テレワークとはどんな働き方?在宅勤務との違いや導入のポイントを解説

テレワークは、自宅やサテライトオフィス、移動中など、「いつでも・どこでも」場所を選ばず仕事ができる柔軟な働き方です。

働き方改革や、2020年2月頃から世界的に感染拡大した新型コロナウイルスの影響で、一気に注目を集めました。しかしまだテレワークを自社で実施していない企業には、「今更導入したところで効果はあるの?」「何となく運用が難しそう」といった悩みをお持ちの方も少なくないかもしれません。

そこで、本記事ではテレワークの基本的な概要から、企業へ導入するメリットや注意点、テレワークに向いている企業と成功事例、必須ツールまで徹底解説します。

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テレワークとは

テレワークとは、「Tele = 離れた」と「Work = 働く」を合わせた造語で、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のことです。

テレワークには大きく分けて「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」と3つの種類があります。

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在宅勤務

自宅に居ながら、オフィスにいるメンバーとインターネット上で連絡を取り合いながら、仕事をする働き方のことです。

モバイルワーク

パソコンや携帯端末を使って、移動中やクライアント先など、自社オフィス以外の場所で仕事をする働き方のことです。

サテライトオフィス勤務

本社・本部から離れた場所に設けられたオフィスで仕事をする働き方のことです。常に社内メンバーが常駐している「オフィス」とは異なり、一時的な利用を目的としています。例えば、社内LANがつながるスポットオフィスや、レンタルオフィスなどが例に挙げられます。

サテライトオフィスとは?成功した企業事例と3つのメリットを解説

サテライトオフィスについて詳しく知りたい方は、関連記事「サテライトオフィスとは?成功した企業事例と3つのメリットを解説」を合わせてご覧ください。

テレワーク導入の現状

産業労働局が東京都内の企業10,000社に対し調査・発表をした「テレワーク導入実態調査結果」によると、令和2年6月時点で57.8%の企業がテレワークを導入していることがわかりました。令和元年度の調査では、導入率が25.1%であったことから、1年間で大幅に需要拡大したことがわかります。

テレワーク導入の現状

出典:テレワーク導入実態調査|産業労働局

企業がテレワークを実施する背景には、新型コロナウイルスの拡大防止、働き方改革やワークライフの活性化などの理由が挙げられます。また、同時にテレワークを導入することでコスト削減や優秀な人材確保などのメリットがあるため、今後はさらにテレワーク需要が高まっていくでしょう。

企業がテレワークを導入するメリット

テレワークがこれほど注目されるようになった社会的な理由としては、主に以下4つのメリットが挙げられます。

1. 生産性の向上

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テレワークの最も大きなメリットは、「時間と場所を選ばない働き方」という点にあります。そのため、テレワークで働く社員(テレワーカー)が自分らしく働けることにより、仕事へのモチベーションも上がり、結果的に労働の生産性が向上できるでしょう。

生産性向上とは?企業が今すぐに取り組むべき5つのこと

関連記事「生産性向上とは?企業が今すぐに取り組むべき5つのこと」では、企業全体の生産性を向上させるために必要な施策を詳しく紹介しています。合わせてご覧ください。

2. 通勤の負担の減少

テレワークの大きな特徴の一つは、通勤を伴わないことです。特に通勤時の混雑が激しい首都圏では、出社日を減らす・なくすことで、従業員の体力的・精神的な負担を軽減し、仕事に取り組みやすい環境をつくることができます。テレワークの仕組みが整っていれば、毎日の通勤ラッシュ対策だけでなく、台風や大雨・大雪といった災害時にも従業員の安全性を確保できるでしょう。

また、総務省の「平成28年 社会生活基本調査」によると、2015年の日本国民の平均通勤時間は1日換算で34分(男性43分、女性25分)でした。この通勤時間が年間に渡ってカットできることを考えれば、各々が有効的に時間を活用できるようになります。

3. 従業員の定着

②子育て・介護で通勤できなくても働き続けたい社員が増加

自社でテレワークが認められていれば、家事・子育て・介護を行わなければならない従業員でも、働く場所を自由に選択できます

例えば、発熱した子どもをとなりで寝かせて仕事をしたり、親がデイケアに行った合間で仕事をしたりすることなども可能です。「親の体調が急変し、病院に付き添わなければならない」といった事態が続き、同僚に迷惑をかけないようにと、やむなく退職を選ぶ必要がなくなります。

