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女性活躍推進法が制定されてから各企業が積極的に女性管理職を増やしたことにより、その割合は少しずつですが増加していっています。しかし、まだ他先進国とは比べものにならないレベルであることは、変わりありません。

 

この記事では、多くの企業が知りたい「女性管理職が置かれている現状とは?」「女性管理職を増やすための取り組みとは?」という疑問点と、「企業にとって女性管理職がいるメリットはあるのか」についてまとめてご紹介します。

政府の掲げた女性登用の目標

皆さんは「男女共同参画社会基本法」をご存じでしょうか。女性が歩んできた歴史を振り返ると戦後の婦人参政権に始まり、昭和21年に制定された日本国憲法で女性の法制上の地位が改善され、男女平等となりました。そして女性への差別が撤廃される女子差別撤廃条約などを経て、平成11年に「男女共同参画社会基本法」がようやく施行されたのです。

 

2015年12月25日に閣議決定した「第4次男女共同参画基本計画」の中では、「あらゆる分野における女性の活躍(第1~5分野)」が特に強調されています。男性中心型の労働慣行を見直す必要性があること、ポジティブ・アクションの重要性、女性がもっと安心安全に暮らせる環境の整備。そして防災・復興、国際社会における日本の評価のためにも、女性に活躍してもらうことが重要だと書かれています。

 

特徴的なのが、政策目標として国家公務員、地方公務員、民間企業の女性登用を掲げているところです。課長相当職の女性割合は平成26年時点9.2%のところ、平成32年までには15%へ。係長相当職の女性割合は平成26年時点16.2%のところ、平成32年までに25%にする目標となっています。目標と現状のギャップはどの程度なのでしょうか。

 

出典:内閣府男女共同参画局 - 第4次男女共同参画基本計画(平成27年12月25日決定)

企業における女性管理職の比率

現状、企業における女性管理職の比率を見てみましょう。帝国データバンクのデータによると、女性の管理職(課長相当職以上)割合は平均7.2%、前年よりも0.3ポイント上昇しています。女性管理職割合30%以上の企業は6.8%だけではあるものの、前年よりも0.4ポイント上昇。管理職の女性割合が0%(つまり全員男性という企業)は2016年で50%、2017年で49.2%、2018年には48.4%と微減が続いていることを見ると、少しずつ意識浸透が図られているとわかります。

 

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出典:出典:帝国データバンク 「特別企画 女性登用に対する企業の意識調査(PDF)」

 

役員の女性割合は、平均9.7%で2016年に比較して1ポイント上昇しています。10%未満の割合が減り、10%以上20%未満、20%以上30%未満、30%以上がそれぞれ少しずつポイントを伸ばしています。中でも30%以上が前年に比べて0.5ポイント、一昨年の2016年に比べると1.7ポイントも伸びています。

 

従業員時代の女性割合を見ると、平均が24.9%。20%以上30%未満は18.3%で前年よりも0.4ポイント伸ばしています。従業員の女性割合だけを見ると20%に近くなると考えてもいいですが、管理職・役員共にまだ平均が一桁台ということを見ると、女性登用がうまくいっていないといえるでしょう。

東京都における結果は

では次に、東京都における結果を見てみましょう。管理職に占める女性の割合は、全体で11.4%となっています。係長相当職でも16.7%で本来管理職とカウントされる課長相当職では9.3%と一桁台の結果です。同様に一桁台なのが、部長相当職6.0%と、役員相当職7.5%。かなり厳しい結果だといえます。

 

管理職に占める女性の割合

 

女性管理職を有する事業所の割合は、係長相当職以上を含めば77.8%という結果。しかし、係長相当職で51.0%、課長相当職で51.1%、部長相当職で29.2%、役員相当職で26.1%という結果を見ても、目標には程遠い結果だといえるでしょう。

 

女性管理職を有する事業所の割合

 

出典:東京都 産業労働局 - 平成30年度東京都男女雇用平等参画状況調査結果報告書(PDF)

女性管理職が増えない理由は?

女性管理職が増えない理由は?

 

目標には程遠い結果が見えた女性管理職の現状がわかったところで、なぜ女性管理職が増えないのかを解明していきましょう。プレジデント社が女性一般社員250人、女性管理職250人、男性管理職500人の計1000人に対して行った調査によると、「管理職になりたいですか?」という質問に対し、「管理職になりたくない、興味がない」と答えている人が82%という結果が出ています。

 

次いで「管理職になりたいと思っている」が14%、「管理職になりたかったがあきらめた」が4%と、圧倒的に「管理職になりたくない・興味がない」女性が多いことがわかります。

 

その理由として、「家庭との両立が難しそう」「キャリアパスに管理職がなかった」「女性の管理職がいないから」「拘束時間が長くなる」などの理由が挙がっています。女性の管理職割合を見てもロールモデルが少ないことは明らかですし、仕事と家庭を両立できない環境や風土・社風が原因であることが透けて見える結果です。

 

出典:プレジデントウーマン - 女性管理職が育つ職場、つぶされる職場

※調査は楽天リサーチの協力を得て、インターネットを通じて女性一般社員250人、女性管理職250人、男性管理職500人を対象に調査を実施。期間は2015年5月19日~22日。

