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建築業界のICT化を成功させるための3つの課題と改善方法

建築業界のICT化を成功させるための3つの課題と改善方法

少子高齢化による労働力の不足は、日本の産業界が直面している喫緊の課題です。中でも建築業界はこれらの傾向が強く、建築業界が一丸となって人手不足に立ち向かっていく必要があります。

近年は「ICT」や「IoT」といったキーワードが新聞やニュースでも取り上げ始めている通り、電子機器やネットワーク技術を活用し、限られた人手でも業務の効率化に成功している企業も現れています。

本記事では、建築業界を取り巻く現状や課題とICT化によってどのように課題を解決していくかを解説していきます。具体的なICT化の事例も紹介していますので、建築業界のICT化を検討されている方は、ぜひこちらを参考にしてみてください。

建築業界におけるICT化とは?

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ICTとは、「Information and Communication Technology」の略称で、IT技術の中でもコミュニケーション・情報共有の技術を中心に指す言葉です。「ICT化」はそれらの技術を使用して業務の効率化を図ることです。

建築業界におけるICT化は、スマホやタブレットを用いた図面や工数の確認、映像システムを用いた遠隔での業務指示などがあります。例えば、今まで現場と事務所を行き来していた監督者が映像で進捗の確認を行うことで、仕事の効率化を図ることができます。

また、現場でのちょっとした図面の確認も、紙ではなくデジタル端末で行うことで、修正や情報の共有が迅速に行われます。

このようにICTの技術を活用し、業務の効率化を図り、人手不足の解消と生産性の向上を解消するのが「建築業界のICT化」と言えるでしょう。

i-Constructionとの違い

i-Constructionとは、2016年から国土交通省が推し進めている取り組みで、建築業界のICT化と密接した関係性の高いワードです。

i-Constructionトップランナー施策

出典:国土交通省 i-Constructionの推進

取り組みの概要は、建築業を社会資本の担い手であると共に、国土保全上必要不可欠な地域の守り手として定め、しっかりと役割を果たすために「建築業界の働き方改革の推進と生産性を向上させる方針」のことを指します。

具体的にi-Constructionには、「ICTの全面的な活用」「全体最適の導入」「施行時期の平準化」の3つの施策の柱があり、ICT化は手段の一つとして捉えられています。

▶︎i-Constructionについてさらに詳細を知りたい方は「i-Constructionとは?企業へのメリットや目的・施策をわかりやすく解説」も合わせてご覧ください。i-Constructionのメリットや、導入時に気をつけたいポイントについても詳しく記載しています。

建築業界にICT化が求められる背景とは?

建築業界にICT化が求められている背景には、「人材不足」や「生産性の低さ」といった課題が関係しています。

課題1:深刻な人手不足

超高齢化社会が進む日本において、建築業界の人手不足は深刻です。

国土交通省が算出したデータによると、2016年段階での建設業就労者はおよそ492万人となっており、ここ20年ほどで最も建設業就労者多かった1997年の685万人から約30%ほど減少しています。

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出典:建設業及び建設工事従事者の現状

また同じ調査では、就労者の年齢分布が55歳以上が約33%を占めてしまっているのに対し、29歳以下は約10%というデータが示されています。高齢化が進み、若い人材が就職先として建築業を選ばないことが分かります

このような人手不足が続いてしまうと、受け継がれてきた技術を後継者に伝えることができずに、廃業となるケースが増えてしまします。これからの日本の建築業を支えるためにも、人手不足の解消が必要です。

課題2:3K職場のイメージが強い

上記でもお伝えしましたが、建築業界に若い人材が不足し、高齢化が進んでいます。若手の入職者が少ない理由として、建築業界が「きつい・汚い・危険」という「3K職場」のイメージが強いことが挙げられます。

学生の建設業に対するイメージ調査

出典:新潟大学 学生の建設業に対するイメージ調査

2016年に新潟大学の学生に対して実施された「学生の建築業に対するイメージ調査」では、275人中69人が建設業に対して「3Kのイメージ」を持っていることが明らかになっています。

建設現場での事故・災害の防止や熱中症への対策はもちろんのこと、電子機器や通信技術といったICT化により、いかに「効率的・清潔・安全」な職場環境を作っていくかが今後の建築業界の大きなテーマとなるでしょう。

課題3:生産性が向上していない

この20年ほどでICT技術が発展し、それに伴って製造・営業・管理・経理など様々な分野の働き方が大きく変わり、効率化を果たしてきたのはご存知の通りだと思います。

しかし、建築業界において働き方や職場環境が大きく改善されたという実感を持っている方は少ないのではないでしょうか。

その原因の一つとして、「建設業界を構成している大半は資本金1,000万円以下の中小企業である」ということがあります。つまり建築現場にICT技術を活用したくても、導入に資金が必要なため、設備投資ができないという現状があるのです。