その結果、優秀な人材の定着に繋がるといえます。

育児中の社員にテレワークを導入するメリットやデメリットと成功事例

子育て中の社員のためのテレワーク対策については、関連記事「育児中の社員にテレワークを導入するメリットやデメリットと成功事例」で解説しています。詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

4. 慢性的な人材不足の解消

エン・ジャパン株式会社が2019年1月に公表した「企業の人材不足」実態調査によると、アンケートに回答した762社のうち89%の企業が「人材が不足している」と回答しており、人材確保が多くの企業にとって緊急の課題であることは間違いないようです。

テレワークでは、地方在住者や海外在住者、車椅子使用者なども採用枠に入れることができるため、今までアプローチできなかった優秀な人材にも手を伸ばすことが可能です。都市部の企業が地方にサテライトオフィスを作ることによって地方人材を獲得する「まちごとテレワーク」も総務省によって行われており、新たなビジネスの獲得にもなり得ます。

また、働き方改革が推進される現在、「テレワークを導入している」のは企業の良いブランディングにも繋がるため、結果的に現在よりも自社への採用希望者が多くなることが予想できるでしょう。

【新型コロナ対策にも】Web面接とは?注意点やツール、事例を徹底解説

テレワーカーを採用する際には、直接求職者と会わずとも遠隔で行える「Web面接」が必須です。関連記事「【新型コロナ対策にも】Web面接とは?注意点やツール、事例を徹底解説」ではWeb面接について詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

5.コスト削減

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自社のテレワーカーが増加すれば、オフィスに出勤する人員が必然的に減少するため、今まで支給していた交通費やオフィスコストの削減が見込めます

たとえば、月2回の東京本社での打ち合わせに、名古屋・大阪・仙台からは新幹線で、福岡からは飛行機を利用して移動し、さらに各メンバーが1泊ずつ宿泊すると、 半年で約198万円のコストがかかります。

そこにWeb会議を導入することで、大幅なコスト削減となります。

場合によっては現在よりも小規模なオフィスに移転することで、安い賃料で経営を行うことも充分に可能かもしれません。

また、移動費だけでなく紙の資料を全てPDFにするなど資料の電子化も行うことによって、印刷代も削減できます。

6.事業継続性の向上(BCP対策)

テレワークを導入することで、地震や感染症の蔓延といった予測不能の災害時でも、ITツールを使って業務のやり取りが今まで通りに行えるため、事業中断のリスクを最小限に押さえることができます

東日本大震災をはじめ、2020年のコロナ禍においても事業継続性の困難さを痛感した企業は多いのではないでしょうか。しかし日頃からITツールを使っての遠隔コミュニケーションに慣れておけば、いざという時の従業員の安否確認にも繋がります。

これからテレワークを導入する担当者が知っておくべき3つのこと

これからテレワークを導入する担当者が知っておくべき3つのこと

前章のテレワーク導入で得られるメリットから、テレワークが実際にさまざまな効果をもたらすことがご理解いただけたと思います。

それでは、実際に自社でテレワークを導入する場合、具体的に何から始めれば良いのでしょうか。

以下では、そのポイントを3つに分けて解説します。

①自社のテレワークレベル

まずは自社の「テレワークの導入レベル」を把握しましょう

ここでは、総務省が2018年に発表した「働き⽅改⾰のためのテレワーク導⼊モデル」を基にして説明します。同資料はテレワークを先進的に導入、かつ成功させた企業事例を参考に、あらゆる企業がテレワークの導入イメージを掴むために製作されたものです。

テレワークの導入モデルは「業種」と「企業規模(重合因数)」の2つが軸となっています。以下の画像で自社の類型を確認してみましょう。

①自社のテレワークレベル

出典:総務省「働き⽅改⾰のためのテレワーク導⼊モデル

上図の類型を基に、「試行導入期」「正式導入期(一部)」「正式導入期(拡大普及)」の3つのステージで分けられたモデルが説明されています。

①自社のテレワークレベル

出典:総務省「働き⽅改⾰のためのテレワーク導⼊モデル

特に、試行導入期における最大のポイントは「テレワークの効果を経営指標を用いて論理的に訴求し、経営層だけでなく社内の理解を得ること」です。テレワークを導入するにあたっての障壁のひとつは、コスト面における計画も勿論ですが、導入に難色を示す層を説得させることでしょう。

そこで、テレワークにおけるメリット「コスト削減」や「生産性向上」に具体的な数値目標を示し、定量的な面から説得させていくことが必要です。また、導入の際には経営層・中間層が率先してテレワークを行うようにしましょう。マネジメント層が積極的になることで、一般の従業員も導入を受け入れやすくなります。

