクなど個々人がそれぞれのスペースでオンライン研修を受ける方法
オフラインの研修では、講師と受講者が同じ場所に集まり、研修を行っていましたが、オンライン研修では、通信環境とPCやタブレット端末・スマートフォンさえあれば場所に制限されることなく各個人の自由な場所で研修を受けることが可能になります。
オンライン研修の解説
オンライン研修について詳しくは5分で分かる「オンライン研修」!成功の秘訣やツールを事例付きで解説にて解説しています。
オンラインでグループワークはできる?
ITツールを活用することでオンライン上でもグループワークが可能です。
勤怠管理や保管資料のIT化が進んでいるのと同じように、研修で扱うツールもIT化・オンライン化が進んでいます。
例えば、Web会議システムを利用して、遠隔でもその場にいるのと同じようにコミュニケーションが取れるようになりました。中には、ミーティングを分けてグループワークを行える機能を持ったWeb会議システムも提供されています。このようなITツールの普及とオンライン化の促進により、オンライン上でもグループワークが可能となっています。
オンライン研修でグループワークを行うための方法
オンラインでグループワークを実施する際には、オフラインの研修で利用していたツールをオンラインでも使えるものに代用することです。下記に、いくつか例を紹介します。
内容 | オフライン研修 | オンライン研修 |
ブレイン ストーミング |
付箋、紙、模造紙 | Googleドキュメントなど共有して書き込めるツール |
ロールプレイング | スペース・座席 | Zoomのブレイクアウト機能など部屋を振り分けれるWeb会議ツール |
アイスブレイク・意見交換 | スペース・座席 | オンライン版のカードゲームなどの研修ツール |
ブレインストーミング
オフラインの研修では、付箋やメモ帳に各々のアイディアを出し合って共有するのが一般的でした。これをオンラインで行うには、Googleドキュメントなど共有できるドキュメントツールを活用すればオフライン研修のようにオンラインでも情報を共有できるでしょう。
また、Zoomでグループワークを実施する場合は、「Zoom ホワイトボード機能」を活用するとよいでしょう。画面を共有する際に、「ホワイトボード」という項目を共有することで、実際のホワイトボードのようにディスカッションをしながらアイディアの書き込みが可能になります。
ロールプレイング
オフラインの研修では、座席移動やスペースを必要としていました。オンラインで行うには、Zoomのブレイクアウト機能などを利用しWeb会議の部屋を細かく振り分けて行うことでロールプレイを実施できます。
アイスブレイク・意見交換
オフラインの研修ではボードゲームやカードゲームを使い親睦を深めることが多くあります。オンラインでも利用できる研修ツールを利用すれば、オフライン研修と同様にアイスブレイクを行って相互理解を深められます。
オンライン研修におけるグループワークのメリット
オンライン研修やオンラインでのグループワークには様々なメリットがあります。
1.受講者の日程の調整がしやすい
オンライン研修の大きなメリットは、場所の制限を受けずに受講できる点にあります。一拠点に集まる必要がなくなるので、研修日前後の移動時間やスケジュールを押さえる必要がなくなるので、業務の間でも受講することが可能になります。このことから、受講者にとって日程調整が容易になります。
2.運営側の負担が減る
オフラインの研修では、場所の手配や研修の準備、片付けで時間とコストがかかっていました。オンラインの研修では、会場の手配の必要がなく、会場コストがかかりません。会場設営の必要がなくなったので準備・片付け等の時間を大幅に削減できます。
3.情報が共有しやすい
オンライン研修では研修の様子を録画できるため、研修に参加出来なかった人でも録画された動画を見ることで研修の内容を理解できます。また、研修に参加した人も、研修の振り返りが可能になり、受講者の理解度が高まります。
オンライン研修におけるグループワークのデメリット
オンライン研修では、日程調整や情報共有が容易になる、などのメリットがありましたが、デメリットもあります。
1.発言がしづらい
オンライン研修では参加者がオフラインの研修に比べて発言がしづらいことがあります。オンラインでのコミュニケーションはオフラインと比べて発言の間が分かりづらく、些細な質問がしづらくなってしまいます。
【解決策】
- 対面で行うオフラインの研修以上に当たり前のことも伝えるといった細かい配慮をする
- スライドを利用する場合、スライドの1枚目で視覚的に伝える
- チャット機能を利用して、質問してもよい旨を事前に伝える
【スライドの例】
2.グループワークの様子を垣間見ずらい
