Zoomでオンライン研修を実施するには?活用法やポイントを紹介
Web会議ツールの「Zoom」を企業や団体内におけるオンライン研修において活用するケースが増えています。
Zoomにはオンライン研修に活用できる便利な機能が多数備わっており、それらの機能を最大限に活用することで、実地開催以上に学習効果の高いオンライン研修を実施することも可能です。
ここでは、Zoomを使って研修を行う方法をはじめ、知っておきたいツールやその機能、Zoomで研修をする際のポイントなどについて解説します。
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Zoomを使ったオンライン研修の実施方法
Zoomで行うオンライン研修には、Web会議型の「Zoomミーティング」とウェビナー型の「Zoomウェビナー」の大きく2つの実施方法があります。
どちらの方法を選択するかは、研修の中で「参加者同士がコミュニケーションを取る必要があるか否か」が選定のポイントとなります。
Zoomミーティングを利用する方法
「Zoomミーティング」はPC、タブレット、スマートフォンなどのデバイスを選ばず、分かりやすい画面で初心者でも直観的に利用できます。
Zoomミーティングを利用する場合のポイントは以下の3点に要約できます。
- 講師と受講者の双方向コミュニケーションが取れる
- グループワークも可能
- ただし無料プランの利用時間は1回40分まで
講師と受講者の双方向コミュニケーションが取れる
Zoomミーティングを利用するメリットとして、まず双方向のコミュニケーションが取れることが挙げられます。
質疑応答やディスカッションといったリアルタイムでのコミュニケーションを必要とする場合には、Zoomミーティングを用いた研修がおすすめです。
グループワークも可能
ブレイクアウトセッション機能を使えば、グループワークを実施することも可能です。
複数人の受講者を対象とする研修で、かつ受講者同士が少人数のグループに分かれてグループトークやディスカッションを行う場合にとても有効です。
無料プランの利用時間は1回40分まで
Zoomミーティングは無料で利用できます。
ただし無料プランの場合は、「ミーティング」の利用時間が40分までに制限されています。そのため社内でのミーティングや研修を行う際には、有料プランに契約しておくことをオススメします。
Zoomとは?機能やメリット・デメリットを他のWeb会議と比較して解説
Zoomミーティングについては「Zoomとは?機能やメリット・デメリットを他のWeb会議と比較して解説」で詳しく解説しています。
Zoomウェビナーを利用する方法
ウェビナーとは、ウェブとセミナーをかけ合わせた造語で、「Webセミナー」や「オンラインセミナー」とも呼ばれます。
「Zoomウェビナー」は、Web上でのセミナーや講義、イベントの配信に特化したツールで、500人から最大10,000人の視聴者に向けて配信することができます。
Zoomウェビナーを利用する場合のポイントは以下の3点に要約できます。
- 受講者は基本的に聞き手に徹する(一方的なコミュニケーション)
- チャット機能等で質問も可能
- ただし利用にはZoomの有料プラン登録が必須
受講者は基本的に聞き手に徹する(一方的なコミュニケーション)
ウェビナー機能を使った研修の特徴は、まず登壇する講師と受講者のコミュニケーションが限定的になることです。講師は受講者とのコミュニケーションに配慮せずに、一方的なコミュニケーションを取ることとなります。
一方的コミュニケーションのメリットは、研修の様子を録画した映像を後日視聴する形でも学習効果を維持できること、さらにそれを何度も視聴できることにあります。
たとえば、「企業トップの訓話」や「先輩の経験談」などは、そもそも双方向のコミュニケーションが想定されていないため、ウェビナー形式での配信が最適でしょう。さらに、その映像を後日配信する形でも、学習効果は変わりません。
また、登壇者が講義や研修に慣れておらず、大勢の前で話すことに不慣れな場合に、録画形式のほうがリラックスして臨める、ということもあるでしょう。
チャット機能等で質問が可能
ウェビナー形式の研修でも講師と受講者でコミュニケーションが全く取れないわけではありません。ウェビナー中にアンケートを提示してそれに受講者が答えたり、チャットを通して質問を募集したりすることも可能です。
さらに、プライベートチャット機能を使用することで、講師や特定の人にしか見えないかたちで質問などを送ることもできます。
たとえば、「講義中の質問は匿名形式で回答するので、分からない点は講師もしくは運営にプライベートチャットでご連絡ください」というルールをあらかじめ設定しておけば、研修の円滑な運用につながります。