テレワークに必要なITツール課題に関しても、試験的なテレワーク運用で削減されたコストを充てることや、また無料ツールをトライアル的に使ってみる、という取り組みから解消できるでしょう。

上記に示したように、ステップを着実に踏みながら導入していくのが、効率的なテレワーク導入のプロセスだといえます。

②テレワークに必要なITツール

テレワーク導入には、遠隔でもコミュニケーションが取れるITツールの活用が必須です。

ITツールには無料と有料のもの両方がありますが、ビジネスシーンには有料版のツールをおすすめします。無料ツールの大半は対個人向けですが、有料版ではサポート体制の手厚さや確かなセキュリティ、また高い接続性を確保できるためです。

以下で1つひとつ、テレワークに必要となるITツールを丁寧に紹介していきます。

ブイキューブのお役立ち資料を無料ダウンロード

ブイキューブの資料「テレワークに必要なICTツール完全比較ガイド」では、テレワーク導入のために使えるツールを目的別に合わせて徹底して比較、またメリットを解説しています。本資料はどなたでも無料でダウンロードできるので、合わせてご覧ください。

1.Web会議システム

Web会議システムは、オンライン上で相手と画面越しに顔を合わせながら、打ち合わせや会議を可能にするツールです。

以下のイラストのように、幅広いシーンで応用できます。

1.Web会議システム

昨今では、人員を一挙に集める必要がなく時間の融通が効く「オンライン研修」や、感染症影響下で「Web面接」がWeb会議システムを使って盛んに行われている現状もあります。今後、さらにWeb会議システムの使い方は拡大していくでしょう。

無料Web会議おすすめ6選を徹底比較!ブラウザ対応から有料との違い

Web会議システムのさらに詳しい情報やおすすめの無料ツールについては、関連記事「無料Web会議おすすめ6選を徹底比較!ブラウザ対応から有料との違い」で紹介しているので、合わせてご覧ください。

 

おすすめのWeb会議システム:Zoom ミーティング

おすすめのWeb会議システム②:Zoom ミーティング

出典:Zoom ミーティング

想定人数

1:1~最大500名程度

使える主な便利機能

・ホワイトボード機能
・画面共有機能
・相手画面の遠隔操作
・録画機能
・チャット機能
・ブレイクアウトセッション機能
・ビデオウェビナー機能
・管理用ダッシュボード機能
・メールサポート対応
・ブラウザで利用可能
・個社向けサポートカスタマイズ

※プランによって異なります

Zoom ミーティング」は、世界最高水準のWeb会議システムとして世界的に利用されているツールです。

参加者とメモを共有できるホワイトボード機能や相手画面の遠隔操作などをはじめ、お役立ち機能が満載。また、誰が話しているか分かるようになっている画面構成も、Web会議においては大きなメリットといえます。

価格:

  • 無料(パーソナルミーティング)
  • プロ(小規模チームに最適) 1,800円/月(年契約:21,600円)
  • ビジネス(中小企業) お問い合わせください
  • エンタープライズ(大企業向け仕様) お問い合わせください

※料金の提示についてはブイキューブ 社提供するzoom styleを参照しています。

Zoomの有料版を使うべきメリットとは?

Web会議ツールZoomの有料版を使うべきメリットについては、「Zoomの有料版を使うべきメリットとは?無料プランとの違いや決済方法を解説」のページでも詳しく紹介しています。ぜひあわせてお読みください。

②ビジネスチャットツール

ビジネスチャットツールは、メールよりも気軽に・手軽に、社員同士だけでなく顧客や取引先ともコミュニケーションを行えるITツールです。特にオフィスに居ないテレワーカーとの間では、業務連絡や打ち合わせには必須になります。

ビジネスチャットツールを導入するメリットとは?おすすめの5つのツールをご紹介

ビジネスチャットツールについては、関連記事「ビジネスチャットツールを導入するメリットとは?おすすめの5つのツールをご紹介」で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

③グループウェア

テレワークでは遠隔でしか連絡を取り合えないため、社内のスケジュール共有が非効率的になりがちです。そのため、Googleカレンダーなど、従業員の予定を一括で把握・共有できるグループウェア(スケジュール管理ツール)の活用が必要になってきます。

社内導入でスケジュール共有を効率化!おすすめツール5選

詳しくは関連記事「社内導入でスケジュール共有を効率化!おすすめツール5選」でグループウェアの特徴や注意点、導入を検討したいツールを解説しているので、合わせてご覧ください。