企業にとっての女性管理職のメリット

厳しい現状や会社環境に対する女性の思いが見えましたが、ここからは企業にとって女性を管理職に登用することのメリットにはどんなものがあるのか、考えてみましょう。

1. 観察眼を活かしたコミュニケーション能力

まずは対外的な交渉や社内の対応でも必要となるコミュニケーション能力は、女性の得意とするところ。部下の現状把握やメンタル面のケアができるなど、観察眼を活かした仕事ぶりがメリットとなるでしょう。

2. 適度な強度のチームワーク

男性的な引っ張っていくリーダーシップマネジメントとは違い、人間関係をベースとした結束力のあるチームワークを形成する傾向のある女性管理職なら、程よい強度を持った調整型のマネジメントが可能になるのもメリットといえます。

3. 社内でのロールモデル化

女性管理職が少ない一因としても挙がっていた、ロールモデルの少なさ。これを解消することもできます。たくさんの女性が管理職として活躍していれば、「あの先輩のようになりたい」と管理職をキャリアパスに加えてもらえる可能性も上がるでしょう。

4. 部下が相談しやすく、状況が把握できる

特に女性社員の場合は、男性の上司に人間関係やプライベートなどの悩みを相談しにくいと感じることもあるでしょう。しかし女性管理職であれば同性という話しやすさもあって、部下の状況を把握しやすくなる点もメリットです。

5. 多様性を持った組織の構築

管理職が全員男性という均質性の高い組織であった場合、グループシンクに陥る可能性があります。

 

グループシンクというのは集団浅慮とも約される言葉で、集団で合議を行う際に皆が同じ意見であることから不合理な決定であっても容認されてしまう状態のことを指します。女性管理職を登用し、多様性のある組織を構築すればグループシンクを防ぐというメリットも感じられることでしょう。

6. 人材の獲得と流出防止

男女共同参画局が発行しているデータによるとミレニアル世代(1980年~19995年生まれ)の就職先選定には、「企業の多様性・平等性・受容性についての組織方針」を重視していることが明らかになっています。

 

また、多様な組織で働いていると感じられている従業員は、そうでない従業員に比べて5年以上長期で勤続する予定であると回答しています。この結果を見るだけでも、優秀な人材を獲得し、流出を防止するには多様性を持った組織であることが重要だとわかるでしょう。

 

内閣府ホームページ - 男女共同参画局発行 女性活躍で企業は強くなる(PDF)

 

出典:内閣府ホームページ - 男女共同参画局発行 女性活躍で企業は強くなる(PDF)

女性管理職を増やすために企業ができること

では最後に女性管理職を増やしていくために、企業は一体何をすればいいのでしょうか。先ほどもご紹介したプレジデント社の調査で、「女性管理職を増やすために企業が行う施策のうち、効果があると感じるのは?」という質問のアンケート結果をご紹介します。


女性管理職・女性一般社員の回答で一番多かったのが、「ワークライフバランスのための制度」。次に「仕事と家庭の両立支援のための福利厚生制度」です。逆に男女差が大きかったのは、「女性管理職を育てるための男性向け研修・トレーニングプログラムを行う」という項目。


現場の男性上司の意識を変えることが重要だと感じている女性が多いのに対し、男性でこの項目を選択している人が12ポイントも低いことを見ても、男性側の意識改革が必要なことがわかります。

 

出典:プレジデントウーマン - 女性管理職が育つ職場、つぶされる職場

※調査は楽天リサーチの協力を得て、インターネットを通じて女性一般社員250人、女性管理職250人、男性管理職500人を対象に調査を実施。期間は2015年5月19日~22日。

仕事と家庭の両立支援を行う

産休・育休制度はもちろん、テレワーク、時短勤務などの制度充実を行い、育児・介護と仕事とを両立しやすい環境を整えることが重要です。テレワークでは、Web会議(テレビ会議)などを用いて会社への通勤時間をなくし、削減した移動時間を育児・介護に当てられるなど、時間による制約を緩めることができます。通勤時間がなくなり、私生活での活動が増えることで家庭と仕事の両立を実現することが可能です。

企業の意識・風土を変える

テレワーク制度を充実させたとしても、全社の意識・風土を変えていかなければ、女性管理職比率は上がっていきません。その根底にある古い考えでは、男性が仕事をし、女性が家庭を守るということが一般的でした。しかし、現代においては仕事と家庭との両立は、男性も取り組んでいくべき課題でもあります。企業は男性だから女性だからという理由ではなく、区別なく業務を行えるように意識や風土を整えるべきです。古い考え、つまり、男性中心の風土を変えていく必要があります。

まとめ

女性管理職の現状と女性登用のために何が必要かという疑問点、企業にとって女性管理職がいるメリットをご紹介しました。女性管理職を増やす取り組みは単に女性を活用できるようになるだけでなく、優秀な人材の確保や多様な人材を受け入れる土壌を作ってくれます。そして企業の風土を変え、これからの企業の存続の原動力になっていきます。

 

テレワークなどの柔軟性のある働き方や長時間労働の是正などから取り組み、社会から選ばれる企業になってみてはいかがでしょうか。