有料プラン登録が必須
Zoomウェビナーは、Zoomミーティングのオプション機能である「Zoomビデオウェビナー」を用いて実施します。
この機能は、Zoomミーティングの有料プランのアカウントに「アドオン」を追加することで利用可能となります。無料プランのユーザーは利用することができませんので注意が必要です。
開催準備は、研修の主催者が「ホスト」となって「ウェビナー」を設定し、招待用のURLを研修の受講者に送付すれば、事前設定は完了です。
Zoomビデオウェビナーとは?ミーティングとの違いや使い方・導入事例を紹介
Zoomウェビナーについては「Zoomビデオウェビナーとは?ミーティングとの違いや使い方・導入事例を紹介」で詳しく解説しています。
オンライン研修に便利なZoomの機能
ブレイクアウトセッション(ミーティング)
複数の受講者を対象とする研修で、かつ受講者同士がグループトークやディスカッションを行う場合は「ブレークアウトセッション機能」を有効にしましょう。
Zoomミーティングの機能の一つであるこの「ブレイクアウトセッション」はオンライン研修にも最適です。特に以下のようなメリットを挙げることができるでしょう。
- 少人数のグループに分けてのミーティングが可能
- グループワークに適した機能
- タイマー機能で時間管理できる
少人数のグループに分けてのミーティングが可能
ブレイクアウトセッションは、大人数の参加者を少人数のグループに分けてミーティングができる機能です。
大人数のセッションでは、一人数分ずつ話したとしても長大な時間がかかってしまいます。そこで、ブレイクアウト機能を使えば、任意の人数のグループを複数作ることができ、効率的に研修を進めることができます。
グループワークに適した機能
たとえば、研修の中でグループワークを行う際にも、この機能は有効です。
Zoomミーティングを数人ずつ個別に立ち上げることでも事実上可能ですが、それではホストが一括で管理運用することができません。一つのミーティングIDで開催できることも、ブレイクアウトセッションのメリットの一つです。
タイマー機能で時間管理できる
さらに、便利なオプションに「タイマー設定機能」があります。タイマー機能を設定することでブレイクアウトルームを自動的に閉じるタイミングを指定し、自動的にカウントダウン表示ができる機能です。
タイマー機能はブレイクアウトルーム作成時に設定できます。いつの間にか時間が経ちすぎていたといったことがなくなり、プログラム上の進行ミスをなくすことができます。
なお、ブレイクアウトセッション機能を利用する場合には、Zoom「ミーティング」が開始される前に、事前設定が必要となることに注意が必要です。設定方法は、ブラウザからパーソナルページにログインし、「設定」から「ミーティングにて(詳細)」のタブにある「ブレイクアウトルーム」の設定をオンにするだけです。
録画機能(ミーティング・ウェビナー)
ZoomミーティングとZoomウェビナーにはそれぞれ録画機能があります。研修でZoomを利用する場合には、ぜひ活用したい機能です。
リアルタイムで参加した研修やミーティング内容を記録しておくことで、参加者は後から何度でも確認でき、学習した内容の定着を図ることができます。また、運営側においてもその素材を編集して動画資料を作成するといった使い方もできます。
なお、後述するように、録画の方法には自分のパソコンに動画を保存する「ローカル保存」と、クラウド上(インターネット上)に保存する「クラウド保存」の2種類があります。クラウド保存は有料プランに登録すると利用可能になります。
Zoomの録画機能の活用法を解説!やっておくと便利な設定やデータ管理の方法を紹介
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Zoomを使ったオンライン研修のポイント
最適なプランを用意する
Zoomには、無料プランと有料プランの2種類があります。無料プランでもオンライン研修を行うことはできますが、使用できる機能にさまざまな制限があります。
無料プランでZoomの使用感を確かめながら、オンライン研修の効果を最大化できる有料プランを選択するのもよいでしょう。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 無料プランは時間や機能に制限あり
- クラウド保存は不可
- ウェビナーをはじめとするオプションの利用は不可
無料プランは時間や機能に制限あり
無料プランでは、グループミーティングの利用時間制限は最大40分までとなります。
40分を超えると強制的にミーティングが終了されてしまうため、続けるためには40分経過するごとに再度ミーティングを設定し直す手間が生じます。