④勤怠管理ツール

テレワーク導入におけるよくある課題として、「勤怠管理・評価体制の難しさ」があります。実際のオフィスでは誰がどの時間働いたのかは明確に分かりますが、テレワークの場合そうはいきません。

そこで、オフィスでのタイムカードを使っての打刻のように、勤怠管理がきちんと行えるツールを活用するのがおすすめです。

テレワークで従業員の勤怠管理をするには?管理のポイント、おすすめツールなどを紹介

関連記事「テレワークで従業員の勤怠管理をするには?管理のポイント、おすすめツールなどを紹介」で、さらに詳しくテレワーカーの勤怠管理の仕方を解説しています。就業規則、検討したい評価制度の方法などにも触れているので、合わせてご覧ください。

③テレワーク導入前の注意点

③テレワーク導入前の注意点

テレワークにはさまざまなメリットが見込める一方、デメリットと言うべき注意点があります

1.情報漏洩リスクが高まる

テレワークは場所を選ばないからこそ、公共のスペースで覗き見をされたり、無料Wi-Fiに繋ぐことによる情報漏えいの危険性も懸念されます。

VPNや通信の暗号化など技術面での対策ももちろん必要ですが、業務にあたる従業員本人が危機感を抱かなければ、いくらセキュアなデバイスであっても意味がありません。まず従業員に対する「危機意識」を高めさせることが第一といえるでしょう。

テレワークのセキュリティ対策に必要な7つの施策とツールを解説

関連記事「テレワークのセキュリティ対策に必要な7つの施策とツールを解説」では、テレワークによく起こるセキュリティ課題を防ぐ施策を詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

2.上司の目がないため、従業員がサボる可能性がある

テレワークを行う環境では、オフィスのように近くで業務を行う上司はいません。そのため、自己管理が苦手な従業員の中では「サボり」をしてしまう人も出てくるおそれがあります

そのため、自己管理が苦手な従業員がサボってしまうのでは?と不安になることもあるでしょう。未然にサボりを防げるよう、次のような対策の導入がおすすめです。

  • 専門知識を活かしやすい職種限定雇用「ジョブ型雇用」を取り入れる
  • タスクを終えるごとに成果の報告を義務付ける
  • 遠隔でも職場の様子が確認できる「空間共有」を導入する
在宅勤務の社員のさぼりを防ぐ!企業がとるべき対策と事例を徹底解析

従業員のサボりに関しては、多くの企業担当者の方が気になる点だと思います。関連記事「在宅勤務の社員のさぼりを防ぐ!企業がとるべき対策と事例を徹底解析」も合わせてご覧ください。サボり防止の施策をまとめています。

実際にテレワーク導入で成功した企業の好事例3選

テレワーク導入で、実際に効果をあげた企業の好事例を3つ紹介します。

障がい者の在宅雇用を実施 株式会社沖ワークウェル

 

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出典:株式会社沖ワークウェル

ホームページの作成や教育支援などの事業を行う株式会社沖ワークウェルでは、通勤が困難な障がい者の方が在宅でパソコンを活用して就業しています。

2019年8月時点、障害を持つ70名の従業員のうち52名が在宅で就業。また、居住地は首都圏を中心として、北海道から九州までの19都道府県にまたがります。

同社では、オフィスにいる状態と変わらないコミュニケーションを実現するため「バーチャルオフィスシステム」を採用。常時接続をして、必要な時にワンクリックで話したい相手を呼び出せるようになっています。音声読み上げソフトも導入されているので、視覚障害がある方も気軽に利用ができます。

参考:総務省 「働く、が変わる 」テレワーク~先進事例のご紹介~」

テレワーク導入で介護と仕事を両立 損保ジャパン株式会社

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出典:SOMPOホールディングス

損保ジャパン株式会社では、2015年度からテレワークを導入開始。勤務地や職位を限定せずに導入したところ、導入当初の利用者が131人に対し、2018年には約3,100人の社員が利用するようになりました。

実際に、同社の管理職の方は、テレワークで身内4人の方の介護と仕事を両立しています。

ご家族が入院している最中は、病院で仕事を実施していたそうです。管理職の方は、テレワークを通して、円滑に業務を進める工夫の必要性を感じたと同時に「介護が大変だった時期、仕事があったからこそ心の余裕が保てた」とコメントしています。

 

参考:総務省 「働く、が変わる 」テレワーク~先進事例のご紹介~」

優秀な人材確保に成功 岩井コスモ証券株式会社 

 