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出典:日本建設業連合会

 

また、下請け・孫請け、あるいはその先まで仕事が流れていく建築業界独特の縦割りの分業構造が依然根強いために、自社の考えや判断のみで仕事のやり方を変更しにくいという点もポイントです。古くからの働き方が現在にも引き継がれており、業界全体を苦しめている状況であることが推測されます。

建築業界におけるICT化すべき3つのポイント

建築業界が直面している課題について解説してきましたが、ここからはそれらの課題に対して「どのようにICT技術を取り入れて解決していくか」について紹介していきます。

1.情報の共有・管理

社内や部署内の情報共有や、データの編集・管理といった作業は、最も手軽にICT化が進めやすいポイントです。

これらの作業は単体では、多く時間を要さないため軽視されがちですが、準備時間や付属する作業時間が積み重なっていくことを考えると、ICT化で効率化を促すことが大切です。

特に台帳や図面を紙媒体で管理している場合は、電子データに変更することでインク代や紙のコストの削減が可能です。

さらに勤怠情報がパソコンによる手入力で対応している場合は、スマートフォンアプリを導入できれば手間の削減できます。このように手間を減らして一人当たりの生産性をあげることが、生産性向上・人手不足解消の一手となるのです。

2.安全・健康管理

作業員の身の安全や体調不良は、本人が気をつけていても避けられない場合があります。周りの作業員が注意したとしても、人が管理する以上は限界があります。

国土交通省「北陸地方整備局」が平成27年9月に発表した資料によると、建設業での死亡者数割合(ピンクの折れ線)が30%〜40%の間に留まってほとんど減少していないことがわかります。

つまり、建築業界の安全・健康管理について従来とは違ったアプローチを取ることが必須だということです。


全国の建設死亡者と建設投資の推移

出典:国土交通省 北陸地方整備局

安全面におけるICT化へのアプローチの仕方として、カメラを配置するだけで警告音やアラートを表示してくれる安全対策用のシステムの導入などがあります。

ICT化をしたからといって完全に事故が防げるわけではありませんが、危険度が高い現場であるなら優先的に取り組むべきだといえます。

3.人の移動

人の移動は、ICT化によって大きく効率化できるポイントです。

打ち合わせのための出張が頻繁にある企業や遠方の現場仕事を請け負う企業は、移動に関わるコストと時間を削減することが効率化の近道になります。

物理的な交通費を抑えられるというだけでなく、移動時間を他の業務に当てたり、作業員の残業代を減らすというメリットがあります。

また、会議をするためだけに事務所に出社するといったスタイルも見直すべきポイントです。直接顔を合わせて会話することは有意義なことですが、単なるルーティンとなってしまっているのであれば、Web会議システムやテレビ会議システムを活用すると良いでしょう。

▶︎直接、事務所に出社しなくても映像や音声でコミュニケーションが取れるWeb会議やテレビ会議といった「遠隔会議」について詳しく知りたい方は「遠隔会議とは?導入するメリットとおすすめツール10選をご紹介」を参考にしてください。

効果的なICTツール

ここからは上記のようなICT化するべきポイントに、効果が見込めるICTツールをご紹介していきます。

身近で使い慣れているものから、提供している企業のサポートがあるために特別な知識や技術が必要ないものをピックアップしましたので、ぜひご覧ください。

1.タブレット

スマートフォン感覚で使用できるものでありながら、大画面でタイピングもしやすく、タッチペンを用いることで直感的な操作ができるタブレットは優秀なICTツールです。

スマートフォンを使用していない年配の方であれば、取り入れた当初は抵抗があるかもしれませんが、メールチェックや簡単なアプリであればそこまで難しい作業が必要ないため、万人向けなツールだと言えます。

画面が大きいので図面や仕様書の読み込みにも向いており、建築業におけるICT化に最適です。

2.現場監視カメラシステム

建築現場は重機や高い場所での作業が必要となるため、作業中の事故や災害のリスクは避けられないものとなっています。また、天候の悪化や立地環境次第では薄暗い場所の作業も必要になるケースもあるでしょう。

詳しくは後ほどICT化の成功事例としてご紹介しますが、カメラを置いておくだけで人の目によるチェックよりも信頼性のある映像認識システムが展開されています。

こちらを導入することで現場作業の安全管理の精度は上がり、生産性の向上にも繋がると言えるでしょう。

3.テレビ会議・映像配信システム

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映像をリアルタイムで遠隔地に繋げるテレビ会議システムは、簡単でありながらも建築業界にぴったりの機能を備えています。