クラウド保存は不可
無料プランと有料プランのどちらもミーティングの様子を録画できますが、無料プランではZoomのクラウドにデータを保管できる「クラウド保存」機能は利用できず、自分のPCに録画データを直接保存する「ローカル保存」のみとなります。
クラウド保存では、録画データがクラウド上にあるため「共有」ボタンをクリックするだけで、すぐに録画データを共有できるため、録画を視聴することで研修の一環とするような場合には、クラウド保存を利用したいところです。
ウェビナーをはじめとするオプションの利用は不可
これも先述の通り、Zoomウェビナーを開催するアドオンのインストールは、有料プランへの登録が必須となります。
Zoomウェビナーには、Zoomミーティングにはない「Q&A機能」や「メールでのリマインダー」などの機能が搭載されており、さらに、PayPalなどの決済サービスと連携して有料ウェビナーの開催も可能となっています。
このように、有料プランへの登録によって、より効率的で効果的な研修を実施する、あるいは既存の研修の効果を最大化させることができると言えるでしょう。
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環境を整える
また、配信の環境を整えることも、オンライン研修のポイントの一つです。
特に以下の2点には十分に配慮したいところです。
- 通信環境
- 高画質・高音質なカメラとマイク
通信環境
たとえば、社員が自宅からオンライン研修に参加する場合、それぞれの通信環境はさまざまです。なかにはデータの利用上限があったり、通信制限がかかっていて研修の途中で離脱してしまう新入社員が出ることもあり得ます。
そのため、研修参加者にはあらかじめ最適な通信環境の目安を伝えましょう。
安定した通信環境を準備できない場合には、事前にポケットWi-Fiを貸与するなど、ネットワーク環境を整えるための配慮が必要です。
また、ネットワーク環境に問題がある場合、問題が発生したことをオンラインで伝えることができなくなります。そうした場合に備えて、ホスト側の緊急連絡先も伝えておくとよいかもしれません。
高画質・高音質なカメラとマイク
画質と音質は、参加者の集中力を切らさないための重要な要素となります。
カメラやマイクの環境もしっかり確認しておきましょう。
特に講師側のカメラ・マイクはPC内蔵のものよりも、高画質・高音質な映像・音声を配信できる外付けのカメラとマイクを用意したいところです。
その際、外付けカメラ・マイクは有線接続のものをオススメします。Bluetooth接続は電波干渉などによって画質・音質が不安定になることがあるためです。
研修内容の最適化
オンライン研修を行う場合には、その内容をオフラインでの実地開催とまったく同じとするのではなく、オンライン研修用に最適化した内容にすべきです。
オンライン研修では、受講者は研修中同じ画面を見続けることになります。講師が単調にしゃべり続けているよりも、説明に適宜スライドが挿入されているといったような工夫がなされているほうが、受講者の理解度や満足度が高くなります。
たとえば研修開始時に、プログラムの概要やタイムスケジュールを示す、動画や写真、イラストを交える、質問を投げかけてチャットで回答をもらう、ブレイクアウトルームを使ってグループワークを行うといったように、研修内容をオンライン研修に最適化させていきましょう。
画面共有を活用しよう
その際、ぜひZoomの「画面共有機能」を活用しましょう。この機能では、講師側のPCのデスクトップ画面や、起動中のアプリケーションの画面を、相手の画面に映すことができます。
ホワイトボードにペンでさまざまなものを書き込める「ホワイトボード機能」はその応用で、画面上に書き込んだ内容をリアルタイムに共有できるので、実際に教室や会議室のホワイトボードや黒板を使うようにして、オンライン研修を開催することができます。
実践してわかったオンライン新人研修を成功に導くポイントと質向上の3つの秘訣
オンライン研修のポイントについては「実践してわかったオンライン新人研修を成功に導くポイントと質向上の3つの秘訣」で詳しく解説しています。
まとめ | オンライン研修にはZoomが最適
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、テレワークが広く普及していく中で、社内研修もオンライン形式に切り替えた企業が多く見られます。この流れは今後も加速していくと見られています。
Zoomには上に見たような便利な機能が多数備わっているので、オンライン研修にも最適です。オンラインで研修を行うためのポイントを押さえつつ、Zoomの機能を最大限に活用することで、より効果的な研修の実現につなげてください。