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出典:岩井コスモ証券株式会社

岩井コスモ証券株式会社では、従業員が安心して働ける環境構築を目的として、テレワークを導入しています。テレワークを浸透させていくために、幹部職員からテレワークを活用してメリットを実感することにより、テレワークを積極的に活用する雰囲気作りができました。

また、ITが不得意な社員も操作しやすいツールを選定したことで、短時間勤務・在宅勤務など多様な働き方を実現。結果、テレワーク導入前と比較して、以下のように優秀な人材の確保に成功されています。

  • シニア営業職員数 36.9%増加
  • 離職率2.5ポイント減少
  • 女性営業職員の離職率5.1ポイント減少

参考:総務省 令和元年度 テレワーク先駆者百選 取り組み事例

テレワークの導入で受けられる助成金制度

テレワークは、実施までの工数やITツールの費用など、初期段階ではさまざまな面でコストが発生します。そのため、コスト面への不安を抱いている方は少なくないはずです。

そこで、国や複数の地方自治体が実施しているテレワーク実施への助成金・補助金制度を活用しましょう。主に「中小企業」に対して、テレワーク導入を資金的に援助する制度があります。

厚生労働省|働き方改革推進支援助成金<旧:時間外労働等改善助成金(テレワークコース)>

出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

厚生労働省が実施している「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」では、ライフワークバランス(仕事と生活の調和)の促進と時間外労働の制限を主な目的とし、在宅またはサテライトオフィスでの勤務を可能とする中小企業のテレワーク導入を支援しています。

助成金の支給額は、あらかじめ定めた「成果目標」の達成・未達成で異なってきます。詳しくは、働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)公式ページおよび「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)リーフレット」をご覧ください。

経済産業省|IT導入補助金

出典:経済産業省「IT導入補助金

経済産業省は、テレワークそのものではなく「中小企業がITツールを導入する際にかかるコスト」を補助するための制度を実施しています。

補助対象経費となるのは、「制度内で指定されたITツール」の導入に関する費用であり、資本金規模や従業員人数によって補助金額は変動しますが、最大450万円の補助が受けられます

最新情報は常に更新される可能性があるので、詳しくはIT補助金公式サイトをご覧ください。


なお、最新情報については、各制度の公式ページを必ずご参照ください。

さいごに|テレワークの新しい活用方法

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感染症の拡大でテレワーク導入が進んだのは自明のことでしょう。ですが、今までは見られなかったようなテレワークの活用方法が見出されたことによって、多くの業種で注目度は高まったといえます。

例えば医療現場。コロナ禍で外出が控えられる中、「オンライン診療」が注目を集めました。オンライン診療を行う際には必ずしも医療従事者側が医療機関に居る必要はなく、また現場のコストも削減できるため、Web会議システムなどで患者を画面越しで診療する、という形は物理的な人との接触を避けるのに有用といえます。

さらに、法的な制約はありますが、ITツールを活用することによって株主総会を遠隔で行う「バーチャル株主総会」も、2020年2月に経済産業省が「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を策定したことにより、現在よりも一般的な形になる新たな可能性が出てきています。

2020年は、まさにIT経営の仕方を見直す重要なパラダイムシフトになることが伺えるでしょう。

以上の背景を踏まえると、

・人材不足やコスト面の課題を解消したい
・柔軟な働き方の導入で離職率の低下を図り、従業員満足度を向上させたい
・現在の業務の進め方では効率が悪いため、ITツールの導入で解決したい

などのニーズを持っている企業担当者の方にテレワーク導入は向いている、といえます。

まとめ|テレワークは「いつでも・どこでも」が可能になる、未来に必須の勤務手段

少子高齢化による労働人口の不足や国際競争力の低下といった問題を抱える日本において、自社が優秀な人材を確保し続け生き残っていくためにも、テレワークの導入は早急に検討すべき施策といえます。

初期の人的・金銭的な導入コストはかかりますが、中長期的に見れば、コストの削減や生産性の向上につながります。大手企業はもちろんですが、テレワークをこれから検討しようと考えている中小企業においても、さまざまな恩恵をもたらしてくれることでしょう。

またテレワークは、地域の活性化やワークライフバランスの実現による子育てしやすい環境作りなど、企業だけでなく社会貢献にもつながります。

テレワークの導入に失敗しないためにも、メリットやデメリット、導入ステップを今一度確認した上で、進めていきましょう。

ブイキューブ
著者情報ブイキューブ

ブイキューブは映像コミュニケーションの総合ソリューションプロバイダとして、世界中どこにいても働ける働き方・環境の実現を目指しています。創業時よりテレワークを活用し、2016年には総務省「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」に選出されました。

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