この際のポイントは、単純に映像と音声を繋ぐだけのテレビ会議システムを利用するのではなく、高画質で画像や映像を共有できたり、現場の状況をウェアラブルカメラで伝えられたりといった機能が付属しているサービスを選ぶことも有効です。

▶︎高画質・高音質で現場とのやり取りができる「V-CUBEミーティング」。スマートグラスを活用することで、監督員は詳細な状況把握を元に現場への指示を出すことができます。詳しいサービス概要は、サービス概要ページをご確認ください。

ICT化に取り組む企業の事例

同じ業界の企業では似たような不満や悩みを抱えていることも多いため、ICT化を進めていく上で同業他社の動きや成功事例を参考にすることはとても重要です。

ここでは、建築現場をICT化することで安全性の向上および、作業員の業務の効率化に成功した例をご紹介します。

現場監視サポートシステムで監視員の負担を軽減した飛島建設

飛島建設

出典:飛島建設

飛島建設」は2017年より、沖電気工業が開発したカメラを用いて現場監視で信頼性の高く、監視員の負担を軽減できるシステムを導入しています。

国土交通省の「建設工事における事故と安全対策について」によると、建設業における労働災害発生要因は「機械などの転倒、下敷き、接触、衝突等」が15.1%、「工具等の取り扱い」が14.5%と3割ほどが重機の移動、取り替えの段階で事故が多発していることがわかります。


建設工事における事故と安全対策について

出典:建設工事における事故と安全対策について

そのため重機の周りにバリケードを設置し、さらに安全監視員を配置して危険エリアへの立ち入りを禁止していましたがそれでも死角が存在していために、複数のカメラで顔認識、物体認識、動体認識をおこなう画像センシング技術を用いて人と重機を識別するシステムを導入。

人と重機が近付くと自動でアラート通知され、またそれぞれの行動パターンデータを蓄積することで事故が起きる確率が高い状況を浮き彫りにし、安全監視を強化しています。

もし自動運転をおこなう重機を導入するタイミングにおいても継続して活用でき、さらに比較的身近な課題である「社員や作業員の安全」といったテーマに関わる分野なので、理想的なICT化の第一歩と言えるでしょう。

北野建設株式会社:Web会議システムで移動コストを大幅に削減


北野建設株式会社

出典:北野建設株式会社

東京と長野に本社を構える「北野建設株式会社」は高品質・高付加価値なものづくりを追求し、地域社会と共に発展する東証一部上場の中堅総合建設会社です。

業務効率化や出張コストの削減を目的としてWeb会議システムを導入。実際の利用頻度は月70回、時間にして80時間以上となり、社内で頻繁に活用するインフラツールとなりました。

長野本社、東京本社と支店、営業所の間で施工図を用いた遠隔会議が可能となったことにより、移動の手間や時間を削減することに成功したのです。

まとめ|ICTの活用で建築業界の人手不足解消や生産性の向上が期待できる

建築業界には人手不足や生産性の向上など様々な問題があります。現在抱えている問題や、これから抱えるであろう問題をいかに対処していくか、真摯に向き合わなければなりません。

人や資金といったリソースをどこまで割けるかは各企業や部門により異なりますが、まずは情報共有の効率化、物理的なトラブル対策、社内教育の簡略化の何らかの方向性でICT化を検討されてみてはいかがでしょうか。 

小さいところからでも無駄を省いていくことで作業員の職場環境が少しずつ向上し、生産性の向上や若手入職者の増加といった建設業界が抱える課題に対処していけるかもしれません。

テレワークの導入で時代に取り残されない働き方改革を

2019年4月から開始された働き方改革の影響を受け、多くの企業が様々な取り組みをはじめています。

しかしその一方で、「ワークライフバランスの拡充や健康経営など、実際にやるべきことが多すぎて何から手をつけて良いかが分からない...」そうお困りの企業担当者さまもいらっしゃることでしょう。

そこでまずはじめに取り組みたいのが、テレワークの導入です。

テレワークとは、パソコンやスマートフォンなどICT技術を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方です。

テレワークを導入することにより、以下のような利点があります。

  • 介護や育児を理由に退職をせざるをおえなかった従業員など、多様な働き方を希望する社員を持続的に雇用できるため、優秀な働き手の採用・確保が可能
  • 感染症対策や自然災害などオフィスに出社が困難な状況でも、持続的に仕事ができる
  • 従業員満足度の向上や定着率、生産性の向上など、経営課題に大きなメリットがある

 

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川本 凜
著者情報川本 凜

ブイキューブのマーケティング本部で広告運用を担当しています。