オンライン研修では、漏れ聞こえてくる内容から受講者の理解度・意見を収集しづらく、フォローがおろそかになってしまう場合があります。
【解決策】
- アナウンス機能を利用して適宜リマインドを送る
例) 〇〇分までワークです。 〇〇分です。など - スライド・ワークシートに今やることの内容を準備する
3.受講者の通信環境やITリテラシーによって研修の進行が左右される
オンライン研修では、ネットワークの不調により、途中で切れてしまえば研修の進行に遅れが発生します。また、受講者のITリテラシーによって、研修の進行に遅れが生じる可能性があります。
【解決策】
- 事前に通信環境の良いところで受講することをお願いする
- 事細かに受講者に何をどうすればよいのか伝える
オンライン研修で役立つツール
ここではオンラインにおけるグループワークで役立つツールを紹介します。
Zoom ブレイクアウトセッション機能
Zoomのブレイクアウトセッション機能とは、ミーティングの参加者を小さなグループに分ける機能です。分けられたグループごとに個別のミーティングを実施できるため、オンラインでグループワークを実施する際に活用できます。
ブレイクアウト機能には、以下のような研修で活用しやすい機能が備わっています。
- タイマー機能:カウントダウンタイマーが備わっているため、グループワークのタイムスケジュールを立てやすくなります
- メッセージ機能:各部屋にメッセージを送ることができるので、ディスカッションを疎外させずに必要な情報を知らせることが可能になります
- 各ルームに自由に入退室ができる機能:ホストは自由に各部屋の移動ができるので、グループワークの様子を見ることができます
さらに、ドキュメント共有ツールやオンライン研修ツールなどを取り入れることで、充実したオンライン研修の実現が可能になります。
Google ドキュメント
Google ドキュメントはGoogleアカウントを持っていれば無料で利用できるドキュメントツールです。1つのドキュメントに共同で書き込みが可能なため、オンライン研修中のブレインストーミングや議事録に活用できます。
sli.do(スライドゥ)
出典 :sli.do
sli.doは大規模の研修の場合などに、手を挙げずにチャット感覚で講演者へ質問ができるサービスです。質問は匿名で行うことができ、投票機能も搭載しているため、人数が多い場合のコミュニケーションを円滑にするツールとして活用できます。
wevox values card online
webox valus card onlineはカードゲームを通じて相互理解を深められるカードゲームのオンライン版です。チームメンバーと価値観を共有し合うことにより、メンバー同士の相互理解を深め合えるため、アイスブレイクや社員間での親睦を深める際に活用できます。
グループワークを試みた企業事例を紹介
パーソルラーニング株式会社
パーソルラーニング株式会社は、企業の人材育成や組織開発のサポートをしている企業です。
集合研修の場合には、場の雰囲気によって最後まで集中力を持続させたまま研修をやり通すことができますが、オンラインではモチベーションが下がったり内容についていけなくなると途中抜けしたりしてしまうことを懸念していました。加えて、仲間意識や人間関係の構築はリアルでしか成しえないと考えていたそうです。
しかし、実際にオンライン研修でグループワークを行った後、意見交換や講師と受講者による一対一の面談なども集合型研修と変わらないくらい活発に行われたそうです。
株式会社インテージホールディングス
株式会社インテージホールディングスは、毎年4月にグループで共同研修を実施していましたが、2020年は新型コロナウイルスの影響を受け、急遽研修のフルオンライン化を進めました。
Zoomのブレイクアウト機能とMicrosoftのTeamsを併用することでオンラインでもグループワークを実施できたそうです。
ディスカッションをログに残せたため、多角度から振り返りができたことや、テキストベースでのディスカッションがアウトプット志向の促進につながった、といった効果が出ています。
参考:グループワーク中心の新卒研修をフルオンライン化した話~2.研修運営の視点から~
まとめ|こまめな気遣いが成功に近づく
オンラインでのグループワークは、集合研修で利用していた道具をオンラインのツールで代用することで実現できます。
しかし、気軽な質問が難しいことや周りの様子が見ることができないことなどから、受講者が何をすればいいのか判断に困ったり、発言がしづらいといった課題もあります。そのようなトラブルを解消するために、運営側が集合研修以上にきめ細やかなサポートをする意識や体制が必要です。
こうしたこまめな気遣いが、より効果の高い研修の実現につながるでしょう。